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ジェネレーティブAIに対する日米の違いを紐解く!アドビ西山研究員へ3つの質問!

こんにちは!アドビ未来デジタルラボ編集部です。

アドビが今まで行ってきた調査を軸に、編集から研究員へインタビューを行う『Survey深読み』の第2回。今回は、2023年4月に行われた「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の結果をアドビジャパンのChief Digital Officer(CDO)でもある研究員の西山が紐解きます。


西山 正一(にしやま しょういち)
デジタルメディア事業統括本部 DX推進本部
常務執行役員 兼 Chief Digital Officer
2001年にアドビ 入社。マーケティングの立場からサブスクサービスへの移行に取り組む。後に営業部でアドビ のExperience Cloud製品をフル活用したeCommerce事業の推進に携わる。2022年9月にChief Digital Officerに就任。新しいテクノロジーはとりあえず試してみるのがモットーのガジェッターであり、音楽好きで魚釣りが趣味の食いしん坊。嫌いなものは「臨時休業」と「赤文字で『回送』と表示されているタクシー」。

「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の詳細はこちら




1)Survey深読み第2回は、「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」を研究員・西山にインタビュー!

編集部:西山さん、本日はよろしくお願いいたします!まずは、調査の概要について、教えてください。

西山:よろしくお願いします。ここ数年、デジタル変革によってあらゆる業態の企業がビジネスのデジタル化に取り組んでいます。わたしたち、アドビもそうですが、その結果、デジタル技術を基盤とした社会経済、いわゆるデジタルエコノミーが急速に拡大しています。

今回の調査は、アドビが、デジタルエコノミーが消費者と企業に与える現在と将来の影響を理解するため、米国、英国、デンマーク、オランダ、スウェーデン、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、日本、インド、シンガポール、タイ、マレーシアの14か国における13,000人の消費者と4,250人の顧客体験(CX)およびマーケティングの専門家を対象に実施しました。


デジタルエコノミーについて詳しく知りたい方はこちらから


編集部:今回の調査では、ジェネレーティブAIにも触れていると思いますが、その点の調査背景についても教えてください。

西山:はい、アドビでは、あらゆるユーザーが手軽に高品質な画像生成することを支援するジェネレーティブAIモデル「Adobe Firefly」を開発中です。ジェネレーティブAIについて、世の中の人がどんな印象を持っているか、どのような期待をしているのかなど理解したいと考えて実施した調査となります。


ジェネレーティブAI(生成AI)も含めたAIについて詳しく知りたい方はこちらから


2) 質問:米国より日本の方がジェネレーティブAIに対してポジティブなのはなぜ?

編集部:では、早速調査結果について、編集部で気になった点について、詳しく伺っていければと思います。まずは、ジェネレーティブAIに対する消費者の期待値や印象に対する設問についてです。

調査によると、日本の消費者の 76% が 「ジェネレーティブAIは顧客体験を改善する」と回答しているのに対し、米国の消費者は 67% でした。また、日本の消費者の75% がジェネレーティブAIを好意的に受け止めています。これは米国の46%と比較して大幅に高い数値です。一方、ジェネレーティブAIをネガティブに捉えた回答は、日本では 16% に対し、米国では 21% でした。

ジェネレーティブAIに対して、米国よりも日本の方がポジティブな印象を持っていたことに、少し驚きました。


「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の結果より
「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の結果より


西山:そうですね。日本ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが言われて久しいですが、ジェネレーティブAIについてはこの調査でも出ているように、ポジティブな受け取り方で、わたしも驚きました。 ジェネレーティブAIは、「文章」や「絵・写真」などの非常に分かりやすいアウトプットがあるため、デジタル化が遅れている中でも「役に立ちそう」とイメージがつきやすかったのかもしれないですね。この結果は、ひょっとすると、日本での生成AIの活用や世界に抜きに出た活用が進む可能性があると感じています。DXが一気に加速する可能性・機会となり得るという期待の表れではないでしょうか。

今年の6月に開催された人工知能学会全国大会で、政府の有識者会議「AI戦略会議」で座長を務める東京大学の松尾豊教授も、生成AIを日本の経済成長にどうつなげるのかという話で、『ゲームや携帯電話でもそうだったが、面白がってやり始めて、使って工夫していくのが日本の勝ちパターン。』と話しているのを記事で読んで、調査結果同様、日本の生成AIの可能性を感じました。


3) 質問:ジェネレーティブAIにポジティブなのに、使用には消極的なのはなぜ?

編集部:次の質問です。ジェネレーティブAIに対してポジティブな印象が強かった日本の消費者ですが、一転、「ジェネレーティブAIで作成されたコンテンツを積極的に使用する」との回答が31%にとどまり、米国よりも低い結果となっております。ある意味、これは予想通りの結果でした。

「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の結果より

西山:はい、前の質問ではポジティブに回答された一方で、「あなたは積極的に使うか?」という問いかけに対しては、米国は既に運用しているDXのフローにおける利用シーンが想像できる人が多いのでポジティブな回答が多かったのではと感じました。

さらに、日本は「周りが使ったら自分も使おう」という先頭は走らない国民性が如実に出ている結果だと考えています。現在、ジェネレーティブAIツールを試験的に導入する自治体や企業も出てきているため、今後そういった事例がでてくると、加速する可能性も高いと思います。


4) 質問:ジェネレーティブAIによって、どんな未来が待っているの?

編集部:これらの結果を踏まえ、今後は、どのような社会になっていくことが考えられるでしょうか?世界の多くの消費者は3D画像、動画、AR/VR等のリッチフォーマットで体験が提供されることを期待していると調査結果では出ていますね。

私自身、全消費者の59%(Z世代とミレニアル世代の消費者の72%)と同じように、オンラインまたはバーチャル環境で靴をデザインし、その実物のバージョンを購入できるなど、など、実物の商品に変換できるデジタル製品があったら、ワクワクするデジタル社会の未来だなと感じます。

西山:ご存じの通り、マーケターの仕事では作業が多いです。デジタルエコノミーが加速し、個々の消費者ごとにパーソナライズされたデジタル体験が期待されると、よりコンテンツの最適化が必要になるでしょう。AIはそれを手伝ってくれる副操縦士として、活用が進むことが期待できるツールです。マーケターは、顧客インサイトをもとに、知見を持って判断し、考えることにより一層時間を割くことができます。

日本でも、AIをポジティブに受け止めているところから、デジタルがより社会を変えていくことが加速して、ワクワクすることが増えるといいと思っています。

編集部:西山さん、本日はありがとうございました!


「デジタルエコノミー/ジェネレーティブAIが消費者と企業に与える影響に関する調査」の詳細はこちら


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