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29年間の人生で15回引っ越した女の思い出/文:ピラミ△

こんにちは。ピラミ△です。

出会いがあれば別れもある。そんな言葉が似合う季節が近づいてまいりました。

新年度が迫るにつれ新しい生活に心躍る人、特に変化がない人、仕事に追われる人、花粉に対して猛烈な殺意を抱く人、と様々な方がいらっしゃるかと思いますが、今年のわたしは「変化がありそうでないような少し何かが変わろうとしている人」っていう感じのステータス状態です。某食べるラー油のキャッチコピーよりややややこしいくらいですかね。ややの後にややこしいを並べるのも中々ややこしい言葉の羅列ですが、ややこしいといえばわたしの住居経歴です。

とにかく引っ越しが多いんですよ。

いや、全国津々浦々な転勤族を親に持ったというなら分かるんですけどね、なんで0〜23歳の間に宮城県内で13回も住まいが変わるんだという話ですよ。

なお、うち4回は就職や転勤による自己都合で、他は全部親都合です。幼少期の記憶は曖昧なところもあるので、そこも引っ越し回数とカウントするのは少し盛っている気がしないでもないですが、まもなく29歳を迎えるわたしのトータル引っ越し回数がゆうに15回を超えるのは間違いありません。これはもう、プロです。

「引っ越し」というイベント経験が豊富にあり、出会いと別れを繰り返してきたわたし・ピラミ△ことプロ引っ越シストが、皆様に「印象に残った引っ越しエピソード」を2つばかり紹介していきたいと思います。どうぞお付き合いくださいませ。

印象的な引っ越し①
「転校…そして未来予知」

小学5年生の12月、初めての戸建てに引っ越しをしました。それまでは団地のアパートに住んでいましたが、兄もわたしもそこそこの歳になったこともあってか、「手狭なアパートを卒業して戸建ての家を買おう」と親が話していたのを覚えています。

物件の内見には家族で行ったのですが……わたしのテンションはぶっちゃけサゲ。

だってココに決まってしまったら転校しなくてはならないのですから。しかも小学5年生の12月! 兄に至っては小学6年生の12月です。お兄ちゃん、卒業間近すぎる。

幼稚園の時にも転園したし、小学1年生の時にも転校を経験したわたしとしては、初めて腰を落ち着けた安息の地であり、当然友達だっていっぱいいたワケです。

まぁ兄の小学校卒業が間近だろうが、妹が友人との別れを嫌がろうが、引っ越しは予定通り12月に断行されました。

転校が決まり、クラスの皆との涙のお別れ会も終わり、今日学校を出たら皆とは会えなくなるんだなぁ…とセンチな気持ちでいると、親友のY子ちゃんが餞別にと本をくれました。

本のタイトルは「元気を出して」。

裏表紙にはその子からのメッセージとプリント倶楽部が貼ってありました。
この本は今でも大切にしまってあって、たまに読み返してエモい気持ちになる宝物です。ただ、タイトルの「元気を出して」が、見知らぬ地に引っ越していくわたしへの、Y子ちゃんなりのストレートな気持ちの表明だけにとどまらず、とある未来を予見していたことに気づいたときは戦慄が走りました。

というのも引っ越してすぐに、好きだった男の子にラブレターを送ったんだけどガン無視されたんですよね。

ああコレか、と。元気を出して、かと。

やかましいわ。

小学5年生だから「好きです付き合ってください///」的な内容ではなかったけど、一度くらい返してくれてもよくない? さすがクラスの女子14人中12人を惚れさせた伝説の鬼モテ・サッカー少年は違いますねえ! と、今になって難癖をつけたいところですが、これをしてしまうと現代SNSで言う「なんでコメント返してくれないの? 一度くらい返してくれてもよくない?」みたいなことになりそうなのでヤメておきます。返す返さないは本人の自由…いや、むしろ傷付けない優しさだったのかもしれない…。あっ、その優しさに免じて許して欲しいんですけど、ある日あなたはお気に入りのミニ四駆のモーターの軸が折れて無くなり、それを一生懸命探していましたよね? …帰ってから気付き、そのまま言い出せなかったのですが、アレ、なぜかわたしの靴下に刺さっていました。ごめんなさい。代わりと言ってはなんですが、人生の軸は折れないことを祈っております。

ラブレターを書き送った直後は、もしかしたら返事が来て「俺も実はおまえにラヴなんだぜ」みたいなことが書いてあってキャー!などと妄想し枕に顔を埋めて足をバタバタさせていた当時のわたしのバカっぷりたるや「微笑ましい」ではすまないモノがあります。

ですが待てど暮らせど返事の手紙は届くことはなく、そのうち「まぁ…そんなもんさね、男なんて…」と波止場のバーの女主人ばりに遠い目をしていた時にY子ちゃんからもらった本「元気を出して」を思い出し、一人でフッと自嘲気味に笑みを浮かべたものでした。(注:小5女子)

まぁ、戸建てに引っ越したおかげで、自分の部屋ができ、上記のような醜態を兄に晒さずに済んだ……という意味では引っ越しも悪くなかったかと思っております。本末転倒感すごいけど。


印象的な引っ越し②
「コンクリート独居房」


ハタチ半ばあたり。わたしはすでに社会人2年目を迎えようとしておりました。社会人1年目は会社の寮で暮らしていたんですけど、職場の異動があり、寮から勤務地が遠くなったタイミングでもあったので、引っ越しでもするか……って思ったんです。嘘です。

本当は、寮の家賃が2年目から跳ね上がることに肉体と経済力がついていけなかったからです。

寮1年目は月に1万円の負担のみ。これが2年目になると通常契約になるため7万円になってしまいます。相場的にも高いし、家賃の卍解はやめてほしいですね。

というワケで、寮を出てアパートを探さなきゃ…という目の前の問題をとりあえず置いといて、その時ハマっていた「入浴しながらビーフンを食べる」という謎行動を繰り返していたらいよいよ退寮の日が迫ってきたので、ギリギリ滑り込みでアパート見つけて契約しましたよ。

もちろん(もちろん?)、貯金なんてものはなく、その日その日をヘラヘラ生きていたせいで、敷金礼金の洗礼にブチ当たりましてね、借りられるところがあまり選べず、JAが管理する家賃(駐車場代込み)3万円の6畳1ルームに住むことになりました。

内見? ええ、してません。

条件や間取りが書いてある書類によると、
・フローリング(年季の入った和室とかじゃない♪)
・洗濯機置き場ナシ(近くにコインランドリーあり♪)
・ユニットバス(風呂トイレが一緒のヤツ♪)
という物件でした。

職場も近くなるしめちゃくちゃ田舎ってワケでもないしそもそも車あるし相場より安くてラッキー! OK!引っ越します! 内見? 大丈夫大丈夫。ってゆーかそんな時間ないです。すぐに寮出なきゃなんで。はい、契約完了!

で、引っ越し当日。いざ入居するために鍵を貰ってアパートに行くと玄関らしきところに鍵穴が付いてない。

え? トゥルントゥルンなんですがコレは? 

どゆこと? じゃあ渡されたこの鍵は何? お守り? とか思いながら恐る恐るドアを開けてみると…

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そこは何故かコンクリ造りの広いスペースで、ご丁寧に窓まで付いていました。

なんなら床にホウキまで落ちているし、初めてのパターンすぎて焦りました。ワンチャンキリンの赤ちゃんくらいなら飼えそうな感じだよ? 一瞬、こんな独居房みたいなトコに住めと? 模範囚になって早くシャバに出なきゃ…!と混乱しましたが、よく見ると奥に玄関がある。どうやらコッチが本来の部屋のドアらしい…!! よかった。キリン育てなくてもいいんだ…と一安心しました。

後ほど判明したんですが、このコンクリ部屋も我が家の領土らしく、言ってみれば室内にある庭的な感じ。絵にするとこんな感じです。

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このスペースへの扉は前述のようにトゥルトゥルのドアノブがあるだけなので、たまに酔っ払った隣人(知り合い)が間違えて乱入してきてビビらされたりしましたが、慣れた頃には最悪盗まれても問題ない物のちょっとした物置スペースとして活用するようになってました。

とはいえ、治安という面ではちょっと怖いですよね。コンクリ部屋までは誰でも入れちゃうワケで、たとえばわたしが仕事から帰ってきてトゥルトゥルのドアノブを回したらイケイケのパリピがフェスしている可能性もゼロではないし、そこにはキリン(赤ちゃん)がいるかもしれないので。

まぁとにかく、引っ越し初日に抱いた「何のためにココ作ったん?」っていう気持ちが今でも消えないという意味で。非常に印象深い引っ越しでした。



はい〜〜〜。というワケで印象に残った引っ越しエピソードを披露させていただきました。まぁ経験回数15回以上のプロ引っ越シストですから、他にもネタはあるんですが……例えば、

・親のダチん家に単身で居候
・初めての同棲の巻
・同棲解消の巻

……「の巻」じゃないっての。字面だけ見てると悲しい人生歩んでる感がすごいじゃないですか。まぁ、これらのエピソードのご披露はまたの機会に譲りましょう。(次回やるかも)

最後になりますが「プロ引っ越シスト」、流行らせようと思ってますけど、どうですか? 無理ですか。そうですか。では。


文:ピラミ△
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