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#12 マジョリティとマイノリティは逆転し始めている

「新しい時代のお金の教科書」が1話無料で読めるマガジン。前回は「価値は、需要と供給で決まる一般的な概念から文脈価値へと変化している」という話でした。

今回は、社会構造の変化を見ていきます。編集秘話では、「性の商品化。私たちは次に何を商品化するのか?」についてひもといてみます。

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 さて、21世紀型の新しいビジネスはどのようなものが考えられるでしょうか?

 これまで述べたことをふまえると、21世紀型の承認欲求・所属欲求を満たすビジネスは何があるでしょうか? なかでも、多様化(ダイバーシファイド)、個別化(パーソナライズ)、自己肯定化(セルフ・エスティーム)を満たす方法について考えてみてください。

 例えば、ペットロボット、AIボット(映画「her」)などを使って人々の孤独を埋めたり、「VICE」のような特定の層を狙ったメディア作りや、LGBTなどマイノリティをターゲットとしたビジネスを通して、個人の自由な生き方を肯定する、地方創生を成果報酬型ビジネスにしたり、Tinder を通した新しい出会いや自動翻訳サービスを通した新しいスムーズなコミュニケーションを元に新しいコミュニティとそのインフラを創るビジネスなどは考えられないでしょうか。

 ハロウィン・コスプレマーケットの拡張、YouTuber の台頭、読者モデルなどを通した芸能人の概念の崩壊、創作物がダイレクトに世界中の消費者に届く仕組みなどを通して、表現欲求・自尊欲求をさらに拡大しています。20世紀のようにドンペリを購入したり、高級車に乗る形で誇示するのでなく、それらモノを省いて直接、換金できる方法を通して中間財(モノ)を省けないだろうか? などたくさん考えられると思います。

 すべてのキーワードはモノからコトへ。人々が求めているのは生きるための機能ではなく、つながりや物語だということです。

タテからヨコへ——究極のネットワーク社会の到来


 これまで国家、技術、経済の観点から変化を捉えてきました。最後は、社会の仕組みです。ここでのキーワードはタテからヨコです。

それまでの国家が発行した貨幣を使う時代は完全なタテ社会でした。匿名のエネルギー(金)を使って現実社会をコントロールできる者が勝者でした。これからはもっと濃いネットワークの中で、それぞれの個人の信用が担保され、やり取りをする世界です。このヨコ社会では、広大なネットワークの海を自らのつながりと信用を使って自由に泳げる者が勝者となります。覇権はシフトし、両者の力関係が逆転するのは2020年頃だと思われます。

社会はタテからヨコへと変化している


 これまで作り上げてきた世界・システムを維持・運営する組織・人をマジョリティと言い、そこからあぶれているが、新しい仕組みを創りだそうとする層をマイノリティと言います。

両者の価値に差はありませんが、現在、戦後のシステムが出来て70年経ち、マジョリティシステムが崩れようとしていることは事実です。なぜなら、その比率が逆転しようとしているからです。

 日本のマジョリティ層は正規雇用労働者や従業員1000人以上の会社での勤務、専門職、公務員およびその家族であり、マイノリティ層はニート(60万人、疾病ニート、コミュニケーション障害ニート、高学歴ニート等)、若年派遣労働者、LGBT(15人に1人)、シングルマザー(70万人)、独居老人(100万人)、年収200万円以下(1000万人)の人たちです。その比率は今や、マジョリティ6、マイノリティ4ぐらいにまでなっているのです。

 ひと昔前は、80〜90%がマジョリティでした。でも今は、車椅子の人は7%ですし、働いていないニートの比率も中年を中心に急激に高まっていました。高いですよね。LGBTも実際には、50種類くらいあります。つまり性的な指向も多様化しています。

 しかし、一般化したとはいえまだ社会の中で偏見や差別に苦しんでいる人も多くいます。

 大きな変化は感じられないかもしれませんが、マイノリティとマジョリティが逆転するというのは、社会構造が変化するという点で重大な変化です。

「タテ」のマジョリティ、「ヨコ」のマイノリティ


 マジョリティとマイノリティの違いは、構造に現れています。

 すでに出来上がったマジョリティのシステムは基本的に「タテ」。それに対し、円心をくりぬかれた周辺部に位置するマイノリティは「ヨコ」でつながるようになります。

 マジョリティとは、中心にいてタテのラインが強固であり、マイノリティは周辺にいるのです。真ん中が空洞で、タテのラインを作りようがないのでしかたなくネットワークを作り出します。これが一番大きな違いです。

 マジョリティの基本的な発想は、資源を吸い上げて、上からシャワーのように降らすことです。

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 これは出来上がったシステムなのであたりまえです。

 また、マジョリティが提供するものは、生活(衣〈医〉食住)に必要な「コモディティ(匿名の製品・サービス。例えばお金/票/エネルギー)」です。生活に必要なのはコモディティですから、人々が生存欲求を求めている時はこちらが便利です。そしてタテのマジョリティが資源を集めて集約し一気に分配する時にお金やコモディティが便利です。金融庁→都銀→地銀→信金とお金が流れ、エネルギーは電力会社などが一括で発電し流していきます。

 一方、マイノリティは円の中心をくりぬかれており、分散しています。

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 なので、ヨコでつながることが基本となるのです。ネットの普及はマイノリティのつながりを一層強化しつつあります。マイノリティは、必要に応じて、資源を集約せず対等なつながりの中で融通しあいます。それは、相互扶助の仕組みであり、それぞれの社会的欲求(承認欲求・つながり欲求)を満たすことに適しています。逆に、大量生産が有利に働くコモディティの流通には適しません。

 お金は、必要に応じてプロジェクト単位でクラウドファンディングを用いて集めますし、知識や情報もヨコのネットワークで調達します。エネルギーは、電気を大量に「作る」のでなく、個別にためておいて、必要に応じて「配分」(スマートグリッド)し、政治も、みんなの意見を吸い上げて共有します。

本文:山口揚平(新しい時代のお金の教科書)

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<編集秘話>
今回のメッセージは「社会はタテからヨコへと変化している」でした。

 今回もここまでお読みいただきありがとうございます!次回は、3/5「横社会の正体」についてです。

 編集秘話では「性の商品化。私たちは次に何を商品化するのか?」についてお話ししますね。次の商品化は、山口の本でも話題の”あれ”でした…


昨年は、キャバ嬢女子アナ、日経AV記者など「性の商品化」の是非があらためて問われてきたけど、そんなのは序の口だと思われます。
今年は、性以外の聖域も、一気にコモディティ化してくるでしょう。
過去、あらゆる共同体社会が、資本によって、格差→貧困→移民→難民問題への道を歩んでいます。
資本(数字)という単一指標を選択した瞬間に、共同体はこの宿命から逃れることはできません。
では、資本が、共同体の道徳・倫理を蹂躙し、タブー(聖域)を白日の下に晒し、商品化するこのプロセスの次のターゲットはどこでしょう?
まずは、家族と結婚制度の崩壊、次に水と土地(空間制約)へ、そして資本が最期に飲み込むのは、もちろん「時間」です。
時間銀行、時間泥棒、つまり時間の完全言語化こそが資本主義の終着駅です。ヒトの機械化です。
かくして、三次元(物質世界)は、資本(数字)によって統一され、やがて我々は、次元の壁を越えてゆくでしょう。
しかし、それは善悪の問題ではなく、単なる進化のプロセスなのかもしれません。
現実を否定する者は愚かです。流れに抗うのも賢い者の所作ではありません。
共産主義も社会主義も、不可逆に逆らう愚か者の考えです。
我々がすべきことは、ただ意識のダイヤルを自己の本質という焦点へ合わせ続けることです。
それが、愛なのか空なのか無なのか光なのか、僕にはわかりません。(2015/1/2山口揚平)


”三次元(物質世界)は、資本(数字)によって統一され、やがて我々は、次元の壁を越えてゆくでしょう。”…


時間を数字によって統一し、伸縮可能でコントロールできるものに統一していくのだろうか?

この問いへの回答が、21世紀から22世紀へと人類が進化していく過程において重要になってくるようですね。

時間と空間を征した私たちが次に用いる言語は、と言うと…


(編集秘話: 大西芽衣)

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