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【都市伝説】『赤い部屋』
赤いワンピース
ある日の夜半過ぎ、
赤いワンピースを着た若い女がタクシーを呼びとめた。
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女は小声で運転手に目的地を告げた。
目的地
そこは車では数時間かかる深い山の中だ。
ういむいた女の顔は長い髪に隠れていて良くわからないが、
なんとはなく陰気な感じもする。
![](https://assets.st-note.com/img/1719851204947-54qCx5jwDg.jpg?width=1200)
やがてタクシーは女の告げた目的地に着いた。
あたりにはうっそうとした森が生い茂り、人の気配はまるでない。
女の行先
女は黙って料金を運転手に差し出すと、
一人で森の奥へと消えて行った。
運転手「若い女性がこんな時間に、こんな山奥にいったいなんの用だろう?
もしや自殺でも考えているんじゃないだろうな」
心配になった運転手は、
こっそりと女のあとをつけてみることにした。
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女は暗い山の奥へとどんどん進んで行く。
すると、
やがて森が開け、一軒の小さな家が見えてきた。
小さな家
![](https://assets.st-note.com/img/1719851826453-yEmMwVVdVf.png?width=1200)
女はその家の中に入っていく。
運転手「あの女はここに住んでいるのかな。
いずれにせよ、自殺だなんて俺の考え過ぎだったか」
と、安心したその運転手は、今度はこの家に興味が出てきた。
こんな山奥の不便な場所にぽつんと一軒だけの家。
しかも、
住んでいると思われるのは若い女。
なんとも興味をそそられる……
不思議なことである。
好奇心に負けた運転手は
こっそりと家に近づき、
鍵穴から家の中をそっと覗いてみた。
すると……
![](https://assets.st-note.com/img/1719927843821-xccqeVcC2F.png?width=1200)
彼の目に飛びこんできたのは、
燃えるような真紅の部屋。
なにもかもが血のような鮮烈な赤で染められた部屋だった。
女は
鍵穴から覗ける範囲には見当たらない。
ドアのようなものも見当たらないが、
おそらく他の部屋にでもいるのだろう。
彼はしばらく鍵穴を覗きつづけていたが、
やがて「何もかも赤い部屋」
の存在に薄ら寒いものを覚えて、
その場をあとにした。
一軒のラーメン屋
山を降りた運転手は、ふもとで一軒のラーメン屋を見つけた。
![](https://assets.st-note.com/img/1719929094067-ZrCuRGqspc.jpg?width=1200)
すっかり腹ぺこになっていた彼は、
夜食を食べようとその店ののれんをくぐった。
ラーメンを待つあいだに、彼は店の主人に先ほど乗せた女の話をした。
すると、主人はその女のことを知っているという。
店の主人「彼女に会ったんですか? 」
運転手「偶然、街で拾っちゃってね」
店の主人「へー、そうかい。あの子も可哀想にねぇ。 あんな場所に一人、
人目を避けるように住んでいるなんて……」
運転手「何か事情があるのかい? 」
店の主人「いやね、彼女にはちょっと変わったところがあるんですよ。
ご覧になりませんでしたか? 」
運転手「?! 」
店の主人「病気のせいなのか何か知りませんが……
彼女の目は真っ赤なんです」
つまり……
つまり、彼が部屋だと思って見たていたものは…
覗き穴の向こうから、
じっと彼を覗き返す
彼女の真っ赤な瞳だったのだ。
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