見出し画像

静寂

HAPPYマインド・ダイアリー P. 11


前は、静かな空間が苦手だった。
一人の部屋。
まな板に包丁の当たる音だけが響くキッチン。
換気扇の音が静けさを倍増させる湯船の中。
静かな空間に身を投じるときは大抵、音楽を流してごまかす。

小さいころはテレビをつけて。
10代はコンポでCDを流して。
20代はダウンロードした音楽をiPodで。
今じゃ、スマホやタブレットをBluetoothにつないで、いろんなデバイスから音楽を流せる。

いつでも、どこでも、好きな音楽をデバイスに縛られず聴けるようになった今ごろになって、静かな空間を求めるようになった。

静かなほうが、圧倒的に集中できる。
それを知ってからは、読書中や勉強中に音楽を流すなど、もってのほか。
まえは音楽を聴きながらよく本の内容が頭に入ったもんだ、と過去の自分に感心すらする。

不思議なもので、いったん静寂が平気になれば、べつに集中しなくていいときに静かな空間にいても、息が詰まることはなくなった。
耳は無意識に音を求めているのか、屋外の遠くのほうで鳴く鳥の声や、風に押されてきしむ家の音を敏感にキャッチする。
そして、あぁ静かだな、と思う。

静寂を受け入れられるようになって、世界はまた少し広がった。

サポートは動画編集やメンタルヘルス関連の活動費にチャージします。 記事を読んで下さっているみなさん、いつもありがとう(*´ω`*)