見出し画像

コーチングが胡散臭い理由を理系的に考察

こんにちは。Q&Qのあどにゃーと申します。
Q&Qというサービスをやっていますが、Google検索からたどり着く人の検索ワードが「コーチング 胡散臭い」「コーチング 宗教」「コーチング 気持ち悪い」というのがすごく多いです。。。なぜ。。。
そこで、バリバリのシステムエンジニアの筆者がなぜ胡散臭いのかを考察し、理系的にシステムロジックとしてコーチングの概念を捉えてみたいと思います。

コーチングとは

まずは前提としてコーチングとは何かを定義する必要があります。ソースとしてWikipediaにのっているNPO法人 日本コーチ協会一般社団法人 日本コーチ連盟の二つを見ておけば、基本を外さないはずです。

クライアントとコーチは会話を通じてコミュニケーションを交わします。コーチは聞き、観察し、質問し、時には提案することによって、クライアントの行動をより起こしやすくしていきます「自発的な行動を促進するコミュニケーション」です。(from NPO法人 日本コーチ協会)

コーチングでは「答えを与える」のではなく「答えを創り出す」サポートを行います。 この考え方は「答えはその人の中にある」というコーチングの原則に基づいています。(from 一般社団法人 日本コーチ連盟)

なるほど。良いとこ取りをして「クライアントの答えを引き出し、行動を促進すること」と定義してみましょう。この段階で理系・エンジニアの人々は物理現象をあつかわないからゴミ確定と思ったかもしれませんが、最終的にはシステム制御観点で捉えますので、読み進めていただけると幸いです。

コーチング概念の問題

システム考察に行く前に、そもそもの概念としてコーチングは3つの不信感を持っています。まずこの3つを説明したいと思います。

未知のものに対する警戒心
人は知らないものを警戒する本能があります。大昔の狩猟採集時代に未知のものに全員で突っ込んいくと集団が死滅してしまうため、本能として未知への恐れを持っています。未知の魚フグを全員でいきなり食べるようなノンキな集団だと速攻で滅んでしまうということです。集団の持続可能性の観点で新しいことにトライする人数は少ない方が都合が良いのです。そのため、コーチングに限らず、そもそも聞き慣れないものは、無条件で大多数に警戒されます。

科学ではない(再現性や反証性がない)
われわれは科学時代を生きているので、科学ではないものに対して心理的反発心があります。科学とは再現性と反証性を指します。再現性は、「同じ方法を試すと誰がやっても似た結果が得られる性質」を指します。プログラムや料理などは、まさにこの性質を持っています。反証性は「結果が間違っていることを検証することができる性質」を指します。例えばニュートンの万有引力に対して、アインシュタインは量子の世界では成り立たないことを示しました。このような、誰でも再現でき、間違っているか検証できるという科学の性質を持たないものは、今の時代に疎外されやすい傾向にあります。

マインドを変える行為
コーチングは、「クライアントの答えを引き出し、行動を促進すること」という定義のため、本来はマインドを変える行為ではなく、本人のマインドを自覚させる行為です。しかし、次に述べるビジネス構造上の問題により、「コーチングにより前向きに変われて仕事がうまく行った。あなたも変わろう!」といったマインドを変えること前提の広告を打ってしまったりします。こういうケースでは、自身の広告によって自身の定義を揺るがしてしまい、信用を地の底に落としていくことになる傾向があると考えています。

ビジネス構造の問題

コーチングにはビジネス構造的に致命的な問題があります。それはコーチのスキルが可視化不可ということです。ここには能力を定量化しづらいという問題以前に、機密性の問題が立ちはだかっています。
機密性が高い

コーチングが扱う案件は、ビジネスマネジメント・家族交友・キャリア・生活習慣といったクライアントのパーソナルな部分に深く入り込む内容が多いです。このため、コーリングで実施された内容が開示されることは稀です。
コーチングで一番困るのは新米コーチ
内容公開できないビジネス構造では、過去の実績が実力より重視されることになります。このため、既に有名な実績のあるコーチはますます顧客を獲得できますが、新米のコーチは実績がないため、顧客を獲得することが困難になります。
高いコーチングスクールの認定証を取って意気揚々とコーチになった新米は、気づきます。「あれ、クライアントをどうやって見つけるんだ」ということに。。。
ゴミマーケティングに走る
困った新米コーチが行ってしまう愚策が、行動変容を求めていない周囲の人を勧誘してしまう行為です。そもそもコーチを求めてない人を勧誘するには、どうしても強めのキャッチーな宣伝ワードが必要になります。宣伝のために、本来の定義ではクライアントから引き出すはずであった答えを自らが作る愚行にでてしまいます。
その結果「コーチングにより前向きに変われてうまく行った。あなたも変わろう!」といった、前向きになり変わることが正義であるかのような価値観を押し付けた宣伝文句が生成され、不信感は募っていく構造が生まれます。

▼ここまでのまとめ
・コーチングは「クライアントの答えを引き出し、行動を促進すること」
・コーチングは科学ではない
・コーチングは新米コーチがつらいビジネス構造
・ユーザ獲得のためにキャッチーな価値観を他人に押し付けてしまう

コーチングの概念を理系的に捉える

さて、コーチングの問題点を挙げ連ねましたが、私自身はコーチングの概念は今の時代に有効だと思っています。そのため、理系・エンジニアの方々把握できるようにシステム論で解説してみたいと思います。エンジニア以外の方々でもわかるように、初等教育で習う一次元線形システムで考えていきましょう。

エンジニアの仕事
エンジニアの仕事を抽象化して説明すると「想定される入力」に対して、「期待される出力」を返すシステムを作る仕事です。エンジニアは物理を扱ってこのシステムを論理的に構成します。

画像1

この概念をもとに、検索、教わる、コンサル、コーチングの違いを理解してみましょう。文系の方も線形システムをあつかったからゴミ確定と離脱しないで付いて来てください。説明がんばりますので。。

検索(Searching) -> 入力:既知 and 出力:既知
検索という行為は、自分が作るシステムの入力系と出力系の両方が既知の時に役立ちます。エンジニアは再現性を扱うので、入力系と出力系がわかっていると過去の偉人の作ったシステムを検索して見つけ、修正してハメ込むことができます。

入力系:人参、玉ねぎ、じゃがいもが手元にある
出力系:カレーが食べたい
システム:じゃかいも、人参、玉ねぎを使ったカレーの作り方

だと思ってもらえるとわかり安いと思います。

画像2


教わる(Teaching) -> 入力:未知 and 出力:既知
教わるという行為は、出力が既知、入力が未知の時に役立ちます。完成系は決まっているけど、何を使ってどう作ればいいのかわかないという場合です。入力が未知では、検索すべき技術的な関連ワードを引っ掛けられず、お手上げになることもよくあります。

入力系:わからない
出力系:茶色いドロドロの辛いたべもの的なやつ
システム:わからない

こういう時は教わるに限ります。

画像3

ちょこっとまとめ
エンジニアに馴染みが深いのは検索と教わるの2点かと思います。この2点では期待する出力は既知でした。しかし、現在は外環境がすぐに変わる不安定なVUCA(ブーカ)の時代といわれています。求められる期待出力は絶えず変化します。そのため、柔軟にコミュニケーションしながら出力も定義していく能力が一流エンジニアには求められていきます。
(出力定義をサービス企画に丸投げしちゃだめよ)

コンサル(Consulting) -> 入力:既知 and 出力:未知
コンサルは、出力が未知、入力が既知の時に役立ちます。弊社の技術アセットはあるんだけれど、これで何を作るとよいのだろうか、誰か提案してほしいというパターンですね。

入力系:人参、玉ねぎ、じゃがいもが手元にある
出力系:何がベストか知りたい
システム:出力がわかったら調べる

しかし、どの会社も持っている技術アセットは似ているので、コンサルに頼むと競合他社と同じような出力を目指すことになりがちです。

画像4


コーチング(Coating) -> 入力:未定 and 出力:未知
コーチングは出力が未定、入力が未知の時に役立ちます。入出力ともに未知だと不定系かと思いますが、入力は未知ではなく未定ですので情報としては持っている状態です。料理に例えると素材(入力)を見ながら、「今は辛い気分かな?甘い気分かな?手軽なものにするか?」と考えながら作るモノ(出力系)を定義していく行為です。これがコーチングです。

入力系:人参、玉ねぎ、じゃがいも、などなどもろもろ手元にある
出力系:なにか作りたい気がするが何なんだろう
システム:作りたいものがわかったら考えられそう

コーチングは出力系を決めるための線形システムにおけるフィードバックループと考えるとわかりやすいと思います。「何をするべきか?」を問うことで期待する出力系をdefineしていく行為であるとすると、エンジニア的にもその有用性に気づけるのではないかと思います。この問うループを他人(コーチ)にやってもらうか、自分でやるかは、システムエンジニアの視点ではどちらでも良いと思っています。

画像5

まとめ

コーチングとは「クライアントの答えを引き出し、行動を促進すること」ですが、物理現象ではなく人間を扱うため不信感が生まれます。さらに、ビジネス構造上、気密性の高い情報を扱う関係で情報開示がされないことで、不審なマーケティング行為を行ってしまうリスクがあがることも大きな要因となっていると想定しています。
一方で、コーチング自体は、VUCAの時代に期待する出力を定義するための強力なツールの一つであり、非常に有用なものです。これは、線形システムにおけるフィードバックループの機能であると考えることで理解する誰にでも理解することができると思います。

最後に

最後に宣伝です。
理系院卒のエンジニアがコーチングをシステム論で定義したらこういうサービスになります。自問自答と他問自答で考えを深めていくサービスです。
よかったら覗いてみてください。



この記事が参加している募集

#最近の学び

182,077件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?