メンズメイク vs 世間の価値観 2022年5月【2】
まえがき
過去2回、男性がレディースの服を着ることについて書きました。
今回は男性がメイクをすることについて書きます。
私は元々スカートにしか興味がありませんでした。それさえ穿ければいいと思っていました。
しかしいざ穿いて姿見の前に立つと、どうにもおかしい。全身メンズでボトムスだけレディーススカートだと、変な見た目になってしまうのです。全身のバランスを考える必要性に気付きました。レディースファッションを総合的に知りたくなったのでした。
きれいになりたいけどバレたくない
で、今日はメイクです。メンズのメイクについて、ネットの記事をあれこれ読みました。その中から、ふたつ紹介します。
まずひとつめ。書いている方の弟さんが大学生で、メイクを楽しんでいるそうです。彼はこう言いました。
この感覚、よくわかります。私はスカートを穿いて出かけると、それだけで楽しい。メイクをしたら更に楽しくなりそうです。
ただ男性ならではのハードルがあります。世間ではまだ、メイクは女性だけがするものという価値観が主流です。メイクをする男性は芸能人だけ。私(37歳)もこの価値観の中で育ちました。
きれいになりたい。だからメイクしたい。でもメイクしているとバレたくない。男性はこの気持ちと闘わなければなりません。
男性がメイクしてきれいになりたい気持ちは、世間の価値観と衝突してしまうのです。先に紹介した記事でも触れています。
別の記事を紹介します。メイクに対する男性の葛藤を端的に表現しています。
女性は社会からメイクを強制されて苦しみます。男性はそうではないので気楽なようですが、それは美しくなることを許されないことでもあります。
シミがあっても、ニキビがあっても、唇の色が悪くても、メイクできません。メイクに興味を持てば周囲から否定されます。「男がそんな小さなことを気にするんじゃない」「男は中身で勝負しろ」と叱られます。
世間の価値観との闘い
今の若い世代では、こういう感覚が薄れつつあるようです。男性も美しさを求めていい時代が来つつあります。ただ上に立つ者たちは別の価値観で動いています。親、親戚、教師、地域、企業などです。
校則の少ない学校に入る、親から早く独立する、自由な社風の会社に入る、起業する。抜け道はありますが、誰もが歩める道ではありません。
最後は自分の決断です。誰も文句を言わない無難な格好をしたところで、本人がその格好に拒否感を抱いていれば、幸せとは言えません。他人が石を投げなくても、自分で自分を肯定できなければ、結局は苦しむのです。
他者の目と自分の目。これらを総合的に見て判断することでしょう。中には他者の目があまり気にならない人もいますが、こういう人はそもそも悩みません。
大半の人は、他者の目と自分のしたい格好の間で悩みます。どちらか一方に振り切ることはできません。それなら、バランスをとるしかないのではないでしょうか。
少しずつはじめることが大事
私はスカートを穿いて外出するまで、ずいぶん抵抗がありました。はじめはズボンの上からロングスカートを穿きました。次にズボンを脱ぎました。それから少しずつ丈を短くしていき、膝上丈でも外出できるようになりました。
いきなり大胆に始めると挙動不審になります。「変じゃないかな」と絶えず不安に駆られているからです。これが一番の問題だと思うのです。よほど目立つ格好をしていない限り、他人があなたに関心を持つことはありません。
高校生グループにヒソヒソ話をされたり、清掃係の方ににらまれたりしたことがあるのですが、いずれもスカートを穿き始めて間もない頃でした。
しばらく穿いて出かけているうちに、そういう目に遭わなくなりました。当初は内面の緊張が外に出ていたから、目立ったのだと考えています。
したい格好を「10」とするなら、まずは「1」から始めたほうがいいと思います。いきなり「10」に挑戦すると、緊張のあまり挙動不審になるからです。それがあなたを周囲から浮かせるのです。
もちろん、単純にコーディネートがおかしくて怪しまれるということもあるでしょう。その場合にも、少しずつ始めることが役に立ちます。0から1、1から2と、徐々にレベルを上げていきます。
0から1の時も、1から2の時も平気だった。でも3の時に周囲から否定的な反応を受けた。この場合、2から3の間に問題があったのです。
一足飛びにやってしまうと、こういう小回りが利きません。「やっぱり男がスカートを穿いたらおかしいんだ」という結論になってしまいます。本当はトップスとのバランスがおかしかっただけかもしれません。
メイクについても同じだと思います。一足飛びにメイクしたら、否定された時にメイクすること自体を否定されたと思うでしょう。そうならないためにも、少しずつ始めたほうがいいと考えています。
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