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みんなと私の『動機づけ面接』ーークライエントとの同行二人指南(19) 『人は話し方が9割 』の感想文

またちょっと違った角度から動機づけ面接の話をする。『人は話し方が9割 ーー1分で人を動かし、100%好かれる話し方のコツ』という本の感想文である。

動機づけ面接は面接のスタイルなのであるから、要するに話し方というか話の聞き方なのであるという理由で強引に絡めるのである。この手の啓蒙書は学問的な知見ではないが実践知であり、臨床にも使える。

そもそも動機づけ面接は学問の仮面を被りすぎである。だからそれが高尚なものであると勘違いをしがちだが、心理学で言われる多くのことは常識を改めて述べた過ぎない(ときにはそれ以下であることさえある)。もっと学問以外のものに目を向け、そこに位置づけていこう。


では早速『人は話し方が9割』にまとめられている、『100%好かれる話し方のコツ』を順に述べていこう。


『100%好かれる話し方のコツ1』は、「話し方のうまい人が周りにいる環境に身を置く」とあるが、動機づけ面接でも、周りにうまいカウンセラーがいることは重要だろう。「観察学習」というやつである。

私は動機づけ面接を理屈から学ぶよりも、うまい面接から帰納的に学ぶほうが良いと思っている。「ああ、こんな感じでやればいいのか」と経験から学ぶのだ。「開かれた質問とはイエス・ノーで答えられない質問で、そちらのほうが閉じた質問より良くて・・」みたいな教え方からよりはずっと多くを得られる。

経験的な学びには理屈以上のものが入るのであろう。


『100%好かれる話し方のコツ2』「「否定のない空間」に身を置いて、自己肯定感を高める」、『100%好かれる話し方のコツ3』「「否定しない」「うなずく」「プラストーク」の3つで話し方は、劇的にうまくなる」は、まず相手を肯定するということである。それも全肯定、すなわち「受容」である。クライエント中心療法でも重視されていることである。


『100%好かれる話し方のコツ4』「人は自分に深い関心を寄せてくれる人を好きになる」は動機づけ面接の最初のプロセス「関わる」がなぜ役に立つかの理由を教えてくれる。①人は自分への関心がいちばん強く ②自分のことをわかってほしい生き物であり ③わかってくれる人に好意を持つ からである


『100%好かれる話し方のコツ5』「「話す力」より「聞く力」を磨く」、『100%好かれる話し方のコツ6』「聞くことに徹すれば、人生そのものが変わる」

" 話し方は「聞き方が9割」 " ( p44 )


とある。よく言われることである。

これは『100%好かれる話し方のコツ4』と同じことを言っているのだろうが、大事なのは「「話す力」より」が付け加えられていることだ。クライエントのほうが多く話すようにする、は動機づけ面接でも重視されることである。

カウンセリング技法とは聴く技法である。クライエントは「聴く」というサービスを利用しに来ており、カウンセラーは「聴く」ことでお金を貰っているのである。


まだまだ共通点はあるが、飛ばそう。最後にこちらを。

『100%好かれる話し方のコツ35』「相手の「言葉」を額面通り受け取らず、本当の「感情」に気づいてあげる」



動機づけ面接は専門家の特別な知識ではなく、ビジネスの世界でもとっくになされていることなのだということを押さえたい。私は動機づけ面接のエッセンスを拾うという視点でこの手の本を読み、人にその技術を伝えるために利用させてもらうことにする。



#読書の秋2021

#人は話し方が9割


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