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お店へのアクセスが悪い方が、むしろ良い時代なのかもしれない

個人店のカフェを開業するときに考える要素として、「立地」があると思います。

他のお店との競合関係や地域の特色というのもありますが、シンプルな部分で言うとお店へのアクセスの話です。どうしても公共交通を使える場所の方が有利であるように思われますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

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僕個人的には、今やアクセスの良さがプラスに働くことはあっても、逆に悪さがマイナス要素になることはそれほどない、と思っています。むしろ、アクセスが悪いことがプラスにさえなってしまう可能性さえある、とも。

要素を分解して、順番に見ていきますね。

「アクセスが良い」は"行く理由"にはならない

「アクセスが良いところで商売をするのが好ましい」というのは昔から変わらない考え方で、ちゃんとメリットがあります。

公共交通さえ使えば誰でも気軽に来店できるという点で、車を持っていない層を取り込めますし、そういった場所はたいてい人通りも多いので、「たまたま通りかかったけど、ちょっと寄ってみるか」というお客さんの獲得方法もあると思います。

加えて、人通りが多いところで、多くの人の目につくということは、そこに店を出すだけで自分のお店(あるいは商品)のアピール・宣伝をすることができる、という効果もあるでしょう。

だからこそ、高い賃料を払ってでも"アクセスが良い"場所にお店を出したがる人が多いわけですね。

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1つ目に挙げた「来店への物理的なハードルを下げる」というメリットは、アクセスが良いお店の特権です。来店を後押しする要素にはなります。

ただ、ただですよ。

僕らが行くお店を選ぶときに、「アクセスが良いから」というのが一番の動機になることはあるでしょうか?「あのアクセスの良さ、一度体験してみたい…!」なんて、絶対にないですよね。笑

つまり、「アクセスの良い/悪い」は大事ではありますが、あくまで副次的な要素であって、ここに主眼をおいた店づくりはするべきでないと思います。本末転倒。

「行きにくい」という感情を凌駕するような「行ってみたい!」お店を作ることに全力を尽くすべき

で、今ですよ。SNSが発達したこの時代。

適切な情報発信、およびユーザーの口コミで十分なアピールができていれば、もはやアクセスの良い場所でお店を出して、通りかかる人に見つけてもらう必要は(ほぼ)無くなりました。まぁ、「あったらラッキー」くらいですね。

なので、アクセスの良さの2つ目のメリットとして挙げた「良い立地でお店(サービス)のアピールが出来る」というのも、高い賃料と引き換えに手にする対価としては、ちょっとショボい感じになってしまっています。

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というかそもそも、人がカフェに行くのは、何のためでしょうか?

やっぱりこれなんですよ。本質は。幸せになるため。

お店(店主)の理念・想いをしっかり固めて、お店の本質的な魅力を磨いて、適切な情報発信をして求めている人に伝われば、たとえアクセスが多少良くなかったとしても……お客さんは頑張って来てくれます。

「行きにくいな…」という感情を超えるような「行ってみたい!」という感情をスマホの中で生み出してあげれば良いのです。

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また、「行ってみたい!」の期待値を究極まで高めた先には、こんな仮説を立てることも出来ると思います。

「お目当てのものにありつくまでが大変であるほど、受け取る幸せ大きくなる説」

ディズニーランドが好きな方は、ぜひ最近行ったときの楽しかった記憶を思い出してください!

最近行ってない方、および僕みたいにあんまりディズニーランドが好きじゃない方は、行列のできる美味しいラーメン屋さんを想像していただければ幸いです。

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ディズニーランドとか人気のラーメン屋さんって、基本めっちゃ並ぶじゃないですか。数十分とか、下手したら1時間以上とか。ぶっちゃけ、時間的な効率はめっちゃ悪い。

ただ、それでも自ら進んで長時間並ぶのはなぜか?というと、並んだ先に自分の大きな「幸せ」が待っていることを期待(半ば"確信")しているからなんですよね。期待が高まっているからこそ、長い時間待てる。

で、さらに大事なのはここからで、究極まで期待が高まっている状態だと、待ち時間さえもポジティブに捉え始めるという謎の現象が発生します。「仕方ないよ、人気なんだし」とか「この待ち時間がスパイスだよね~」とか、頼んでもいないような好意的な捉え方までし始める始末。

そして、やっとありつけたサービスが自分の期待に応える、あるいはそれを軽々と上回るほどのクオリティを叩き出してくれると、そこには爆発的な「幸せ」が誕生する、という仕組みです。

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お店の立地についても、全く同じことが言えると思います。

適切な情報発信でお客さんの「期待」を究極まで高めて、それに見合った(あるいはそれ以上の)お店を作り上げていれば、「アクセスの悪さ」さえ幸せを作り出すための重要なスパイスになります。

遠ければ遠いほど、行くための手段が大変であれば大変であるほど、良いのです。不思議な感じもしますが……

「大変だったけど、本当に行って良かった!」

この感想が出たら、お店の勝ちです。

森彦の代表・市川草介さんは「路地裏の真実」として、こんなことを語られています。

(わざわざ探さなければ辿り着けないような) そういう店ほど長く続いていて、時を重ねた豊かさがある。店主の徳によって、お客さんが愛情を注ぎ育てているみたいな。メインストリートでは決して築かれることのない、店とお客の親密な関係。-路地裏への愛着 │ MORIHICO.

これは、SNSが無いのは当たり前、スマホどころかガラケーすら怪しい24年前、1996年の森彦創業当初のお話。

時代が変わって、モノが進化して、小手先のやり方やテクニックが増えたとて結局、物事の本質は何一つ変わっていないということですね。

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磨きましょう。そして、発信しましょう。あなたのお店を必要とする、誰かのために。

情報が届けば、今の時代アクセスの良し悪しはあまり関係ありません。

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