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【雨雲出版】小出版と強くなるアナログツール~ZINEフェス、文学フリマ

引っ越し荷物も片付かないままに、雨雲出版の二度目のイベント出店を終えた。
一度目は昨年末の文学フリマ、今回はZINEフェス埼玉というZINEを売るひとたちが集まるイベントだ。ZINEフェス自体は複数個所で行われているそうだが、そのうち浦和で2月3日に行われた回に初参加してきた。

ZINEとは、個人やグループなどが発行する自主的な出版物のことである。

雨雲出版としては、ベッシー・ヘッド作品の日本語訳を商業出版として世に出すために準備を進めており、現在用意している3冊のインフォーマル出版冊子は、そのためのプロモーションと位置付けている。

いわゆるZINEの範疇に入るかどうかはわからないが、このような機会には積極的に参加し、ひとりでも多くの方にベッシー・ヘッドを好きになってもらえたらと願っている。

ZINEフェスは浦和パルコの一角を借りた小規模のものではあるが、様々な出展者がおり、彼らと話すのもお客さんと言葉を交わすのもとても面白かった。

文学フリマとはずいぶん毛色が違うものの、伝統的な出版社の商業出版と違う、このように自由な形のインフォーマルな小出版は、もしかしたら以前よりもずいぶん広まっているのではないかと感じた。

学生時代に文芸部活動以来、長いあいだこのような創作世界から離れていたから、余計に知らない世界が活発に見えるのかもしれない。
だが、このようなイベントは回数や参加人数が増えているのではないかと思う。

そして、商業出版の中でも、ひとり出版社や小規模出版社など、これまでの出版業界とは一線を画すような自由な出版の形を志す動きが目立ってきている。

たとえばテレビなどの王道のマスメディアも、徐々に個人で発信するインフルエンサーやYouTuberなどに力を譲りつつあるように、出版もまたインフォーマルな小出版へと力を譲っている部分があるのだろう。

いわゆる商業出版で本を出すプロの作家やライターであっても、このようなインフォーマル出版の世界では好きなものを作り世に出しているという話も見かける。
つまり、世の中へ創作物を届けるツールというのは、選択肢が広がるとともにそのフォーマル/インフォーマルのパワーバランスの境界線があいまいになっていくものなのではないだろうか。

わたし自身も、昔はベッシー・ヘッドに関して自分で何らかの冊子を作り世に出すなど考えたこともなかった。しかし、今ではこのようなイベント出店の機会を通じ、様々なアイディアが浮かんでくる。

そして、この時代ではあるが、アナログの良さがかえって前面に出てきたのではないかとも感じている。小さな紙の冊子を、小さなブースで、直接創作者から購入する機会は、ずいぶん古典的な世界かもしれない。

だが、わたしが学生時代に作っていたリアルなアナログ世界は、現在の小出版・インフォーマル出版文化とは明らかに一線を画す。

昔は、本当に紙を配るしか伝達手段がなかった。
あとは、出版社からの商業出版しかなかった。

それが、いまでは紙の良さとデジタルの良さを融合させ、紙で出したものをデジタルでプロモーションしたり、広い範囲にリーチアウトして広がっていったりと、インパクトも格段に違う。
紙の小冊子とはいえ、侮れない力を持っているのではないかとも感じる。

それゆえに、手に持ったアナログの温かさとひと交わす会話の豊かさも相まって、出版の世界はどんどん面白く自由になっていくように思うのだ。

イベントでは、隣に並んだ出展者やお客さんと会えて貴重な体験だった。

雨雲出版としても新しいアイディアを得た気がする。

これから先の時代、出版はどんどん形を変えていくのだろう。
頭を柔軟に、取り組んでいきたいものだ。

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【16/100本】

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