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結局観る、アクション映画

映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』のネタバレを含みます。


事前に、赤井ファミリーについて描かれた映画『名探偵コナン 緋色の不在証明』が3週間限定で劇場上映されていたのを観ていたので、本作の期待はかなり高まっていた。


「いよいよ黒い服を着た連中の組織との話にも進展が?」



漫画の連載である本編は、基本的には毎回相互に関係のない殺人事件をその都度コナン君が解決するという展開である。そこに、黒ずくめの連中の話がときどき絡んでくる。このTRPGのキャンペーンシナリオのような構成は、探偵話の裏で宿敵ジェームズ・モリアーティ教授と戦う『シャーロック・ホームズ』と同じである。

だが名探偵コナンではなかなか宿敵が倒されない。『エヴァンゲリオン』が完結したのは寂しいが、コナンに関しては早くけりをつけてほしくてならない。

結論を言うと今回は、赤井ファミリーがみんな出てきたよ、っていうだけで、それほど大きな謎が明かされたとは思えない。ちょっと期待していただけに残念ではある。

そうは言っても、前作の映画とタイトルで煽られなければ、いつも通りに楽しめるのはたしかだ。ハリウッド映画に劣らぬ手に汗握る作品である。そう、『名探偵コナン』は、日本が世界に誇るアクション映画だ。スケボー、バイク、カーアクション、狙撃に建造物破壊である。アヴェンジャーズに匹敵する!

日本では法的な制限もあるのでアクションシーンを撮りづらい上に、日本という舞台がどうしてもアクションになじまない。だがアニメの世界ではそれが可能だ。名探偵コナンの映画は安定したハイクオリティーのアクションを届け続けてくれる。


悪の組織との対立のテーマは映画で、扱われるときとそうでないときがある。もうかなり長い年月、このテーマは引っ張られている。コナンや灰原が成長せず、新一と蘭の関係も進展せず、さらには蘭の髪型も変わらないのは納得できる。だがゲンタたちが成長しないのは納得がいかない。いやなんの話だ?


違う!組織の秘密が早く明らかになれ、という話だ。長く引っ張ると、登場人物も山のように増えてしまう。蘭にに気の毒だ(作者もそう思ってか、蘭にはときどき新一に会わせる。今回も声だけ聞くことができた。ディープフェイクを使えば、オンラインで顔を合わせるくらいはできると思うのだが)。


組織の秘密を解明し、潰すのだ。壮絶な闘いを経て、コナンの正体が蘭に分かり……みたいなことになるのかなー。やっぱり。正体秘匿系の主人公の出る作品の最終回ってのはそんなもんだ。新一と蘭の結婚式で最終回かな。


だが、このドル箱人気作品を、出版社も読者も手放さなさそうだ。組織との対立だけでも終わらせる手もあろうが、正体を隠す必要のなくなったコナンの魅力は下がるだろう。ことによっては大きくなる方法も見つけないと不自然かもしれない。コナンは消え、新一の話になってしまう。

すると少年探偵団からは、「今まで騙していたのかよー」と文句を言われるし、蘭には「お風呂であたしの裸見たわね」と問い詰められる。いや、それがいちばんの問題ではない。


アクションだけではなく、蘭と新一の永遠に微妙な距離を保つ恋物語、本格的なトリックを天才たちが鮮やかに解決するミステリー、少年探偵団と博士ら、刑事たち、毛利探偵といった脇役が繰り広げるドタバタ。手を変え品を変えのお約束は、もはや国民が定期的に求めるものなのだ。


え?恋物語?ドタバタ?永遠に年を取らないキャラクターと安定した物語?どっかで聞いたことがないか?



『男はつらいよ』だ。

そうか。『名探偵コナン』は、人情が頭脳に変わった「寅さん」なんだ。



じゃあ、しかたないなあ。どれだけ引っ張っても。



それでもいつかは終わるだろうね。完結せずに作者が死ぬ、なんてことではよろしくないし。


それにしても今回は、ちょっとありえないようなミラクルアクションがあったよ。あんなもん観ちゃっていいのかねー。目が肥えるよ?次のハードル上がってるよ?


それでも、裏切られないんだろうなー。我々は贅沢な視聴者になっちゃったなー。


Ver 1.0 2021/5/1


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