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【CROSS TALK Vol.6】メタバースって今どこまで進んでる?最先端企業の方に深堀り!



こんにちは!アドビ未来デジタルラボ編集部です。


今回は、最先端のXR技術を担う注目の企業・株式会社ホロラボ 取締役の伊藤 武仙さんをお招きしたスペシャル対談のレポートをお届け!

さまざまな業界の課題をXR技術で解決するホロラボの取り組みや今後の展望など、コロナ禍でキャンパスライフを過ごす学生たちにも関わる最新のメタバース事情について、アドビの西山正一やアドビ未来デジタルラボの学生研究員たちがお話を伺いました。

※本対談は、Zoomと連携したHorizon Workrooms(VR空間)内で行われました!




対談参加者(画像左から)
TANI:学生プロジェクト事務局 
Rurika:学生研究員
Shoichi:アドビメンバー 西山 正一
Takesen:株式会社ホロラボ Co-founder 取締役COO 伊藤 武仙さん
Ririka:学生研究員
Sota:学生研究員
Kazuki:アドビメンバー 永瀧 一樹


1)リアルとバーチャルをつなげる ホロラボってどんな企業?


西山
:今回参加している学生研究員のように、今の学生さんたちはコロナ禍に直面して「こんなはずじゃなかったのに」と感じたことが多くあったと思います。でも、そうした学生さんたちのキャンパスライフを、ひょっとしたら今あるテクノロジーを使って取り戻せるかもしれない。そんな背景も踏まえつつ、今日はホロラボさんが取り組んでらっしゃることや、将来どんな未来を見据えているか等をお聞きしたいと思っています。

武仙さん、よろしくお願いします。

武仙:ホロラボの武仙と申します。今日は貴重な機会ありがとうございます。

ホロラボは、2017年に会社の垣根を越えて技術を酒の種に飲みながら放課後に会うというコミュニティで、数年間楽しく学びあっていた仲間5人と立ち上げました。Microsoftのデバイス「ホロレンズ」がグラス越しに現実世界の3Dのデジタル空間が出せるっていう面白いものだったので、それに惹かれて。

その後、Microsoft以外のベンダーからもさまざまな形や性能のデバイスが出始めてからどんどん盛り上がり始め、今では70人規模でXRという業界に取り組んでいます。

ホロラボ 創業メンバーの皆さん

そもそも、VRやMRってなに?ARとの違いは?ということについても、少し説明させてください。

現実空間(Real Environment)に対し、100%デジタルでできて、リアルと同じようなリアリティのある空間を作ることをバーチャルエンバイロメントやメタバースと一般的には言っているかと思います。

その中で、デジタルの混ぜ具合を自由自在に変えられる技術MR(Mixed Reality)というものがありまして、このMR技術が私たちの専門分野です。現実世界を拡張するAR(Augmented Reality)、表面の質感や色情報を加えたVR(Virtual Reality)と呼ばれるものも、この中に含まれます。

企業によって提供するプラットフォームや呼び方は変わりますが、今はまとめてXR(Extended Reality / Cross Reality)と呼ばれることが多いかもしれません。

西山:なるほど。すなわちバーチャルとリアルを混ぜたグラデーションの中で、その割合や目的に合わせて呼び方が変わる。またそれらを総称したのが「XR」なんですね!


2)MR技術を活用した新しい試み


西山
:実際にホロラボさんの技術でどんなことができるのか、教えてください。

武仙:たとえば、現実空間をロールプレイングゲームの世界にした事例があります。


既存施設をテーマパークにして集客しようとすると、物理的にいろいろ置かなきゃいけないし、お金がかかるじゃないですか。そこでMR技術を使ってみようという実証実験のプロジェクトでした。デバイスを被るか、タブレットを持ってドラゴンと戦うんです。

西山:これまた楽しそうですね。

武仙:実際やってみて、めっちゃ面白かったです。現実空間でこうした催しを準備するのは大変なんですけど、デジタルの世界では、ある程度自由自在にできるんだなと実感した事例でした。これの次のバージョンではVR空間もつなげた試みをして、その場にいる人と離れた空間にいる人が一緒に遊べる企画もしました。

ほかにも、ホロラボでは国土交通省が進めている日本全国の都市デジタルツイン実現プロジェクト「PLATEAU」をお手伝いしています。

”Plateau View App”、国土交通省. https://plateauview.mlit.go.jp/ 2023-12-15

「PLATEAU」は新しい日本の街づくりのためのツールです。都市開発ってプロフェッショナルが活躍する難しい分野なんですが、膨大な街のデータや課題をこうしてビジュアル化すれば一目で理解できるし、シミュレーションできるのがいいところだと思います。


3)XRは、少しずつ日常に溶け込みつつある?


西山
:2つの面白い事例を見せてもらいましたが、スマートフォンやタブレットのような私たちが持っているデバイスで誰もがMRを使える、といった世界にはまだなっていないのかなと思うんですよね。

どんな条件がそろうと、こうしたツールがもっと広く使われるようになるのでしょうか。

武仙:以前と比べれば、そうした世界になってきているとは思いますね。昔はマニアの方しか買わないような高額な商品だったVRゴーグルも価格はどんどん下がりつつありますし、店頭で普通に購入できるようになりました。今後もさらにVRゴーグルやヘッドセットの価格帯は下がってテクノロジーの民主化は進んでいき、3DCGを作る環境も一般化していくと思います。


4)バーチャル=仮想ではない?MR技術がもたらす効果とは?


西山:ここからは、アドビ未来デジタルラボの学生研究員を中心に質問をさせていただきましょう。

ソウタ:先程VRゴーグルがもっと普及すればいいよねというお話がありましたが、自分自身はまだスマートフォンのようにVRにもお金をかけることにハードルを感じています。同じように、絶対便利だと分かりつつ手が出せていない人が多いと思いますが、こういった現状をどのように捉えられていますか?

武仙:スマートフォンが出たばかりの時は警戒されていたのが、いつの間にか「超クール」という印象に変わっていったように、XR分野も時間をかけて徐々にユーザーが増えていくと思っています。未知の物に慣れるにはどうしても時間がかかりますから。いつかはXRの技術が、気が付いたらさまざまな用途を兼ねるようになって、なくてはならない生活の一部になるような、そんな想像をしています。おそらくスマートフォンから置き換わるものではなく、一緒に使われることに意味が出てくると思っています。


リリカ
:学生生活のどんな場面でリアルとバーチャルをつないでいくと良いと思いますか?

武仙
:直接会えない時はビデオチャットなどでもいいと思う人もいますが、空間を生かしたコミュニケーションをやりたいと思った時は、きっとビデオチャットと違った繋がり方が生まれるので、そんな時に使ってもらえたらと。

それに、純粋にバーチャルで会うってなんだか楽しそうじゃないですか。アバターを作ったらその人の内面が出るだろうし、堅苦しい雰囲気を作らず、楽しく人と繋がれる新しいコミュニケーション方法として活用してみてほしいですね。


ルリカ
:リアルでもインターネットとかSNSでもなく、メタバースだからこその交流の特徴ってどんなところでしょうか?

武仙:使っている人の話を聞くと、もうメタバースだからこそというより、メタバースの方が現実世界よりもリアリティを感じている人が出始めているようです。日本VR学会ではよく「バーチャル=仮想ではなく実質と訳すべき」と言われています。メタバースでの交流を楽しんでいる人たちのなかには、物理の世界以上にメタバースの方に、よりリアリティを感じている人も出てきているようです。


リリカ
:ホロラボで作られてきた技術で実際に役立ったなと特に感じている例があればお伺いしたいです。

武仙
:ありがとうございます。

ホロラボのお客様は建築建設業や製造業、3次元で設計をする方々などが多くいらっしゃいます。そこで現場の仕事で両手に何か道具を持って作業しなければいけない人たち向けに、VRゴーグルを被ってマニュアルを見てもらいながら作業をしていただけるようなサービスや、ベテラン社員さんの動きや指示をバーチャルで確認しながら教えてもらえるサービスなどを展開しているんですが、こうした3次元の空間での体験を3次元のまま伝えられる新しいコミュニケーションのサポートは、実際に使っていただいています。

mixpace(株式会社ホロラボ HPより引用)


手放しマニュアル(株式会社ホロラボ HPより引用)


こうして仕事のノウハウをXRにしてみて強く思うのが、やっぱりお仕事の現場には文章化しにくいノウハウがたくさんあるということです。空間マニュアル化を依頼されて、元々あった文章のマニュアルを落とし込んだんですが、再現したものが現場の作業と全く違うなんていうこともありました。なので、そうしたノウハウを空間記録することは面白いし、XRを活用する意義が出るポイントだと感じています。

永瀧:これからもっと普及されていくことに期待していますが、何か法律的な面で壁を感じることなどはありますか?

武仙:VRに関してはあまりないですが、VRゴーグルを装着したまま歩くのは「歩きスマホ禁止」のルールに抵触してしまう側面があるんですよね。便利ですが、実際まだ危ないともいえるので、仕方ないのですが。(笑)

永瀧:ズバリあと何年くらい経つと、世の中がもっとVRゴーグルを被って仕事を始めたりするような時代になってくるでしょうか?

武仙:とても難しい質問ですが、本当にこの数年で著しく進化しているのは確かだと思います。別分野の技術が進むとこのXR界隈でも利便性が上がる可能性もあり、XRは時代の中心になる技術だと感じているのでこの先もワクワクしています。このまだ普及しきってはいないタイミングで、同じように期待を抱いている人 たちと一緒に仕事ができるってことがまた素敵なことかなと思っています。

時代が追いついてくるのを待つのもいいんですけど、面白いと思ったら、自分でとにかく手を動かすということを、学生さんたちにはぜひ勧めたいですね。


西山
:素晴らしい金言をいただきましたね。武仙さん、本日はありがとうございました!


伊藤 武仙(いとう たけひさ)
株式会社ホロラボ Co-founder 取締役COO / 建築情報学会 理事(代議員)
2013年に技術コミュニティTMCN立ち上げ参加をきっかけにKinectなどセンサー技術やインタラクティブな体験に強い関心を持ち、同じ関心を持つたくさんの仲間に出会う。 2017年にはその仲間たちと共に、XR技術や空間コンピューティングをテーマとしたホロラボを創業。最近は人と都市空間の関係をテーマに活動。

西山 正一(にしやま しょういち)
デジタルメディア事業統括本部 DX推進本部 常務執行役員 兼 Chief Digital Officer
2001年にアドビ 入社。マーケティングの立場からサブスクサービスへの移行に取り組む。後に営業部でアドビ のExperience Cloud製品をフル活用したeCommerce事業の推進に携わる。2022年9月にChief Digital Officerに就任。新しいテクノロジーはとりあえず試してみるのがモットーのガジェッターであり、音楽好きで魚釣りが趣味の食いしん坊。嫌いなものは「臨時休業」と「赤文字で『回送』と表示されているタクシー」。

永瀧 一樹(えいたき かずき)
ソーシャルメディアマネージャー 大学院でグラフィックデザインや映画制作を学び、以来、Adobe Creative Cloudのヘビーユーザー。子どものころの夢は学校の先生で、教員免許まで取得したけど、今はなぜかアドビでソーシャルメディアを担当している。学生や若者が活躍するデジタル世界を作ることに心を熱くしている。

▼今回参加した学生研究員 のこれまでの研究レポートはこちらから


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