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2021年下半期お気に入り音楽


 2021年下半期で良かった音楽作品紹介です。フジロックにも行けたし、国内は平常になり始めていますが、なかなか来日公演がままならないですね。2022年こそは、洋楽アーティストをたくさん生で観たいものです。
2021年の上期はこちらから。↓

 いつも通り、ランキングではなく、順不同です。ではどうぞ。

『Changephobia』/Rostam

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 ヴァンパイア・ウィークエンドの初期メンバーで、インディーロックの名プロデューサーとして活動するロスタム・バトマングリの新ソロ作。基盤となるメロディ部分も穏やかで素敵ですが、リズムトラックとかはちゃんと、ヒップホップなどのダンスミュージック以降を感じさせる今のセンスになっています。何よりも、全編に渡って使用されているサックスの使い方が最高。


『Silver Lining Suite』/ 上原ひろみザ・ピアノ・クインテット

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 超絶技巧のジャズピアニストというイメージを持っていましたが、弦楽四重奏と組むことで、即興力ではなく、旋律部分のセンス、作曲家としての能力の高さが強調されたと思います。その場の演奏力自慢ではなく、作品としてシンプルに素敵。とはいえ、もちろん弦楽器隊も含めて、演奏アンサンブルも凄まじいものがあります。


『Deep States』/Tropical Fuck Storm

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 オーストラリアのアート・パンク・バンドによる新アルバム。打ち込み主流のシーンの中で、4ピースのバンド編成、それでいて、ちゃんと異形の音楽、オリジナリティある音というのがカッコイイですね。ソニック・ユース、初期ボアダムズを感じさせるノイズまみれの中に、少しのポップさが垣間見える瞬間が快感です。M⑨「Legal Ghost」が名曲。ライブで聴きてー。


『HEY WHAT』/Low

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 前作『Double Negative』も大傑作だったんですけど、衰え知らずという感じで今作もマスターピース級。歪んだギター、ベース、シンセの音をミックスしたようなノイジーな音処理とか、どう作ってんのかという驚きのインパクト。それでいて、全体のメロディはゴスペルのような荘厳の美しさがあります。暴力的でありつつ、静謐という音楽で、Lowはちょっと凄いレベルに達していますね。


『Mercurial World』/Magdalena Bay

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 ラジオの「アト6」で紹介されていて、一発で好きになりました。80‘sシンセポップを基調としながら、軽薄さの裏に、インディーポップ的なオタク臭やメロディの切なさがあって良いんですよね。M⑤「You Lose!」はかなり繰り返し聴いてしまいました。


『An Evening With Silk Sonic』/Silk Sonic

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 説明不要な、ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるスーパーユニット。70年代のオーソドックスなソウルミュージックを、ちゃんと現代の音で消化していて、まさしくタイムレスな曲群。聴いている時の楽しさでは今年ダントツ。トータル30分は短すぎかと思いきや、全体がくどいくらいにソウルフルで味付けが濃いので、結果として丁度いいと感じましたね。


『30』/Adele

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 シンプルに曲と歌声の魅力で、キャリアを積み重ね続けるアデル。今作も最高の歌声ですね。若干、レゲエやR&B的なブラックミュージック感が出てきているのが変化でしょうか。曲単位では前作『25』の方が上かもしれませんが、アルバムのトータル感は今作の方が上だと感じました。Spotifyにシャッフル機能の削除を求めるだけありますね。ラスト曲「Love is A Game」のカーペンターズ感が最高。


『Friends That Break Your Heart』/James Blake

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 オリジナル曲のEPと、カバー曲のEPを経て、5作目のフルアルバム。相変わらずの名曲揃いで、クラクラしてしまいます。正直、音楽的にはあまり変化が見られないんですけど、それでもここまでの曲を揃えてくるのは、やはり恐ろしいクリエイティビティだと思います。でも、もうラッパーとのコラボは流石に飽きてきたかな。次回作はもう少し冒険してほしい。ダサかった前作と違って、ジャケットがキモイのも好きですね。


『Sometimes I Might Be Introvert』/Little Simz

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 様々なレビューサイトでも、年間ベスト候補に挙げられている、ロンドンの女性ラッパーのアルバム。ケンドリック・ラマーの名盤『To Pimp a butterfly』を彷彿とさせる完成度。トラックも、ストリングスアレンジも最高。サブスク全盛で短い時間のアルバムが主流の中、一時間越えの大作というのもカッコイイですね。


『心理』/折坂悠太

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 個人的には2021年、ダントツでベスト作品。弾き語りのソロアーティストのイメージでしたが、今作での生バンド感は素晴らしいものになっています。特にエレキギターの多彩な使い方には、脱帽しました。それと、元々素晴らしい詩作家ではありましたが、今作の曲群の歌詞は本当に傑作揃いですね。間違いなくこのアルバムのハイライト、M⑨「炎」での、“あいつが来たら 眠らせてやろうよね” という部分。「あいつ」が誰なのか、どんな事情なのかの説明がないことで、聴き手が誰かと重ね合わせることも出来るし、「あいつ」を自分自身に置き換えて慰められることも出来るんですよね。若い人にとっては、しっかりとした物語性のある歌詞が好まれているようですが、こういう解釈の余白がある表現作品の方が、自分は愛せるんですよね。何年経って聴いても、新しい解釈が繰り返し出来そうです。何度も涙して聴こうと思います。


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