見出し画像

俺はこんなチームをつくりたいんだった ~ ”何も起こらない” 映画の話

こんなチームをつくりたいんだった。

LINDA の意味

言わずもがな、LINDA SMILES の「LINDA(リンダ)」は、THE BLUE HEARTS の名曲「リンダリンダ」からとりました。

ドブネズミみたいに 美しくなりたい
写真には映らない 美しさがあるから

LINDA という言葉には、スペイン語で「美しい」という意味もあります。
写真には映らない、それぞれが想う美しさを自由に表現できるクラブにしたい。そんな想いを、まずは込めました。そして

愛じゃなくても恋じゃなくても
君を離しはしない
決して負けない強い力を
僕は一つだけ持つ

この歌詞に表れているような強い友情を育めるクラブに、必ずしていこうと。
誰よりもやさしい、何よりもあたたかく。

30年以上前からずっと聴いている曲だけど、ここまで歌詞をグッと考えたこともなかった。でも大人になって、この歳になった今、新しいクラブを始めようと思ったのとほぼ同じタイミングで偶然またこの曲を聴いた時。そして歌詞をジッと見た時に、僕の心はもう動いてた。自分の中で確信めいたものが湧いてきて、これはもう運命だとも思った。その瞬間、クラブ名も秒で決まった。

俺は、こんなチームをつくりたいんだった。

そして
うまくは言えないけれど、クラブというよりは「チーム」なんですよね。
きっと。


リンダリンダリンダ

2005年に公開された『リンダリンダリンダ』という映画があります。

公開されたのは、今から16年前の2005年。
当時からこの映画自体の存在は知っていたけれど、観たことはなかった。

でも今回「せっかくだから」とこの映画を初めて観てみたら、、
これから自分でつくろうとしている「女の子たちの物語」とオーバーラップして、一度観た後も、思わずもう一度観てしまったほど。

文化祭を控えた、女子高校生たちの物語。

軽音部の女の子たちが、喧嘩や怪我などでバンドメンバーが抜け、その代わりにと、韓国から来ている留学生(ペ・ドゥナ)をボーカルに誘うところから物語は始まる。

でも・・・

この映画、ほぼ何も起こらないんですよ。

劇的な展開もないし、何かを目指して!的な展開もない。
あっと驚くどんでん返しも、ない。

些細なことで喧嘩して、些細な行き違いやすれ違いも普通に起こって、でもそれは本当に些細で高校生ならば日常にあることだから、それ自体が何か大きく物語に影響していくわけでもない。

でもその些細なことって、青春時代はとても大きなことだったりするじゃないですか。何でもないことで行き違ったり、喧嘩したり。誰でも覚えがありますよね。

映画の中では告白されたり告ったりもあるけれど、それ自体は物語に何ら影響もしてこない。いつもある日常の一つとして、描かれている。

でもなぜかわからないけど、そんな彼女たちの日常と心の些細な動きを繊細に描写しているから、こちらは彼女たちにどんどん感情移入していってしまうんです。

娘、生徒、友達⋯ 何でもいいけれど、彼女たちのことをほっとけない感情に陥ってしまいながら、文化祭の当日はどうなるんだろう、この子達がちゃんとブルーハーツ演奏できるんだろうか、あんまり真剣に練習もしてないじゃん⋯とか、いつの間にかワクワクドキドキしながら待っている自分がいて。

そして迎えた文化祭当日、わけあって時間に遅れ、全員ビショビショになったままでいきなり始める「リンダリンダ」。
「ソンさん」役のペ・ドゥナが「リンダリンダ~!」とシャウトした瞬間、僕はなぜか、涙を堪えることができなくなっていた。

さっきも言ったように、別にそこまで劇的な展開でもないのに。
でも何故か、彼女の不器用なシャウトと彼女たちの決してうまくない演奏が、日常の中で彼女たちが抱えてる、不器用だけど一生懸命で、不安で、でも楽しく過ごしているありのままをそのまま全て曝け出して、表現していて、喜びに溢れているようで。

この「リンダリンダ」演奏シーンは、日本映画史に残る名シーンだと思います。

この映画は、のちの名作「桐島、部活やめるってよ」や「心が叫びたがってるんだ」に大きな影響を与えたと言われています。

最初に観た時は「こんな平穏な物語が、何故そこまでに名作といわれるのか」がわからなかったのだけれど。
いろんな方が書いた考察を見て、その上で2回目を観たら⋯1回目とは見方が変わり、細部にまで張り巡らされた繊細さに、思わず「すげぇ⋯」となったのでした。

・ケイ(香椎由宇)はなぜブルーハーツに拘ったのか
・なぜ、あんなに観客が増えたのか
・ライブ当日、雨の意味
・韓国からの留学生にボーカルを務めさせた意味
・教室に大きく描かれた青いペインティングの意味
・そもそも意味なんてない、という意味

深いです。何もない日常を描いたからこそ、人生に一度しかない10代の一瞬が、この映画には描かれていて。

春からはじめる LINDA SMILES でも、きっと劇的なことは何も起こらないでしょう。日々、学校でいろいろあって、でもサッカーに来てくれて、そのサッカーでもきっと仲間同士でいろいろあって、悩んだり、迷ったり、時にはすれ違ったり、でも楽しかったり、一緒に喜んだり。

そんな彼女たちの日常に寄り添いながら、僕ら大人はその邪魔をせず、誰一人として見放さず、諦めずに、外からどんなことを言われようと彼女たちの味方になって、やはりその日常に寄り添い続けたい。

彼女たちをこっそり応援し、ライブ当日も舞台上の彼女たちを嬉しそうに見守った、あの先生(甲本雅裕)のように。

もう一度だけ。

俺は、こんなチームをつくりたいんだった。
この映画を観て、その想いをさらに深めたのでした。

まだ観ていない方、騙されたと思って、ぜひ観てみて下さい。できれば2回。
LINDA SMILES のスタッフ陣は、必ず観て下さい!やっぱり2回。

ついでにもう一つ
これも、すごく好きなんですよね。。俺はこんなチームをつくりたいんだった。

とにかく有言実行。美しく、カッコよく、魅力あるチームを必ずつくります。
応援してくれたら嬉しいです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?