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物語創作に役立つ書評:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」

ご覧いただきありがとうございます。この書評は以下のnoteで示したフォーマットで書かれています。詳しく知りたい方は是非、参考にしていただけると幸いです。

物語創作に必要な3つの要素(コンセプト・人物・テーマ)を「「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」」から抜き出します。

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コンセプト→(ストーリーの土台となるアイデア。「もし~だとしたら?(what if ?)」という問いで表すとはっきりわかる。)

もし、任天堂元代表取締役社長「岩田聡」の言葉から人物像を理解するとしたら?

困っている人がいたり、問題を抱えている人がいると解決したくなる。
自分だったらどうするだろうなと真剣に考える。
ほかのひとが喜んでくれるのがうれしくて仕事をしている。
周りの人が喜んでくれるのが嬉しくて仕事をしているんです。

困っている人を助けずにはいられない、やさしい人柄の岩田さん。
岩田さんは、2015年7月11日に亡くなりました。
卓越したプログラマでありながら、任天堂の社長としてニンテンドーDS、Wiiといったゲーム機を世に送りだし、「ゲーム人口の拡大」に貢献した人物だということは知っている人も多いのではないでしょうか。

様々なウェブサイトに点在する岩田さんの言葉を集めてみると、岩田さんの内から見た人物像が見えてくる。また、親交の深い糸井重里さん、宮本茂さんのインタビューから、岩田さんの外から見た人物像も見えてきます。

今はオンライン上にデータを残せる時代となりました。故人の人格をデータとして残し、「あの人ならなんて言うだろう……聞いてみよう。」を実現できる日が近いかもしれません。
たとえ、いなくなってしまっても、また会える。話せる。ことも夢ではないかもしれません。

本書では、あまり表に出てくることが少なかった任天堂元代表取締役社長「岩田聡」のウェブ上に残っている言葉を集めて、その人柄が浮き彫りになるよう構成されている本です。岩田さんのマネジメントについての考え方、コミュニケーションについての考え方が非常に勉強になりました。

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人物の世界観→(人の世界観は社会の価値観や政治、好み、信条などに培われ、その人の態度や習慣に表れる。)

人間はやっぱり自分のやったことをほめてくれたり喜んでくれたりする人がいないと木にはのぼらない

自分の作ったものを「人に見せたかった」んでしょうね。

高校生時代、プログラムできる電卓に出会い、授業中にゲームを作っていたという岩田さん。隣の席の友達が、自分の作ったゲームを楽しんでプレイしてくれたことが、人生にいい影響を与えていると思う。と振り返っていました。

人に喜んでもらえたら楽しいーーー実感したとしても意外と言葉では出てこない、心に響く言葉ではないでしょうか。

本書では、みんながハッピーであることを実現したい岩田さんの世界観を感じ取ることができます。

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人物のアーク→(ストーリーの中で体験する学びや成長。自分にとって最も厄介な問題をいかに克服するか。)

他に誰もいなかった。好きか、嫌いかではなく「これは自分でやるのが一番合理的だ」と思えばすぐに覚悟が決まる。

HAL研究所が15億円を借金を抱え、広い意味で倒産したときに社長に就任した岩田さん。会社は社員からの信用がない状態のため、社員一人一人との面談を行うことにしたそうです。面談を通して、自分たちの強みを把握し、社長としての判断基準を作っていきました。

その面談の時に私は「判断とは、情報を集めて分析して、優先度をつけることだ」ということが分かったんです。「そこで出た優先度に従って物事を決めて進めていけばいい」と思うようになりました。

気づきを得て物事がうまく回るようになったHAL研究所は6年間で15億円を返済することに成功しました。ピンチの時に先頭に立った岩田さんの覚悟に改めて感銘を受け、責任を負うことの重要性を改めて感じることが出来ます。

本書では、15億円の借金を抱えた極限状態だからこそ見えた岩田社長の気づきを学ぶことができます。

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人物の内面の悪魔との葛藤→(心のネガティブな側面。認識や思考、選択、行動を左右する。「知らない人と話すのが怖い」といった欠点は内面の悪魔の影響で表れる。)

そう宣言したんだから「あなたはハッピーですか?」と訊くのは文脈にあっているんです。で、そうして訊くとですね……まあ、いろいろなんです(笑)。

商品づくりを通して、作り手である我々と遊び手であるお客さんを、ともにハッピーにするのがHAL研の目的である。と宣言した岩田さん。社員との1対1の面談で「あなたはハッピーですか?」と聞くようにしたそうです。

中には不満が溜まっている社員もいたそうです。
不満を持っている相手は、不満がたまっていればたまっているほど、まずその不安をこちらが聞かないと、こちらの言うことは耳に入らないと実感した岩田さん。
聞き上手であることで会話がうまくいく理由が岩田さんのコミュニケーションに対する考え方からも伺えます。

なにか言おうとしたのに、口を遮られて「それはこうだよ」と言われたら、「あぁ、この人はなんにも分かってくれない」と思って当たり前ですよね。

本書では、岩田さんの考える、内面の悪魔との戦い方を知ることができます。

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テーマ→(簡単に言えば、テーマとは「ストーリーが意味すること」だ。世の中や人生との関わりだ。)

後悔したくないし、力があるならそれを全部つかおうよ。

誰かの役に立ったり、誰かが喜んでくれたり、お客さんがうれしいとおもったり、何かをもたらす当事者でいつもいたいんです。

自分が何かできる、手を出せばよい方向に変えられる状況にあるのに大変になるからやらない。なんてのはもったいない。当事者になろう。
岩田さんは、みんなをハッピーにするため、熱意と謙虚さで仕事に取り組んできた人でありました。

人の笑顔のために仕事をする大事さはまさに本書のテーマとも言えると考えます。

本書では、岩田さんの強さとやさしさに触れることができます。

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本書は以下の本です。


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