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アドウェイズの事業とデザインの関係を解剖 ・ 第二回: グローバル事業部門とクリエイティブチーム

アドウェイズの事業とデザインの関係を解剖シリーズでは、
アドウェイズの主要な事業部部門をクリエイティブチームとの現在・未来の取り組みを交えて、各事業部門の責任者をゲストに迎えた対談・鼎談形式でご紹介します。

第一回目の広告事業部門に続き、今回は、国境を超えて事業に取り組むグローバル事業部門をフィーチャーします。

アドウェイズのグローバル事業部門では、海外拠点や関連部門と連携し、主にアプリ、EC、ブランドマーケティングに関する事業開発・推進をしています。2004年から展開している中国を筆頭に東アジアを中心に事業基盤があることが特徴であり強みです。

近年は、アプリマーケティングに注力しつつ、ナショナルクライアント向けのブランドマーケティング領域にも力を入れています。特に、ブランドマーケティング領域ではCreative-techを強みとし、クリエイティブの研究開発や企画・制作においてクリエイティブチームとも密に連携しています。

今回の座談会では、インタラクティブ広告やXR*活用も関連しているブランドマーケティング領域を中心にお話いただきます。

* XR(クロス・リアリティ, エクステンデッド・リアリティ)
VRやARといったあらゆる仮想空間技術(または空間拡張技術)と、現実(私たちがいるフィジカル空間)を違和感なく融合し、これまでにない新たな現実を創る技術のこと

野田 順義(のだ のぶよし)
富士フイルム株式会社に入社。写真関連製品の海外マーケティングに従事の後、2006年 アドウェイズ入社。モバイル広告事業を担当。
株式会社電通レイザーフィッシュを経て、当社に復帰しモバイル広告事業の責任者に。2011年 執行役員に就任後、2013年6月に取締役に就任。
前田 大輔(まえだ だいすけ)
1984年に大阪市で生まれ、6歳からは北九州市で育つ。
高校卒業後、アートコーポレーションに入社、引っ越し作業や営業業務に従事。21歳で上京し、ITベンチャー立上げや事業拡大に参画。
2011年にアドウェイズ入社し、国内アプリマーケティング事業責任者、中国アプリマーケティング事業責任者を経て、2019年よりブランドマーケティング事業立上げに従事。
成田 裕忠(なりた ひろただ)
2016年 アドウェイズ中途入社。動画編集デザイナーチームのマネージメントとクリエイティブ制作のディレクションに従事。
インタラクティブ案件では、プランニング・クリエイティブディレクション・デザイン・動画編集などを担当。


01
グローバル事業部門の
ブランドマーケティング領域について

クリエイティブとテクノロジーの駆使を武器に

成田:
グローバル事業部門で力を入れているブランドマーケティング領域にあたるブランドマーケ事業を前田さんが統括されているとのことなので、具体的にお聞きできますか?

前田:
ブランドマーケ事業は、ブランド(ナショナルクライアント)のデジタルマーケティングを担っています。
現在は、日本と台湾にフォーカスしています。配信先として日本と台湾で展開し、広告を配信するプラットフォームはUNICORN(ユニコーン)です。

まず、日本と台湾で、事業の違いがあるのでお話しします。
分かりやすいのは台湾です。すごくシンプルで、台湾ではゲーム面の動画枠だけをナショナルクライアントに向けて販売しています。動画広告の視聴を許諾したユーザーのみにフルスクリーンで動画再生する仕組みでブランドセーフティや視聴率を求めるナショナルクライアントから非常に好評です。

日本に関しては、ウェブ面とアプリ面で違いがあります。
基本的に、ウェブ面に関しては、リッチクリエイティブを扱っています。3Dを使ったものや、クリエイティブ上でユーザーが情報を取捨選択して好きなものを見たりできるなどのインタラクティブアドとも言われる、インタラクティブ広告を配信しています。

それに加えて、ARの活用もスタートし、何回かプレス(参考:Web ARを活用した体験型広告AR カメラフィルター広告AR バーチャルメイク広告)を打たせてもらったりしています。最近では、「映画 モンスターハンター」のキャンペーンで、ARのカメラを使ったリッチクリエイティブへのARシステムを提供しています。

アプリ面に関しては、台湾と同様にゲームアプリ上の動画の枠を販売してるというような形ですね。


成田:
日本でのウェブ面の広告が特徴的ですね。3Dなどの新しい広告手法に注力するきっかけが気になりました。配信面が新しいインタラクティブ広告に向いていたからなのか、それとも技術が先にあり、それに合うクライアント様を探したかでいうとどちらが先でしたか?


前田:
技術が先でしたね。


野田:
注力するきっかけは、ナショナルクライアント向き合いにも関係しています。そもそもナショナルクライアントに対して、アドウェイズは踏み入れてはいけない領域のような暗黙の了解が存在していたのですが、「いや、そうじゃないよな」と思いだしたところが発端です。

グローバル事業部門では、実はもともと中国も台湾もナショナルクライアント向けの事業はずっと行っていました。そんな中で、今後の事業の柱を考えた際に、すでに行っていることであり、ブランドマーケティング領域はさらに力を入れるべきとの判断から、どう推進すべきかという検討段階において、クリエイティブを事業の強みの一つにしていこうという話がありました。

今後、5Gが普及することで新しい表現方法が可能になるなど事業環境が変わっていく中で、クリエイティブとテクノロジーの力を上手く駆使して、アドウェイズならではの価値を提供していけるキッカケが作れるのではとARを見出しました。ただ当時は、ARはまだ事業環境の面で早すぎたので、ARに繋がるものとして、3Dに目をつけました。さらに、単にバナーの中で3Dを見せるだけでも、十分価値の創出ができるのではというところから、3Dに至りました。


成田:
3Dを利用した広告では、プレスでクリエイティブ事例として紹介したニューBMW 3シリーズがありますね。3D利用の広告から始まり、徐々にクライアントが増えていった印象があります。

ブランドマーケ事業は、そろそろ3年目くらいですね。現在のアドウェイズ のポジションは、どのような状況ですか?


前田:
ブランドマーケ事業を開始した2019年頃は、総合代理店やブランド広告主に会って、アドウェイズですと言っても、「ネット広告やってる会社だよね」くらいで、具体的に何をしている会社かは知られていなかった状況でしたが、今は、広告配信するプラットフォームであるUNICORNの知名度と共に、かなり上がってきたかなという感触があります。


野田:

数字的には、まだまだまこれからという感じではありますが、やっと色々と認知されてきたと思います。

前田さんの言う通りで、アドウェイズ 自体を知らない会社様の方が多かったくらいでしたが、ブランドマーケティング領域に関しては後発ながらも、アドウェイズなりの価値をしっかり築き上げていくことで、順調になんとか認知されてきていると思います。ポジショニングができつつあるのかなと。

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02
ブランドマーケティング領域と
クリエイティブチームの連携事例

チーム間の関係性、制作姿勢の変化

成田:
クリエイティブチームと一緒に取り組んだ事例に関して話ていきたいと思います。

クリエイティブチームのメンバーと取り組んだことで、お二人の中で印象に残っていることを伺えますか?


野田:
ブランドマーケティング領域に注力する以前は、クリエイティブチームへの依頼は、リソース確保が難しく、重要案件の時に何とかお願いできて現場が喜ぶといった状況で、クリエイティブを外注することもよくありました。

注力し始めてからは、クリエイティブを事業の中核に据えていることもあり、クリエイティブチームも同じチームとして一丸となって事業を推進してきている感覚があります。
そういったところで、チーム間の関係性の変化をとても感じています。


前田:
すごい経験をしたなと感じたことがあります。
実際に広告を配信するまでには至らなかったのですが、あるプロジェクトで、プロト版(試作)を制作することになり、製品の3Dデータ制作のための撮影をしたことです。

製品の記者発表の場で、色々な大手メディアや関係者がいる中で、一番最初に会場に入れていただき撮影しました。まだ誰も見ていないものをいち早く撮影させていただき、こういうところにもアドウェイズが関わっていけるとか、自分自身が関われるということが、これまでにはないような感覚で印象深いですね。


成田:
先ほど話にあげたBMWのケースで、僕も新車が発表される前に撮影させてもらう経験をしました。
1日舐め回すように写真を撮るという体験は、今まで社内でディレクションや、デザインをしてた側からすると、もっと上流から制作に携わっているという感覚がありました。

普段デザイナーが携わっている運用広告の部分では、なかなか素材から作る機会はないので、その点でもすごいやり甲斐があるというか。


前田:
ナショナルクライアント向けのブランド広告は、替えが効かないという感覚もありますね。

パフォーマンス広告(運用広告)は、色々な訴求軸を考えて、それを全部実現して、配信して、いいものにどんどん差し替えていく、1案件でも何十本も作ったりすることが当たり前になっています。

ですが、ブランドマーケティング領域では、1本だけというのがほとんど。5本、10本作りたいところですが、1本にかける工数や金額などのコストを考慮すると、なかなかそうはいかない。モノづくりの感覚が大分違うよね。


成田:
一撃入魂感みたいなものがありますよね。


野田:
そうだね。


前田:
制作するにあたって、意味づけや、背景、ストーリーを持たせたりなど全て必要なことで。
そこまで含め、クリエイティブチームのメンバーはじめ関わる方は考えてくれているので、そういうところも、今まではないことだよね。

野田:
実際に、成田さんは、運用広告でもブランドマーケティング領域でも制作されていて、それぞれで、やれること、意識の違いなどありますか?


成田:
そうですね。ブランドマーケティング領域の制作は一撃入魂感が強いので、企画の段階から失敗できないという感覚を特に強く感じています。運用広告と違ってトライアンドエラー的なアプローチができないので。

あとは、プランニングに関しても違いがありますね。運用広告では、たくさんの本数の制作が必要だったりすることもあり、どうしても効率重視になり、限られた工数で用意する意識が強くなってしまいます。

ですが、ブランドマーケティング領域では、広告対象に詳しい人が重宝されるので、プランナー、ディレクター、デザイナーといった垣根を取り払って、みんなで企画を考えますし、より良いものを作るために、制作途中でも良い案があればブラッシュアップしていくというスタンスですね。

1つでベストを作り出すということをすごく考えて実行しているなと感じます。

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03
グローバル事業部門がXRに挑戦する理由

インターネット広告の体験をより良いものに

成田:
ウェブマーケティング領域でのクリエイティブは、それなりに大きなコストがかかっていると思うのですが、それでもXRを続けている理由や、今後の広告や何を見越して取り組んでいるかをあらためて伺えますか?


野田:
クリエイティブに関しては、先ほどお話した今後の5G然り、ARグラスなど色々なデバイスが出てくるなどの事業環境の変化というところがありつつ、もう一つの背景として意識していることは、近年のインターネット広告へのネガティブな反応や嫌われる存在になってきているところです。

すごく悲しいし、生業としている会社だからこそ、そこに真摯に向き合い良い方向に転換させる取り組みをすべきという面もありました。

そういった点から、本来の広告の役割を見直すと、広告との出会いによるセレンディピティが挙げられますが、インターネット広告ではあまり実現できていないように思っていました。

そもそも、広告は、誰にどのタイミングで配信するというのがありつつ、クリエイティブを見て興味を持ってもらわないと意味がないという観点で考えると、XRはある意味、疑似体験的なもの、特にARは日常の世界観の中に、ブランド商品の世界観を入れ込むことができる、とてもパワフルな体験を提供できるもので、興味関心だけでなく購買意欲までもを掻き立てる力があるものだと思っています。

広告のクリエイティブとして今後の技術的な進化を考えると、当然増えてくるものでありつつも、何より広告としてユーザーに提供できる体験が凄くパワフルなものだと思うので、XR は、やらない手はないと考えています。

それに、テクノロジーが絡んでくるからこそ、トラディショナルな広告をやってるような制作会社ではできないものができる可能性があるというのももちろんあります。

例えば、ボリュメトリックビデオ*では、イスラエルの会社に投資し、世界でもトップクラスの技術を持って挑むベく準備を進めています。

XRに挑戦することは、前例のない、制作もすごく大変そうで、ハードルばかりなのは間違いないものの、このチャレンジを続けていくことには、いろんな観点からすごく意味があるものだと思っています。

* ボリュメトリックビデオ
複数のカメラで撮影した人物や空間を3D CG化する技術。


成田:
UNICORNのサービスでも、本当に情報を欲するユーザーへ届けること、広告の本質や価値と真摯に向き合っていて、XRに挑戦する取り組み自体が、UNICORNの思想や根底にあるものと通じるものがあるように感じています。

広告事業部門も最近そのような動きになってきているので、アドウェイズ全体がそういうところを見ているんだなというのを感じます。

クリエイティブチームの現場感でも、リアルに広告に対するネガティブな反応は見聞きしているので、グローバル事業部門のブランディング領域の社内の情報共有内容を見ていると、SNS上でのいいリアクションがあったことなどが共有されていて、そういうのが多くて、広告屋さんからすると一番嬉しいですよね。


野田:
そうだよね。
それに加えて、インタラクティブアド、XR系は、クライアントや代理店から期待されている以上のアウトプットを多分できているからだと思うんですが、すごく良い反応をいただいていて、「なにこれすげー」というのを実現しているところも、すごく良いと思ってます。


前田:
広告配信の結果、効果の話になると、パフォーマンス広告は、特定のクリエイティブ主体で良し悪しの分析をしないところがありますよね。
どうしても複合要因も含めてになってしまうので、色々なクリエイティブがある中で、総体的な良し悪しにとどまってしまいます。

その点で、ブランディング領域の広告は、特定のクリエイティブに対して、ツイートされたりなどの反応や、代理店や取引先からのクリエイティブに対するフィードバックがきちんときたりするのも、デザイナーにとって嬉しいし、やりがいに繋がっているように思いますね。普段、直接ありがとうって言われるっことってあまりないと思うので。

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04
クリエイティブサイドに期待していること

ビジネスサイドへの理解と対等に議論できる力

成田:
クリエイティブチームのデザイナーや、チーム以外の外注の方も含めて、クリエイティブサイドへ期待している事はありますか?


前田:
制作過程への関わり方をもっと変えて欲しいという思いはありますね。
熟練した技術で、ものを作り出す役割に特化した職人という感じがまだ強くあります。

例えば、家を建てる際の決められた部材を組み上げるだけの大工のような感じ。家を建てるにあたって、施主が、どんな家族構成で、なぜそこに家を建てたいのか、どんな暮らしを求めているのかなど、最終的に家を使う人の立場に立って作ることで、設計図にある以外のこと、求められていること以上のことができると思っていて、そういうことができるクリエイターになってもらいたいと思うし、そうあるべきだとも思っています。

具体的には、ビジネスサイドのなぜそれをするのかを、クライアントや実際に使うユーザーがどんな場面で使うのかをしっかりと想像した上で、どうあるべきかが分かる材料、情報を受け取った時に理解すると共に、想像力を膨らませて他の人の立場に立って考えられるところをもっと強めていけたらというところが一番ですね。

あとは、最近リスクだと感じているのは、営業側も、ある程度クリエイティブの工数感を掴んできているので、だんだん営業側だけで決めてしまうことがあって。どんどんテンプレート化が進んでいるので、本当に求められているものではなく、皆が想像できるものでしか実現できないような状態になりかけているように感じています。

ビジネスサイドと、クリエイティブサイドが、もっと対等に議論できる
ような形になることで解決できるのではと思っています。


成田:
そうですね。そこはまさに、1番のクリエイティブチームの課題だと感じているところです。ビジネス・オブ・エクスペリエンスへの理解が及んでいない部分は、まだあると思っていて。

目先のKPIだけみているデザイナーもまだ多く、しっかりとビジネス全体をみて、最終的にどういうことをしたいから、今はこういうことをするみたいなところも理解・意識して作るというのがクリエイティブチームではできていないことがあると感じています。

なので、デザイナーがエンドユーザーの声を聞くだけでなく、表に出てクライアントと話したりといった経験をもっと積むのと、対等に議論できるよう知識をつけていき、ビジネスサイドにも寄り添えるようにしていく必要があると思ってます。


前田:
直近だと、広告配信が伴わないクリエイティブ制作メインのプロジェクトで、クリエイティブサイドが中心となり、どういう形がベストか、ユーザーの使いやすい形でARを活かせないかというところから考え制作し、最終的には新しい広告メニューに繋がったので、そういう動きは今後も続けていけると良いですね。


成田:
そうですね。企画の面で、作ることが決まった段階で話がくると、コスト内でどう収めるかといった作ることにピントが行きがちで、もっと上流の情報を引き出して検討するという部分が弱いので、情報を引き出し、クライアントの課題に対して本当に正しいアプローチなのかからしっかりと考えられるようにしていきたいと思っています。

制作の効率化とかはできているので、新しいものを作る時の良いアイディア、適切なアイディアをどんどん提案していく部分はまだまだ伸び代があるので、その辺りも強化していきたいと思っています。


次回は、座談会の中で触れられたサービス・UNICORN(ユニコーン)について、ゲストをお迎えしてご紹介いただこうと思います。

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