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ドラマみたいな不倫話⑩

私が25歳の時、高校時代からの彼氏と結婚が決まってました。
付き合って8年。
既に家族のような関係で、大きな不満もなく、幸せでした。
ただ、当たり前ですが、初々しさというか、恋愛の新鮮さは無くなっていました。
それに加えて私は、彼が初めて付き合った男性で、このまま他の男性を知らなくていいのか?と、マリッジブルーになってました。

そんな時、職場の男性社員に食事に誘われました。
以前から、何回か誘われていたのですが、既婚者だし断ってました。
その時は、「たまには気分転換にいっか」と軽い気持ちで食事に行く事にしました。
考えてみれば彼氏以外の男性と2人きりで食事なんて初めてかも知れません。
そう思うと、私は急に緊張してきたのですが、いざ食事が始まると楽しくて楽しくて。
7歳上でひろきさんという方なんですが、社内と違って、とても話しやすく、最初は仕事の話が多かったんですが、だんだんとプライベートの話に。
酔いもだいぶ回った頃に、私のマリッジブルーの話を聞いたひろきさんが、急に私の手を握ってきて、「僕で良ければ」と。
私はコクンとうなずいてました。

彼氏以外と初めてのセックスは、興奮と新鮮さと、背徳感でとても感じてしまいました。
その日以来、ひろきさんとは週一のペースで会うようになりました。
罪悪感はあったのですが、その時は快楽に溺れたいうか、久しぶりの男女のドキドキ感がクセになってしまって。
結局、結婚式の直前まで、ひろきさんと体の関係はありました。
さすがに結婚を機にやめようと思い、ひろきさんも納得して、関係は終わりました。

問題はその後です。
私はあることに気づいたのです。


生理が遅れてる。。。


1ヶ月たち、2ヶ月がたってもきません。
私は薬局へ行き、妊娠検査薬を購入。
結果は「妊娠 陽性」
私は目の前が真っ暗になってしまいました。
実は、ひろきさんと避妊具無しでしてしまい、お腹の子の父親が、夫かひろきさんなのか、私には分からなかったのです。
とりあえず夫に妊娠の報告をすると、とても喜んでくれました。
私は悩みました。
このまま黙っていてもバレないのではないか。。。私さえ黙っていれば、幸せなまま。
でも、夫の無邪気に喜んでいる様子を見てたら、どうしても嘘はつけませんでした。

私は夫に正直に「あなたの子か分からない。」そう伝えたのです。
そう伝えた時の彼の顔は、不安と驚きと悲しみといった人間のネガティブな感情をすべて写し取ったような表情で、今でも夢に見ることがあります。

「いったいどういうことだ?!」
「誰の子なんだ?!」
怒鳴られるのを覚悟していたのですが、意外にも彼から出てきた言葉は、

「気づかなくてごめんな」

そう言ってきたのです。
なぜ彼が私に謝るのか、私には理解が出来ませんでした。
そして、こんないい人を裏切った自分はなんて汚いのか。
そう思うと涙が止まらず、言葉にならない声で、ずっとひたすら謝り続けました。
1時間ぐらいは謝り続けてたと思います。
少し落ち着いてきた頃、夫は私を抱きしめて、「お腹の子は自分の子だから」と言うのです。
「俺の子で間違いない、俺の子だよ」
と、優しい顔でした。
私はさらに涙が溢れて止まりませんでした。


夫と話し、ひろきさんには私の妊娠のことは伏せたままです。
無事に女の子を出産し、すくすくと育ってます。
夫もとても娘を可愛がってくれています。
彼の本心は分かりませんが、今はとても幸せに暮らしています。


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