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ホルモン千葉の職人技とホスピタリティにすっかり気持ちを持っていかれた話

この間、某教え子達を連れて渋谷の「ホルモン千葉」に行ってきた。ホルモン千葉とは、本店が京都にあるホルモン屋さんで、あとはこの渋谷にしかない。日本に二軒しかない、知る人ぞ知る名店である。

渋谷の道玄坂を途中で曲がり、円山町の界隈へ。左右にラブホが立ち並ぶディープゾーンの中を女子3名連れて歩くのはかなり勇気がいる。しかし彼女達はただただ、これから食べる肉のことだけで頭がいっぱいのようだった。
さらに角を曲がり、狭い道を少し進んだところに、最近移転してきたばかりの「ホルモン千葉」がある。

ホルモン千葉とは & その仕組み

店舗はすべてカウンター席のみ。「千葉のコース」という定番のコースがあって、客のほぼ全員がこのコースを注文する。

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斜めに傾せた鉄板を置かれ、傾いた先からは肉汁がこぼれてもいいようにタレの入った皿がセッティングされる。
こぼれてもいいようにというか、わざと肉汁をその皿の中にインさせる仕組みなのだろう。

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その鉄板の上に、店員さんの手で、中落ちカルビを皮切りに、各種ホルモンが次々と乗せられていく。

そう、この店の最大の特徴は、客は肉を一切焼かなくていいこと。すべて、カウンター越しに店員さんが焼いてくれるのだ。
贅沢極まりない。

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↑ ホームページ画像より。

店員さんがうまい具合に焼いてくれて、そして一番の食べ頃で教えてくれる。だから客は肉を焼く労力も要らず、ただただ美味しい肉を頂きながら、仲間同士で楽しく会話も楽しめる。
誰かが気を使って肉を焼いてあげるとか、暗黙のルールで一番年下が焼かなきゃいけないとか、そんなことも一切必要ない。

異色の料理人であり無類の肉好きである先代の千葉と代表が焼肉を食べに行っている時に、「焼きながら食べる」ということに疑問を持ったのが全ての始まりでした。
このような中途半端な状態では美味しく肉を食べることなど出来ないと考え、お客様には味に集中して食べていただきたい、そして最高の焼き加減、食べ頃を逃して欲しくないと考え、カウンターのみの営業形態をとらせてもらっております。(ホルモン千葉・ホームページより)

美味しい肉を、誰一人気兼ねなく、気も使わずに、ただただ喰らい続けられる。
そして
これまでに焼いた肉から溢れ出た肉汁エキスが入ったタレを豪快につけて、新しいホルモンがまた焼かれていく。

最高じゃないか。

店員さんの職人技

僕らのグループの鉄板を担当してくれた店員さんは、同時に僕らの左右に座るグループの鉄板も担当していた。つまり一人で3グループを同時に見なきゃいけない。

当然、そのグループによって人数も違うし、コースの中身も微妙に違うし、コースの合間に単品を頼むグループもいるし、それより何より、グループによって入店時間も食の進み具合も全然違うのに、何一つミスも取り違えも焼きの遅れもなく、この店員さんは一人でテキパキと臨機応変に3グループの鉄板を管理し、把握し、操っていたのだった。

狭い店内で魅せるパラレルワーク。職人技の極致。お見事すぎた。

おもてなし、ってこういうことか

なおかつ、そんなに忙しく前後左右の鉄板を操り肉を焼き続けながらも、その合間に「予約のお電話を頂いた方へ」と、5円玉が2枚入ったポチ袋を渡してくれる。食後には、店名入りのミンティアを全員にくれた。

鉄板を操る職人技だけではなく、あらゆるところに気遣いと配慮が行き届く、完璧なホスピタリティ。
さすが京都の名店⋯本当の「おもてなし」とはこういうことか。

肉も美味しいしシメのそばやうどんも最高だけど、あのホスピタリティに接するだけでも、この「ホルモン千葉」には一度、行ってみる価値はあると思う。コースも手頃な値段だし、お酒も旨いし、ウーロン茶はなぜか馬鹿デカい。

言わずもがな、再訪決定である。

カウンターの奥に某エナジードリンクが置かれているのを、一緒にいた子がふと見つけた。この店員さんはこれを飲みながら、僕らの肉を頑張って華麗に焼いてくれていたのだった。そりゃエナジーも足りなくなるよなぁ。本当に素晴らしい客さばき、肉さばき、鉄板さばきでした。

お腹いっぱい食べて、満足して店を出て、ふと横を見たら⋯


数十メートル先に、なんと「肉なべ千葉」も発見。

調べたら、やはりこの肉なべも、店員さんがすべて鍋を仕切って調理してくれるという。
鍋奉行の出番なし!

今度、必ず行ってみよう。




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