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知ってるつもり? デザイナーHの社会科見学 株式会社 広真(前編)

はじめに

新連載「知ってるつもり、大人の社会見学。」と題しましてクリエイティブに関わる人、企業。クリエイターを支えている人にフォーカスしてインタビューしてまいります。

みなさん普段、”印刷”って気にしていますか?

当たり前ですが、身の回りに印刷物って溢れているんですよね。身近にあり過ぎて、あまり日常の生活で意識することは少ないです。印刷に関わることが多いグラフィックデザイナーも案外、印刷の現場にまでは行くことは少ないかもしれません。

「株式会社 広真」

記念すべき1回目の社会科見学は、さぬき市志度にある「株式会社 広真」さんです!約40年前に創業の香川で5本の指に入る規模の印刷会社さんです。

では早速、中に入ってみましょう!

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大きな敷地内には、これまた大きな建物が並んでいます。オフ輪工場棟と呼ばれる建物の中には、オフセット印刷の輪転機とオンデマンド印刷機があります。中に入ると、広い、屋根が高い!スケールに驚きました。

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オフセット印刷のフロアを案内してくれるのは生産管理部の大石さんです。(以下大石さん)

工場のスケールに緊張気味の私たちでしたが、大石さんの朗らかな笑顔にほっとしました。

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ドーンと目の前に印刷物が飛び込んできます!フル回転で工場稼働されているんですね、すごいなぁ。

大石さん「カタログ関連は横ばいですが、折込チラシが少なくなってきて、チラシの生産量は75%ほどです!」

広真㉚

ええー!マジですか?これで?75%。。。 100%になればどうなるのだろう?と広真さんのスケールにまたまた驚きました。


印刷のカットは1時間で約10,000シート(約80,000部)

1日で約22万シートの印刷物をカットしているそうです。

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この保全室ってなんですか?
大石さん「これは、工場内の印刷機などが故障した際に自社で修理してるんですよ」
機械を大切にする精神!エコシステムですね。自社で修理することは既存の印刷会社では珍しい仕組みだそうです。

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オペレーターは職人

工場中央部にある、オペレーションルーム。チラシが並んでいて、何かをチェックしています。

広真印刷社A


大石さん「見てください。この色、右と左がちがうでしょう?」
差し出された、チラシの洋服の色の違いが判りますか?

広真印刷社B


大石さん「左がすこし赤っぽく見えませんか?」

目を凝らして、よく見てみると・・

確かに、右が青めで左が赤いですね。こんな微妙な違いもしっかりと調整されているそうです。

「私たちオペレーターがデザインの意図を汲み取り、食べ物は美味しく見えるようになど、広告対象によって色の出力の微調整をしています」

コンピューター管理ですべて対応していると思っていました。


「カメラで一枚一枚検査していますが、5000枚に一度は必ず人の目でインクの調子を確認したり、ゴミなどがないかも含めチェックしていますよ。
1mmほどのホコリも見逃さないようにしています」

実際のチラシを見せていただきましたが、私たちには気づけないような細やかな作業ばかりです。これは、職人の領域ですね。

広真印刷社C


印刷に無知な私は、失礼ながら単に機械を動かしているだけだと思っていました。 何万枚の大量の印刷物を扱うのに、こうして人の手や目でしっかりと管理しているんですね。プロフェショナルな仕事を見学することができました。
大石さん、お忙しい中ご案内いただき本当にありがとうございました。

オンデマンド印刷について

オフセット印刷のスケールの余韻に浸りつつ、次はオンデマンド印刷のフロアに移動です。

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ここからは株式会社広真のスーパー営業マンの伊賀さんにご案内いただきます。

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先ほどと違って、オフィスフロアのような落ち着いた雰囲気です。
あれ、伊賀さん。フロアにMacで作業している方がいらっしゃいますが??

広真印刷社E

伊賀さん「そうです。オペレーター兼デザイナーが作業しています。今年は新卒採用も行いました」
おお。そうなんですか、印刷会社にもデザイナーがいらっしゃるのですね。

チラシなどの紙媒体の受注が減少。名刺などの小ロットの案件に対応する為に、自社で企画 デザイン 印刷をするようになっているそうです。

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フロアの真ん中におおきく陣取っているこの機械はなんですか?
伊賀さん「これがオンデマンド印刷の印刷機です」
いわゆる、コピー機ですよね?

広真印刷社D

で、でかいですね、私がみた中で最強のコピー機。

伊賀さん「そうですね、大きさもインパクトありますが、この設備投資に新人プロ野球選手の年棒くらいの費用がかかっています」

おおっ、生涯かけても私では払えない金額。

でも印刷一枚の単価って数円のような。減価償却が大変。。などと余計なことを考える私たち小市民。

伊賀さん「最近は、ノベルティから小ロットの印刷や納期の限られた案件なども増えてきているので、名刺とかリーフレットなどは全てこの印刷機で対応できます」

確かに、少し加工のある印刷や有名キャラクターを使ったリーフレットのサンプルがたくさん並んでいます。

※著作権の関係で、残念ながら写真がとれませんでした。

グラフィック以外にも幅広く対応

これは、すごい!

販売促進、WEB制作から映像動画まで、グラフィック印刷だけではなく幅広く対応してるんですね。もう広告代理店の領域にまで、対応されているんですね。

伊賀さん「弊社は全国に支店があり、西日本を中心に県外からの受注も多く、皆様が一度は目にしたことのある、企業さんやブランドのお仕事も手掛けさせていただいております」

さすが、香川県有数の印刷会社!

伊賀さん「グループ関連企業が増えまして、今は総勢やく400名ほどの組織になりました。印刷物専門の配送も手がけております」

なるほど、今は印刷物の運送まで一貫して行うんですね。

伊賀さん「一度に大量に印刷するオフセット印刷と小ロットでスピーディーに対応できるオンデマンド印刷。この2種類を駆使してお客様のご要望にお答えしています」

でも全国対応をはじめ、それぞれの案件に細やかな対応していると苦労もあるんじゃないですか?

伊賀さん「もちろん、案件の中には気を遣う部分もありますが、私たち株式会社広真の強みは”人間力”です。実は印刷設備は他社もそこまで変わりません。私たち営業とオペレーターをはじめとする広真のメンバーが一丸となって協力し、お客様のご要望に真摯にお答えしています」

確かに、出会う人出会う人がみんな気持ちのいい挨拶してくれて、働くみなさんの印象がすごくよかったです。

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伊賀さん「正直、今、印刷業界は紙離れが進んでいます。だからこそ・・」

ちょいちょいまったー。なんか核心に触れる話が聞けそうじゃないですか!

印刷会社の営業マンの描く未来とは?ぜひ伊賀さんのお話を聞かせてください!

後編にてご紹介します。

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次回もお楽しみに。

まとめ

香川で創業して約40年の株式会社 広真。地元スーパーのチラシ広告を中心に地域密着で成長してきました。きれいに整備された工場には、オフセット印刷とオンデマンド印刷の設備がありました。圧倒的な生産量を誇るのですがその裏では、オペレーターさんたちの職人の経験と目でしっかりと管理生産していました。工場ときけば、コンピューター管理で生産していると思っていましたが、広真さんは”人間力”で印刷物の質を向上していました。また、印刷以外の事業にも参入し、企画、販売促進の依頼まで幅広く対応されています。お客様のご要望に応えようとする、広真さんの経営姿勢が表れていると感じました。人間力で紙離れの時代を乗り越えようとする印象でした。