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【ビジネス書を読んでも成功しない理由】

こんにちは。Q&Qのあどにゃーと申します。

今回はなぜビジネス書を読んでも成功しないかを説明したいと思います。
成功にはさまざまな定義がありますが、ビジネス書についての議題なので、ここでの定義は”社会的・金銭的価値を得ること”としておきます。

結論

前回、価値=希少性とお話しました。成功とは社会的・金銭的な価値を得ること、つまり社会的・金銭的な希少性を確保することです。
ビジネス書は読者全員に社会的・金銭的価値を再現させることが目的であり、それは希少性との矛盾をはらんでいます。
また、そもそもビジネス書の中の成功は再現できないという問題もあります。今回はこの”再現できない”について語りたいと思います。

過去の合理化

ヒトは過去を合理化する生き物です。言い方を変えると、無意識に原因と結果を結びつけます。具体例を上げましょう。

アンケートで、「A. 最近、恋人とデートしましたか?」と「B. 最近、幸せですか?」という質問をA→Bの順にすると、デートと幸せには強い相関が出ます。一方でB→Aの順にすると、相関は見られません。A→Bの順に見た人は、無意識にデート=幸せの因果関係を結んだことになります。

サイコロをランダムにふって、「A. 1→1→1」が出る確率と、「B. 3→5→1」と出る確率はどちらも1/256なのに、Aの方が奇跡に感じるのも前後の独立事象を勝手に因果関係で結ぶからです。
※興味のある人は『ファストアンドスロー』の本を読んでみてください。

ビジネス書は、作者が無意識に失敗と成功を関連づけて再構築していると言えます。
つまり、実際には書籍の何十倍もプロトや仮説を市場にトライしており、関連付けできないものは記述していないということです。この記述されない無数の失敗経験が重要だったりします。

けんすうさんの僕のやってきた失敗したサービスについてのまとめ(有料)がわかりやすいと思います。この失敗サービスの裏にはさらに大量のプロト・仮説の山があると考えられます。

スティーブ・ジョブズもスタンフォード大学の有名なスピーチ、connecting dotsで「先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつながるものだ。だから将来何らかの形で点がつながると信じるて挑戦するしかない」と言っています。裏を返すとビジネス書では筆者が振り返って点でつながったものだけを語っているとも言えます。

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合理化のまとめ
・人は過去を無意識に関連付ける
・本当に重要な、失敗の数をこなしたという部分は書籍から消え去る
・実は泥臭い試行錯誤で得た経験値が大事

泥臭い思考錯誤が文章から抜けてしまうのは、これ以外にも知識と言語の関係性の問題があります。

2種類の知識

知識には形式知暗黙知があります。

形式知:言語化・図式化できる知識
暗黙知:過去の経験による言語化できない知識

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形式知はモノに作用する知識です。料理のレシピ、数学の数式、機械の制御・組み立てなどが当てはまります。形式知の素晴らしいところは、誰でも同じ手順でそのモノを扱うと必ず同じ結果が再現できる点です。

暗黙知はヒトに作用する知識です。アスリートになる方法、正しい政治のやり方、美しい絵画の書き方、お金の儲け方などヒトの感性や価値観に依存するものが当てはまります。暗黙知の難しいところは、同じ手順で同じことを再現できない、もしくは同じ結果にならない点です。

例:このレシピをみて、カレーを作りなさい(形式知)
例:ボルトの走りをみて、9秒台で走りなさい(暗黙知)

ビジネスはお金を扱います。お金は相互信頼の尺度です。ただの紙切れに対して、みんなが同等の価値があると信じることによって成り立っています。
信頼は数式化できませんので、ビジネスは暗黙知に依存するものです。
一部を切り出して形式知化していくことは可能ですが、最後は「ヒトの信頼」という暗黙知にたどり着きます。
同じ暗黙知でもウサイン・ボルトと同じ速度で走る方法は信じないのに、ビジネスで成功する方法になると信じてしまうのは不思議なものです。

知識の種類まとめ
・知識には言語化できる形式知、言語化できない暗黙知の2種類ある
・お金は暗黙知を多く含む領域である
・ビジネス書から得られるのは形式知化できる部分だけである

一次情報に触れていない

暗黙知はどうすれば習得することができるのでしょうか。それを語る上で、まずは世の中の情報の種類を理解しましょう。情報には下記の3つがあります。

1次情報:自分自身が実際に実験・経験して入手した情報
2次情報:当事者が実際に実験・経験して入手したものを元に作られた情報
3次情報:コンサルように当事者でない誰かがまとめた情報


又聞きの噂話ほど信用ならないものないですよね。3次情報というのは誰かの成功体験を別の誰かが解釈して記載したものです。

言語化・図式化できる形式知を得たい場合は3次情報であっても機能します。三角形の面積が底辺×高さ÷2であることや料理のレシピ手順については、第三者が書いても定理証明者が書いても普遍だからです。書く人によって三角形の面積の公式が変わったら世の中困ってしまいます。(フェイクニュースとかはこれに当たりますが)

一方で言語化できない暗黙知を得る場合には、1次情報でなければ機能しません。言語化できないのだから当然ですが、自分でやってみて経験として理解するしかないのです。

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データはウソをつかないといいますが、データの解釈はウソをつきます。データを解釈抜きで語れるのは数学くらいのもので、基本的には人による解釈、サンプルの対象・場所・時間軸の偏り、時代・価値観・環境の変化などの暗黙知要素が混ざるため、過去のデータの解釈が普遍と言い切ることは難しいです。
結局は、自分で行動して市場に仮説・プロトを試して結果を得る1次情報が大切になります。

情報のまとめ
・情報には3種類ある
・形式知は情報ソースに依存せず得られる
・暗黙知は自身で試行錯誤した1次情報により得られる


まとめ

最後にもう一度まとめます。
ビジネス書は筆者が試行錯誤した失敗経験の情報の多くが抜け落ちています。そもそも言語化できない経験である暗黙知を、記述すること自体が難しいです。
ビジネス書からは形式知を吸収し、収集した知識で実際に仮説を立てて市場でプロトを試して暗黙知を吸収する。このサイクルを回さない限り、形式知だけを蓄えブクブク太った肥満知識になり、成功することはできません

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