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古書に親しむ  毎週ショートショートnote

古書に親しむ  【410字】

「それ、間違ってるよ」
思わずそんな独り言を吐いてしまった。
さる高名な国学者本居宜長なる者のエッセイのやうなもの。それを読みける者ありけり。わしのことじゃ。柄にもなくこんな本を手にしてみたくなることもある。
さては「王勝間」などというおおぎょうなタイトルの本だが、読み易うありけり。
日本の海運についての言及ありけむ。
檜垣廻船、樽廻船。
樽廻船はその名の通り酒を運んだものだと。大阪から江戸に物資を運ぶのはいい商いになったやうだ。檜垣の方は日用品を運んだのだとか。樽は安くて人気が出て、酒以外のものでも使われるようになった。安くて安心ならば、そっちを使うわな。
この二大巨頭に紛れて、ルフィなる者の怪しげな船が横行していたとある。その名も桜回線だと!
おいおっさん、字がちげえぞ!廻船だろ!とその王なんてらにツッコミを入れる。
次のページをめくると、大きな文字でこう書いてあった。
「表の著者名をよう見てみぃ。わしは本居よろながじゃ!」


*本居長様がお書きになったご本は「勝間」にございます。
お間違えになりませんように。


たらはかにさま
今週2本目、よろしくお願いいたします。

そんなにnote goodsがほしいんかい!
というそしり、受け付けております。


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