何でもない日のちょっと嬉しかった話
2日前の夜。
遅番の仕事終えて、デスクに戻る。
同僚は皆納涼会なので周囲は閑散としている。
私を含む5名は当番なので欠席。美味しいビール飲みたかったな。
そんなこと思いながら、誰もいないことを良しとしてオフィスで音楽流しながら作業を始める。
気づいたら0:00。そろそろ帰ろうかと、職場を出る。
嵐になるとか言ってた割には、雨降ってないなぁ。
地面濡れているから、もう止んだのかなぁ。なんて思いながら帰路につく。
ところが5分後、ポツポツ雨が降ったぁって思った瞬間。
雨が嵐に変わるとう参事。
もう諦めて、濡れて帰ろう。
そんな心境で、考え事しながら、音楽聴きながら、しかめっ面で腕組みながら早足で歩いていた。
横から大丈夫ですかって声がする。
自転車に乗った同年代ぐらいのお兄さんが傘を差し出してくれていた。
"自転車なんで、傘あげます" とお兄さん。
"近くなので大丈夫です" と言ったものの、明らかに私の状態は大丈夫ではない。
ありがたく受け取り、お兄さんは大雨の中爽やかに去っていった。
雨に濡れて、悩み中で心も体も冷え来てたのに。
とても嬉しくあったかい気持ちになった。
たった一つの小さなビニール傘。
ものの価値は物語で変化する。
なんでもない日の何でもない日のちょっと嬉しかった話。
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