「完全自殺マニュアル」～有害図書に指定されている本を読んでみて～

↑　完全自殺マニュアル　鶴見済著

この本には、様々な自殺方法が事細かに記されている。しかし、自殺しろ！という自殺を示唆するものではなく、あくまで自殺は人生の一手段であり、悪いことではないし心の弱いやつがすることではないということを伝えている。また、「イザとなれば死んでしまえばいい」と思えることで今を生きやすくすることがこの本の目的だ。

今回は、この完全自殺マニュアルを読んでみて感じたこと、今の世の中に対して思うことを未熟者ながら書こうと思う。

「自殺はしてはダメ」、「今を耐えれば必ず状況は良くなる」、「～の分まで生きるんだ」

20年間生きてきて、こういった言葉をよく聞いた。私をどうにか励ますためにかけてくれた言葉だと思うので心の奥にそっとしまったが、正直言って、

「知るか！」

というのが私のそれらの言葉に対する正直な気持ちだった。そういった言葉は私にとって逆効果でしかなかった。

ここ最近、芸能人が自殺するニュースをちらほら見かけるようになった。実際の原因は不明だが、報道されているネットの中傷や誹謗は根本的な原因ではなくとどめでしかないと考えている。本当にネットの誹謗中傷のみが原因なのであれば、芸能人に限らずより多くの人間がなくなっているだろう。

問題は、そういったニュースがあるたびにTwitter上などで自殺をしないよう呼び掛けているツイートだ。

ツイートしている本人たちの本当の意図はわからないが、私としては、そういったツイートでさえも逆効果だなと感じる。何故なら、自殺しないでと呼びかけるツイートに共感してるユーザーは大抵一般人か自殺者の遺族の方で、当の自殺志願者は見ていないかそのツイートにネガティブな考えを持つからだ。

そもそも、他人の人生に興味のある人間がどれだけいるのだろう。SNS上の顔も知らない人間が何故世界中の自殺志願者を止めたいと思うのだろう。それは死にたいと考えている人を思っての行動なのだろうか。私はそうは思わない。

それらのツイートを見て私が感じること、それは「残された遺族のことを考えろ」、「自殺なんてしても意味ないぞ」、「自殺することは良くないことだ」という当人たちのエゴ。

私からすれば、「そんなの知るか！」の一言に尽きる。

最近Twitterで見たものでは、「自殺は復讐にならない」、「思いとどまってほしい」、「自殺するくらいなら仕事辞めろ」、「人生何とでもなる」といった言葉。

私はそれらの言動は無責任だと感じている。「人生が辛い、もう死にたい。これ以上は耐えられない」という人間に対して、「生きろ！」、「あきらめるな！」と声だけかけても、思いとどまった人たちの辛い状況は少しも変わらない。辛い気持ちが続くだけ。でも、発言者はそれ以上どうすることもできない。

「辛いならまずは家族に相談しよう！」

「辛いなら会社やめちゃおう！何とかなるって！」

「死なないで、いつかいいこと絶対あるから！」

それができないから、今まさに死のうとしているのでは？

私は、心療内科に通っていたことも、辛い毎日を送っていることに関しても誰にも言えない。友達には「ネガティブをうつすわけにはいかない、みんながんばっているんだ」、家族には「どうせ言っても大丈夫とか頑張れとか、考えすぎだよとか悪化する言葉しかくれない」と思っている。

心療内科の先生にすら、「わかりますよ、みんな同じこと経験してますから、でも少し休めば大丈夫だからこの薬飲んでね」ってそれだけ言われる始末。一生心療内科に頼らないと思った瞬間でした。

以上の経験から、上記の無責任な発言をする人はうつ病の経験がないのではないだろうかと思う。もしも、うつ病の経験者の発言であるならば、何故そんな軽率な言葉をかけられるのかと憤りすら感じる。もちろん、人によってはその言葉により救われることもあるだろうし、知らない人でも死んでほしくないというエゴが悪いとも言わない。

少なくとも、私には「死んで迷惑をかけるな」と言われているようで不快に感じた。

では、どんな言葉をかけてあげるのが正解なのか。そこに正解などないと私は思う。なぜなら一人一人違う人間で、うつ病患者にはこれ！という対処法はないと思っているからだ。

私は、完全自殺マニュアルを読んでみて、「死にたきゃ死ねばいいし、生きたきゃ生きればいい」という言葉に少し救われたように感じた。

辛くて本当に耐えられないのであれば死んだって良い、そう思えることで今を生きている。

「自殺は悪いことではない」、「心の弱い人間がすることではない」

この言葉が今の私を支えてくれている。

もしも、本気で自殺を考えている人が読んでくれたなら、「完全自殺マニュアル」を読むことを強くお勧めする。

この本はきっとあなたの自殺をとどめるのにも、理想的な自殺をすることにも役立つだろう。

完全自殺マニュアル

ただ、当書は有害図書指定されている書籍なので、読むかどうかの判断は自己責任で行っていただきたい。

※夜空と少女のイラストは自作イラストです。

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