あごひげぺんぎん

奈良県奈良市出身ぺんぎん。 ばいおりんをひく。 2022年秋から年末にかけ、4つの団体…

あごひげぺんぎん

奈良県奈良市出身ぺんぎん。 ばいおりんをひく。 2022年秋から年末にかけ、4つの団体を股にかけブラームス交響曲全曲を演奏する軌跡を残そうと。

最近の記事

新しい道#15 〜画家マティス めぐりあい編〜

9/14 (水) 7時57分、JR三ノ宮駅。 いつもならもう会社に着いて、pcを立ち上げている時間だ。 それなのに僕はいつもと違う時間に、いつもと反対方向に行くホームに立っていた。 この日は、いつも出向している大阪の四ツ橋ではなく、西明石に行くことになっていた。 Javaのソース改修の案件が入ってきたのだが、作業する環境構築をするのに西明石にいる偉い人に諸々教えてもらわないことがあるからだ。 いつもと違う場所に行くということで、9時始業にしてもらった。 西明石まで約20分

    • 新しい道#14 〜とある音楽家の望みの喜び〜

      9/11(日) 午前11時前にスタジオに到着。 まだまだキツい日差しの中、阪急西院駅から歩いてきた。スタジオのWebページには徒歩8分と書いてあったが、少なくとも15分はかかった。 こじんまりとした部屋だが、弦楽器奏者7人ならなんてことない広さだ。 スケールとか基礎練を済ませ、人が来るのを待つ。M浪さん、K瀬くんが来てから1時間ほどハイドンの五度を練習した。この前より少し本格的だ。未だチェロパートは空席だが、それでもその時にできることは懸命に取り組んだ。音の処理や、フレーズ

      • 新しい道#13 〜バナナはおやつに入るか否か〜

        9/10(土) 床に散らばる譜面に囲まれながら僕はそわそわしていた。 明日は待ちに待った神山交響楽団の現役生達とのアンサンブルだ。 19〜21歳達に紛れ、27歳の僕はおそらく最も浮かれていたかもしれない。 いくつかの楽譜を拾い、ファイルに仕舞うその仕草は、遠足の前夜におやつをリュックに詰める子供のように見えただろう。 僕は明日参加するメンバーが見たくてLINEを開く。過去のやり取りを見返して、またそわそわ。参加する現役生達のうち、2人は既に顔見知りだ。2人ともとても良い子だ

        • 新しい道#12 〜ブラ1聴き比べ②〜

          今回紹介するのは ベルリンフィル(以下、BPO)とクラウディオ・アバドの音源だ。 この音源、正直自分のブラ1ランキングの中で1、2位を争うくらい好きだ。熱いが、繊細さは失われず、重厚でゴージャスな響きがたまらない。 1楽章 重厚な響きだが、重く引きずられるような事はなく、リズミカルに前に音楽が進んでいく。その切れ味が堪らない。迫力のある波のような弦、繊細な息遣いの木管、神々しい輝きを持った響きの金管と打楽器。 繰り返しはなく、堂々とした神々しい木管の響きと共に進む。フレー

        新しい道#15 〜画家マティス めぐりあい編〜

          新しい道#11 〜体弱いッシモ〜

          僕の体は貧弱だ。生まれてこの方文化系を極め続けた。学校では部屋の隅で読書したり寝たふりをして休み時間を乗り切るタイプの、いわゆる陰の者だ。肌の色は引きこもりホワイト。夜な夜な暗い部屋でニヤケ面でモニターを眺めている 高校生の頃までは良かった。部活に入らなくても、体育の授業は週に2、3回ある。テキトーにやっていてもこれだけで体力はキープされる。 しかしそれ以降はどうだ。卒業以来、運動の時間なんてとったことがない。衰える一方だ。 そんなだから、最近リハや本番の次の日の疲労の溜ま

          新しい道#11 〜体弱いッシモ〜

          新しい道#10 〜耳にバナナ〜

          9/8 (木) 新しい現場に入ってもう1週間が経つ。 ようやく仕事も回り出してきた頃なので、やたらとミーティングが続く。 今の現場では27歳の僕と新人(同い年)が最年少だ。他のメンバーはみんな50代のベテランばかり。もちろん仕事の出来はすごく良いのだが、ミーティングの時に余計なことばかり話をするのだ。 今別に決めなくてもいいような細かいことを脈絡もなく話しはじめたり、急に別の話題を持ち出したりと… 僕が話している時に何回も被せて話をしてきたのには頭がきた。これには流石に「

          新しい道#10 〜耳にバナナ〜

          新しい道#9 〜映画音楽もいいよね〜

          ここ最近Amazonプライムで観ていたロードオブザリングを、ようやく観終えた。 僕が最初にみたのは小学校2、3年生の時、テレビでやっているのを偶然観た時だ。途中からみはじめたし、まだ幼い頃だったので話はあまりよくわかっていなかったけど、はじめて観た時からその世界観と音楽とアラゴルンの顔の良さに惚れていた。 今思えば、オーケストラの音を最初に好きになったのはロードオブザリングだ。それとケルトっぽい音楽も。 金管楽器の迫力に、テレビの前のおちびぺんぎんは震えていた。 大人になっ

          新しい道#9 〜映画音楽もいいよね〜

          新しい道#8 〜焼き加減には気をつけたい〜

          9/4(日) -とある昨日のできごと- あごひげぺんぎん「すいません、明日の午後から市民スタジオお借りしたいのですが」 受付「はい、空いていますよ。団体名は?」 ぺ「全部ひらがなで、"あごひげぺんぎんとゆかいななかまたち"でお願いします」 受付「あご、ひげ…??ぺ、ぺ…?なんですか?」 ぺ「全部ひらがなで、"あごひげぺんぎんとゆかいななかまたち"です」 受付「あごひげ…はあ、ぺんぎんですか…」 そして今日。 大阪フィルハーモニー会館、通称大フィル会館にやってきた。 新しい

          新しい道#8 〜焼き加減には気をつけたい〜

          新しい道#7 〜弦とレンズと麺〜

          9/3(土) バタバタした1週間だった。 この土日はリハは無く、完全オフだ。 こういう休日の場合はいつも昼近くまで寝ているのだが、この日は珍しく早起きした。 一昨日工房にメンテに出した楽器を受け取りに行かねばならないからだ。眠気も忘れるくらい浮かれて家を出た。結局この日もオンだ。 天王寺に着いて、少し寄り道をした。 せっかく天王寺に来たのだから、ついでに眼鏡のレンズも変えることにしたのだ。僕のメガネはジョンレノンモデルの丸眼鏡だ。大学2回生の時、視力の悪化&傷だらけのレンズ

          新しい道#7 〜弦とレンズと麺〜

          新しい道#6 〜ブラ1聴き比べ①〜

          9/1(木) 今日から新しい現場だ。朝の6時半起床という拷問を受け、8時始業という非人道的な働き方をしている。まだ瞼が上がりきっていない。大阪までの電車通勤約30分。少し寝たかったのだが、生憎どこの席も埋まっていた。仕方ないので気分転換に何か聴こうとイヤホンを耳に。 オケの練習シーズンが始まると、必ずやる事がある。演奏会で弾く曲の聴き比べ大会だ。 クラシック音楽の面白いところは、全く同じ曲を世界中のみんながそれぞれ演奏しているところだ。全く同じ曲なのに、国が違うだけで、弾く

          新しい道#6 〜ブラ1聴き比べ①〜

          新しい道#5 〜夏の終わりとEdenHall〜

          8/31(水) あごひげぺんぎんはサラリーマンである。 新卒で入った会社を1年足らずで辞めて、今はIT系の会社に勤めている。 社会不適合ぺんぎんなので、いつ会社を辞めて路頭に迷うか常に不安だ。 このご時世にも関わらず毎日出社をしないといけないのがほんとダルい。そのくせ、現場の社員共はリモートで1週間に一度来るか来ないかだ。舐めているのだろうか。 普段は現場に対してイライラしているのだが、この日は少し機嫌が良かった。 仕事用のショルダーバッグのほかにバイオリンケースを背負って

          新しい道#5 〜夏の終わりとEdenHall〜

          新しい道#4 〜天国と地獄〜

          昨日に引き続き、オーケストラフィエスタの練習。 駅に着くと友人カップルが。話しかけてもお邪魔になるし、追い越していくのも変な空気になりそうだし… 一定の距離を保ちつつ、後ろからついていく不審者となってしまった。 27歳なのに未だに人との接し方がわからないままでいる。 結局昼ご飯を買いに寄ったコンビニで挨拶することができた。 今日はブラームスの交響曲1番の弦分奏(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスだけでの練習)からだった。 練習場に指揮者台が無く、ストレッチ用のマットを

          新しい道#4 〜天国と地獄〜

          新しい道#3 〜練習開始!〜

          8/27(土) ついにこの日がきた。 オーケストラフィエスタ 第5回演奏会の初回リハーサル。 この日から僕の4団体を股にかけてブラームス交響曲全曲ツアーが始まった。 僕はこのオーケストラフィエスタが好きだ。 第一回の演奏会ではチャイコフスキー交響曲5番のコンマス席にいた。まだ学生だった僕らの演奏家としての情熱が熱く響いた演奏だった。そんなオケで再び演奏することができる。 指揮者の村上くんが好きだ。 ユーモラスで、音楽にひたむきに情熱を注いで僕たちと向かい合ってくれる。

          新しい道#3 〜練習開始!〜

          新しい道#2 〜前夜〜

          初日練習の前日、僕は狭い居酒屋の座敷で泡を啜っていた。 居酒屋を貸し切って、はるばる東京本社から来た総務と大阪社員の交流会だ。 明日からリハーサルが始まるというのに、何をしているんだ… みんなが綺麗にビールサーバーから綺麗な金と白の配分を作っているというのに、僕は何度やっても泡しか出てこなかった(泡が出てくるレバーじゃなくて、ちゃんとビールが出てくるレバーを押しても泡しか出なかった)。 7月から入った現場も色々揉めたりして短期で打ち切られたり、上司と闘ったり、ビールが飲めな

          新しい道#2 〜前夜〜

          新しい道#1 〜はじまり〜

          8月12日、朝の10時。 日差しと湿気で体力がすり減っていく。 8月いっぱいで現場の退場が決まっていて、僕は仕事に対してすっかりやる気をなくし、腐っていた。 せっかくの連休だというのに家に1人だけ。ここのところ毎日飲んだくれている。 何をするにしてもつまらない、フラストレーションだけが募る毎日だった。 そんな時、神山交響楽団の現役生からLINEが来た。あともう少しで秋冬の演奏会シーズンの練習が始まる。今はそんな演奏会に向けての出演依頼が殺到する時期だ。はたしてどうしたものか

          新しい道#1 〜はじまり〜