猫の恩返し

私の弟が大学生の時の話です。
彼はバイクで通学していたのですが
途中で車に轢かれて死んだ猫の死骸を
見つけると

取りあえず道路の端によけてやり
帰り道、死骸がそのままだった時は
持ち帰って

近所の公園の片隅に煮干しとともに
埋葬してやっていたそうです。

母が猫好きだったことから
うちではずっと猫を飼っていたので
弟も猫好きでした。

エンジニアになって
バイクのエンジン開発の仕事に
就いた彼は、学生時代もよく仲間と
ツーリングに行っていました。

ある日、スピードを上げて
走っている最中に
耳元で猫の鳴く声が聞こえて
スピードを落とすと

走行中の道路の先に砂利が
散らばっていて
前を走っていた仲間は
皆転倒したそうです。

その時は気のせいだと思ったそう
ですが、その後も何度も
バイクで走行中に危険が迫っていると
猫の鳴き声がして助かるという事が
あったそうです。

煮干しと共に埋葬してもらった
事故死した猫達が恩返しを
していたのでしょうか？

それから何十年も過ぎた今は
もう昔のような無茶はしないせいか
バイクで走行中に猫の鳴き声を
聞くこともなくなったそうです。