その光が照らすもの 12.幕間 2

中学生のときの晴人は荒れていた。荒ぶっていた。ハチャメチャで滅茶苦茶だった。野蛮で横暴で非道で怠惰だった。誰もが恐れ畏怖し話しかけられる人はごく一部だった。ごく一部とは後に夜覇王のメンバーとなる者。高校生の晴人のようになるのは中三になって半年の頃だった。それまでは正しく魔王であった。
中学の三年間で晴人、翔、賢也、奈緒の四人で学校内で壊した物は窓ガラス十二、机八、椅子十、扉十一、トロフィーなどの記念品二十以上、水道六、壁の破損五十以上。生徒からだけでなく教師までもが恐れる存在であった。
この頃の晴人と共に生活した者たちは不幸である。しかしこの頃の晴人も不幸であった。暴れることしか術を知らなかったのだ。それでも晴人の傍にいた翔たちのおかげでだんだん無駄な暴力を振るわなくなった。
中学のときに晴人、翔、賢也、奈緒、一つ年上の咲里の五人で夜覇王というチームを作った。そのチームは他学校の不良、高校生の不良をも引き入れ、中学を卒業する頃には東京三大不良チームになるほどまで強く、膨らんでいった。
その中で犯罪にも手を染めたりもした。それが殺人。それも一人や二人ではない。
チームの誰かが負傷させられたとか犯罪に巻き込まれたとかあるとその原因となった人や組織に殴り込みに行っていた。そのときにやりすぎて命を奪ったこともあるのだ。
その残虐さから《鬼神》の通り名が付いた。その他にもチームの主要メンバーはそれぞれ通り名が付けられた。

これは晴人と夜覇王の過去のほんの一部である。
次話は新章突入。
というかこれからが第一章です。

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