FT-IRを使った浴分析

こんばんわ。
FT-IRを使っためっき液の分析方法に関する論文を読んだので記録しておきたいと思います。

著者は甲南大学と石原薬品㈱の研究グループです。
石原薬品って聞いたことないけど知ってる気がすると思ったら、2013年に石原ケミカルに名前を変えていたんですね。

回路実装学会に掲載されたのが1995年のようなので、今では当たり前の内容かもしれませんね。
今まで勉強不足でした…

論文の目的は、無電解めっき液を自動検査するためにFTIR-ATRを使った分析手法を確立することです。

FTIRは赤外線の吸収を使った分析方法ですが、その中でもATR法は表面を分析できる手法です。

駅の分析にFTIRを使う場合は、専用の容器に液を入れて透過測定をするのが一般的だと思います。
表面分析としてのATR法の特徴よりも、簡易的な分析手法としてATRにメリットがあると考えているようです。

確かに会社のFTIRも基本的にはATRで測るようにセッティングされているし、使い勝手が良いのは理解できます。
ただ、自動検査機を作るなら透過でもいい気がするんですが、何か他のメリットがあるのかもしれません。

分析方法

分析方法の手順は以下のようなものでした。

  1. 目的の官能基を検出しやすいpHを決める

  2. 測定したい成分が入っている浴と入っていない浴の差分スペクトルから、その成分の特徴となるピークを見つける

  3. 毎に濃度の異なる液を測定し、2.で見つけたピークで検量線を作る

  4. 未知組成の浴を分析する

  5. 得られたスペクトルをBeerの法則から導出される比例原理と加算性原理を使ってカーブフィッティングし、ピーク分離する。

  6. 分離されたピークから検量線を使って定量化する。

5は、複数の組成のピークが近い場所にある際に必要になる手順です。
何種類くらいまで分離できるのか分かりませんが、スペクトルの精度が高ければ細かい差も見られる気がしないでもないです。

また、1~3をやっておけば、4~6は10分程度で評価できるということで、これをシステム化すれば、生産中の自動検査+自動補給システムに利用できると書かれています。

自動システムはともかく、手順が分かりやすく自分たちでも出来そうな気がします。
会社のATRは液体用ではないのですが、透過や顕微IRでも出来る気がするので、一度検討してみようかなと思いました。

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