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遊戯王 マスターデュエル:テーマ「軍貫」について(前編)

当ノートでは、遊戯王 マスターデュエルに実装されているテーマ「軍貫」について解説します。

《真炎竜アルビオン》や《合体魔神-ゲート・ガーディアン》が実装された2023年12月05日のアップデートの直後の環境を想定した内容になっています。

テーマ全体の特徴について概説したり、テーマ内カード・関連カードを紹介する「前編」。基本的な動かし方や具体的なコンボルートに言及する「中編」。デッキレシピをまとめた「後編」の3つに分けています。

当ノートは前編です。


概要

遊☆戯☆王オフィシャルカードゲームにおいて「軍貫」は2021年4月17日に発売された基本パック「遊戯王OCGデュエルモンスターズ DAWN OF MAJESTY」で初登場・カテゴリ化したテーマです。

キャッチコピーは「しゃりを握って闘う『軍貫』!」ということで、いろいろな意味でネタに走ったテーマと言えるでしょう。寿司だけに。

そんな「軍貫」は2023年12月05日時点では以下11種類のカードが実装されています。

  • 通常モンスター

    • 《しゃりの軍貫》

  • 効果モンスター

    • 《いくらの軍貫》

    • 《しらうおの軍貫》

    • 《赤しゃりの軍貫》

    • 《うにの軍貫》

  • フィールド魔法

    • 《軍貫処 『海せん』》

  • 永続魔法

    • 《おすすめ軍貫握り》

  • 通常罠

    • 《きまぐれ軍貫握り》

  • エクシーズモンスター

    • 《弩級軍貫-いくら型一番艦》

    • 《空母軍貫-しらうお型特務艦》

    • 《超弩級軍貫-うに型二番艦》

遊戯王 マスターデュエルにおいては永続魔法《おすすめ軍貫握り》を除いた10種類のカードが実装されている状況です。

ところで、実装されているカードのなかに《赤酢の踏切》というものがあります。一見すると「軍貫」カードのように見えますが、その効果はどう考えても「軍貫」とは関係ありませんので、当ノートでは「軍貫」カードとしては扱わないことをお伝えしておきます。

特徴1:炎属性・水族のランク4・ランク5エクシーズテーマ

「軍貫」は炎属性・水族のレベル4・レベル5メインモンスターを素材に、ランク4・ランク5のエクシーズモンスターを立てていくテーマです。特にランク4エクシーズモンスターが出しやすいようにデザインされています。

展開するエクシーズモンスターに制約はありませんので《No.39 希望皇ホープ》でも《深淵に潜む者》でも《十二獣ドランシア》でも何でもエクシーズ召喚できます。

ただ、特定の「軍貫」モンスターを素材にエクシーズ召喚すると効果を発揮できる「軍貫」エクシーズモンスターとは特に相性が良いので基本的にはそちらを立てていくことになるでしょう。

特徴2:戦闘特化

「軍貫」は戦闘にほぼ特化しています。

11種類あるカードのうち、相手に対して妨害を飛ばせるカードが《超弩級軍貫-うに型二番艦》しかなく、しかも、その効果の発動タイミングは自分メインフェイズ中か相手バトルフェイズ中に限られるという、明らかに戦闘を意識したものになっています。

ただ、だからといって後手捲り能力が特別強いのかというと、そんなことはありません。1回・2回くらいの妨害であれば踏み越えることができますが、それ以上の妨害を飛ばされるとキツイです。

よって「軍貫」系アーキタイプのデッキ設計方針としては、テーマ外カードで妨害能力を持たせるか、あるいは後手捲り能力を伸ばすかで個性を出していくことになります。

特徴3:しゃりとネタで1セット

当テーマでは「しゃりの軍貫」として扱うカードが手札・フィールドに存在するときに効果を発揮するカードが多数存在します。詳しくは後述しますが、例えば《いくらの軍貫》は自分フィールド上に「しゃりの軍貫」が存在するときに手札から特殊召喚できる効果と、デッキトップ3枚のうちに「しゃりの軍貫」が存在するときは当該「しゃりの軍貫」を特殊召喚するか手札に加える効果を持っています。

元々「しゃりの」軍貫として扱うのは通常モンスター《しゃりの軍貫》しか存在しなかったのですが、手札・デッキ・フィールド・墓地においては自身を「しゃりの軍貫」として扱う効果モンスター《赤しゃりの軍貫》が追加実装されたことで、それら「軍貫」カードの効果を発動させやすくなりました。

そういった事情から「軍貫」系アーキタイプにおいては特別な理由がないかぎりは《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を3枚ずつ計6枚投入するのが基本となっています。

特徴4:余るエクシーズ素材を積極利用

エクシーズテーマである「軍貫」にはテーマ内にも3種類のエクシーズモンスターが用意されているわけですが、それら「軍貫」エクシーズモンスターにはエクシーズ素材を取り除いて発動する効果がありません。「軍貫」には妨害能力がほとんどないので、エクシーズ素材を消費してでも妨害効果を持たせて欲しかった……というのが正直なところです。

無いものねだりをしても仕方がないので、ここは発想を転換してみましょう。「軍貫」はエクシーズ素材が余るテーマなので、エクシーズ素材を取り除いて発動する系のカードを積極的に利用できると捉えるのです。具体的には《エクシーズ・ギフト》などが該当します。

テーマ内カード概説

ここまでの情報を踏まえたうえで「軍貫」カードをそれぞれ解説します。文章量の都合からカード効果を読み上げるのはできるだけ避け、私の解釈を中心にお伝えします。

《しゃりの軍貫》

当テーマのキーカードです。

通常モンスターなので《予想GUY》や《苦渋の決断》といった通常モンスターサポートカードの恩恵を得ることができます。何気に攻撃力が高いのも良いですね。

3積み必須です。

《いくらの軍貫》

効果②は適当に使っても「しゃりの軍貫」を当てることは難しいです。メインデッキ総枚数が40枚。《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を3枚ずつ計6枚投入。ゲーム開始時の5枚ドローで《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を1枚も引けなかった場合に《いくらの軍貫》の効果②で《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を1枚以上当てることができる確率は44.2%です。1枚引いていた場合は38.0%です。あまり頼りになりません。

有効活用するためにはデッキトップを操作できるカードが必要になるわけですが、ちょうど「軍貫」カードにはデッキトップを操作できる《しらうおの軍貫》と《軍貫処 『海せん』》があります。

総合的に考えると安易に3積みしてよいか判断に迷うカードですが、少なくとも2積みくらいはしていても大丈夫だと思います。

《しらうおの軍貫》

効果①は《いくらの軍貫》の効果①の上位互換です。

効果②は手札から《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を出して自身とともにランク4エクシーズモンスターに繋げることができます。このとき出すのは《空母軍貫-しらうお型特務艦》になると思いますが、効果②でデッキトップに「しゃりの軍貫」を置いておけば《空母軍貫-しらうお型特務艦》のドロー効果で「しゃりの軍貫」を引くことができます。

また、この効果②のデッキトップ操作効果は墓地からデッキに「しゃりの軍貫」を戻せるということでリソース回復にもなるなど一石三鳥の効果となっています。

基本3積みで良い気がしますが、デッキの枠が圧迫されている場合では2積みに減らすのもアリです。

《赤しゃりの軍貫》

「軍貫」ファン待望となる、事実上2枚目の《しゃりの軍貫》です。

《しゃりの軍貫》とは異なり効果モンスターであるため、通常モンスターサポートカードの恩恵は受けられませんが、そのぶん強力な展開効果を搭載しています。

3積み必須です。

《うにの軍貫》

簡単に自己展開できる効果とサーチ効果を兼ね備えた良カードです。

3積み必須です。

《軍貫処 『海せん』》

初見時は「なんか強そう!」と思わされますが、実際に使ってみると「これ要る?」となる系のカードです。

効果①は《いくらの軍貫》や「軍貫」エクシーズモンスターと相性が良いのですが、それらモンスターを出す前に発動しておく必要があります。そのためには投入枚数を増やす必要があるわけですが、そこまでの価値があるカードではありません。かといって、1積みして《空母軍貫-しらうお型特務艦》でサーチするのでは発動するタイミングがちょっと良くない感じです。

効果②は非常に強い効果……に見えますが実際には割と強い程度です。

1つ目のバーン効果ですが、よくよく読むと「軍貫」エクシーズモンスターの守備力ぶんのダメージを与えるとあります。それらカードの守備力は《弩級軍貫-いくら型一番艦》が300、《空母軍貫-しらうお型特務艦》が250、《超弩級軍貫-うに型二番》が500なので雀の涙です。しかも、1ターンに1度しか発動できません。

2つ目の特殊召喚効果ですが、手札に「しゃりの軍貫」がないと発動できないので発動条件が限られます。「しゃりの軍貫」を素材に出した「軍貫」エクシーズモンスターは1ドローするので手札から出した「しゃりの軍貫」ぶん手札リソースを回復できるのは良いのですが、非常に強い効果かと言われると疑問符が付きます。

総合的に考えると非採用か1積み、多くても2積みくらいで十分ではないでしょうか。

《きまぐれ軍貫握り》

かなり良いカードです。名称ターン1も付いていないので環境テーマ用の《きまぐれ軍貫握り》があったら間違いなく制限になっていたでしょう。

ただ、それは簡単に妨害を構えることができる環境テーマに限った話。「軍貫」はそのあたり弱いのでリソース回復系なのに罠カードなのが、うーん……という感じです。魔法カードだったら即採用でした。

非採用か、多くて2積みで良いかと思います。

《弩級軍貫-いくら型一番艦》

効果①の1ドローは先攻・後攻ともに価値ありますが2回攻撃能力付与は後攻でしか役に立ちません。

効果②も相手が自爆特攻しかけてきた場合は相手ターンでも発動できますが、現実そのような状況はほとんど発生しないので事実上、後手捲り専用の効果です。

ということで、この後手捲り特化型カードは1積みか2積みで良いと思います。

《空母軍貫-しらうお型特務艦》

効果①はドローとサーチを一緒にできるので普通に良い効果です。ただ、「軍貫」魔法・罠は全体的にしょぼいのでサーチを活かしきれているとは言い難いです。

効果②は効果破壊耐性が頼りになるうえ、少しだけではありますがパンプアップ効果もありがたいです。

1積みか2積みで良いと思います。

《超弩級軍貫-うに型二番艦》

効果①の直接攻撃能力付与は珍しいですが良い効果です。ドローも普通にうれしいです。

効果②は「軍貫」にとって貴重な妨害効果ですが使いどころが限られるので先攻妨害要員として見なさないほうが良いです。捲るときに攻撃を妨害されないように妨害をかけるための効果と考えてください。

1積みか2積みで良いと思います。

関連するカード・テーマ概説

「軍貫」と組み合わせると相性が良い。あるいは一見すると相性が良さそうだけれども意外と微妙なところがある。そんなカードやテーマを簡単に紹介します。

「占い魔女」

ドローしたときに手札から特殊召喚する効果と、手札から特殊召喚したときに発動する効果を持ったテーマです。なお、ゲーム開始時の5枚ドローで引いても左記効果は発動できません。

「軍貫」はドローを繰り返すテーマなので相性が良いかと思ったのですが……いや、実際相性は良いのでしょうが、そもそも論として「占い魔女」全体のカードパワーが弱いので組み合わせるとかえって弱体化してしまう感じがあります。仮に、手札から特殊召喚したうえでさらに1ドローしてくれるのであれば問答無用で採用するのですが、それはやりすぎというものですしね。

もし「軍貫」と組み合わせるのであれば《魔法使い族の里》も投入しましょう。そうすれば先攻は「占い魔女」モンスターと《魔法使い族の里》を組み合わせたロック盤面。後攻は「占い魔女」モンスターの手札からの特殊召喚時効果で展開しながら盤面を捲っていけます。

「勇者」

通常召喚して効果を発動するモンスターが必須ではない「軍貫」との相性は抜群です。

「魔鍵」

「通常モンスターを軸とする『軍貫』は、同じく通常モンスターを軸とする『魔鍵』と相性が良い」という話を聞いたので回し方やデッキの組み方を調べていたのですが、あまりシナジーがあるようとは思えませんでした。

全くシナジーがない、というわけではなく1つのデッキ内に「軍貫」軸の動き・「魔鍵」軸の動きをそれぞれ持てるので、どちらかの動きを潰されても片方の動きで最低限の展開ができる……程度には相性が良いのかなとは感じました。

ただ、その程度であれば「軍貫」も「魔鍵」もそれ単体で組んだほうが強いように感じました。

《クシャトリラ・フェンリル》

ほとんどのデッキに出張採用されている《クシャトリラ・フェンリル》ですが、当デッキとも相性は悪くない……のですが特別良くもない微妙な立ち位置にいます。

というのも「軍貫」はドローを繰り返して必要なカードを手札に引き込んでいくテーマですが、そのドロー効果を発動するタイミングにはフィールド上にモンスターが存在するのが常です。

よって《クシャトリラ・フェンリル》の特殊召喚効果が使えなくなります。個人的に《クシャトリラ・フェンリル》の強みはコスト無しでの特殊召喚によるところが大きいと考えていますので「軍貫」とはややミスマッチです。

もちろん、相性が悪いわけではないので採用するのは全然アリです。

《エクシーズ・ギフト》

「軍貫」エクシーズモンスターは「しゃりの軍貫」を素材にエクシーズ召喚すれば1ドローできるうえ、エクシーズ素材を消費して発動する効果がないので当カードと相性が良いです。

上手くいけば「軍貫」エクシーズモンスター3種類のドロー効果で3枚。《エクシーズ・ギフト》を3連打で6枚。計9枚を、1ターン中にドローすることもできます。

初動には何ら寄与しないので上振れ用のカードですね。

《ジェネレーション・フォース》

名称ターン1制約なしに「エクシーズ」カードをサーチできる強カードです。

「軍貫」系アーキタイプの方向性の1つとして、エクシーズ素材を消費して発動する「エクシーズ」カードを多用するものがありますので、そういったデッキであれば当カードはキーカードになります。

《エクシーズ・テリトリー》

戦闘に特化した「軍貫」エクシーズモンスターの戦闘力をさらに強化します。そのうえ疑似的な破壊耐性も兼ね備えています。

エクシーズモンスター自体には耐性を与えるわけではないので別の手段で守りたいですが、そこで《空母軍貫-しらうお型特務艦》の効果②が活きてきます。

「軍貫」との相性はかなり良いです。

《切り裂かれし闇》

効果①・効果②のどちらも「軍貫」と嚙み合っています。

「軍貫」系アーキタイプであれば1枚は入れておきたいですね。

《オーバーレイ・ネットワーク》

「軍貫」に限らずエクシーズテーマ全般と相性が良い気がしますが、ともかくオススメです。

《FNo.0 未来皇ホープ》からの《FNo.0 未来龍皇ホープ》

ランク4かランク5のエクシーズモンスターを複数並べやすいので《FNo.0 未来龍皇ホープ》を出しやすいです。

《星守の騎士 プトレマイオス》

レベル4モンスターを3体以上並べるのは難しくないので出しやすいです。状況に合わせて重ねるエクシーズモンスターを選べるのも汎用性があって良いですね。

《賜炎の咎姫》

炎属性モンスターを主軸とする「軍貫」とは好相性です。

ただ、このカードを出すために「軍貫」モンスターを素材として消費するのは色々ともったいないです。

このカードを出したいのであれば召喚権・コストを消費せずに出せるカードを採用して、そちらを素材に出すようにしましょう。特に《幸魂》や《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》といったレベル4モンスターとして扱えるカードであればレベル4「軍貫」モンスターとともにランク4エクシーズモンスターに繋げることもできます。

総評

なんども指摘しているように「軍貫」自体は後攻に特化したテーマです。先攻の適性は全くないのですが、かといって「ヌメロン」系アーキタイプや「列車」系アーキタイプのように強引に盤面を捲っていくだけのパワーもないという、なんだか中途半端な性能になっています。

展開に際してサーチではなく、ドローに頼らざるをえない効果が妙に多いのも気になります。カードの使う順番などを意識することで、ある程度は対応できるのですが、結局のところは「未界域」系アーキタイプを使っているときのようなアドリブ力が求められます。

ただ、ドローの利点に注目するならば「サーチできない、あるいはサーチする手段は一応存在するが現実的ではないのだが、手札に引き込めるように複数枚投入するのは色々な理由から難しいカード」をピン挿ししておいても手札に引き込め可能性が生まれるのは「軍貫」独自の利点と言えます。

総合的なパワーとしては、環境テーマと互角に戦えるほどの強さはありませんが、かといって全く歯が立たないというほど弱いわけでもないくらいの立ち位置です。

遊戯王 マスターデュエルにおいては、テーマカードにURがないので安く組めます。SRも《赤しゃりの軍貫》3枚、《空母軍貫-しらうお型特務艦》1枚、《超弩級軍貫-うに型二番艦》1枚、計5枚あればとりあえずOKという感じですので気軽に触りやすいかと思います。


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