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必見!運転をする発達障害者の心得!

発達障害を抱えながらも運転をしておられる方は多いと思います。
一般的に運転にはたくさんのリスクがつきものですが、発達障害を抱えていたら、そのリスクは更に高くなると考えられます。

僕自身もADHDとASDの特性を持っており、免許を取ってからの数年間は事故や違反を重ねてしまい、2度の免許停止を喰らってしまった身です。
いろいろな要因があると思いますが、僕の発達特性が影響していた可能性も否めません。

しかし、最後の免停からもう15年以上が経ち、無事故・無違反記録を更新中です。

運転技術や交通ルールの説明に関しては、僕は専門家ではありませんし、責任も負いかねるので、公的な機関や団体のWebページやパンフレットに委ねるとして、今回は『運転をする発達障害者の心得』について書こうと思います。


①ハンドルを握る前の心得

(1)体調は万全に

発達障害者の運転のリスクを高める要因としては、「不注意」「衝動性」などが考えられます。
ありがちなのが、運転中に全く関係ないことが気になって前方への注意がおろそかになり人やものにぶつかってしまったり、追いこしをされたことに腹を立てて衝動的に煽り運転をしてしまったり、だと思います。

人間の注意力や処理能力に関係するのは脳の「前頭葉」とよばれる部位なのですが、疲れているとこの前頭葉の機能が低下することがわかっています。
みなさんもご経験があるかと思いますが、疲れているときほど、確認不足によるうっかりミスがおこりやすかったり、他人のちょっとしたしぐさにイライラしてしまいやすくなったりします。

特に、発達障害者は、脳が健常者より活発に動いているため、人より疲れやすいともいわれています。
日常的にハンドルを握るのであれば、睡眠時間をしっかり確保して、過度のスマホ使用を控えるなどした方がいいと思います。
特に、スマホは脳疲労を招きやすいので、一日の使用時間を制限した方がいいです。

そして、体調がすぐれないときは、勇気を出して運転を控えることも必要です。

(2)車の不調を事前に見つける

自分の体調が万全であっても、車の調子が悪ければ元も子もありません。
運転免許を取得するときにも、「乗車前点検」の必要性については学んだかと思います。
目視でタイヤのパンクなどの不調をみつけられればベストですが、実際なかなか見つけられません。
そんなときは、実際に少し走らせてみて違和感がないかを確認してみてください。
注意深く全身の感覚に意識を向けていれば、パンクやエンジンの不調などはみつけられると思います。
ADHDなどの特性があると、どうしても慎重さに欠けることがあります。
ですが、車の不調は命に関わる事故に直結します。
日頃から車のトラブルにすぐ気づけるようにしておきましょう。

あと、もう一つ忘れがちなのが、座席やミラーの位置の調整です。
特に、複数人で一つの車をシェアしている場合、個人の体格に合わせた微調整が必要です。
ASDの特性があると、いつもの環境と少しでも何かがズレていると調子が狂ってしまうことがあります。
運転中にそんなズレに気づくとパニックに陥ってしまうことも考えられます。
特に、ミラーのズレは運転中の視野範囲にも影響します。
めんどくさいと思わずに、必ず走り出す前に、自分に合わせてカスタマイズしてください。

(3)経路の確認を

事故原因の一つに「わき見運転」がありますが、その中でも車載ナビスマホのナビに気をとられていたことが原因のケースも多いようです。
実際、経路案内を完全にナビにたよってしまうと、車の運転をしながらナビをいちいち確認しなければならなくなり、マルチタスクが苦手な発達障害者にとっては、事故を起こすリスクが高くなってしまいます。

通い慣れた道ならいいのですが、はじめての経路をたどる場合は、必ず地図やナビで「どの交差点でどの方向に曲がるのか」、大まかにでもいいので確認しておきましょう。
そうすることで、そこまでナビに気をとられずに運転できるようになるので、事故発生リスクを抑えられます。

(4)不測の事態に備えておく

どんなに万全に準備をしていても、運転中に不測の事態が起こってしまうこともあります。
例えば、交通事故を起こしてしまったり、タイヤが側溝に落ちて脱輪したり、道路に落ちているクギを踏んでしまってタイヤがパンクしたり、停車中にバッテリーがあがったり…。
そんなとき冷静に対処できればいいのですが、発達特性があると容易にパニックに陥ってしまいます。

そして、パニックに陥ってしまうと、事故相手の言いなりになって多額の示談金を請求されたり、悪徳なロードサービス業者に法外な対応費用を請求されたりしてしまいます。

実際、格安の基本料金をうたう悪徳業者に多額の修理費用を請求されるケースが増えてきているそうです。
そんな目に遭わないためにも『JAF』には必ず加入しておいてください。
安心してロードサービスを受けられますよ。

また、事故を起こしたときの手順を確認しておいてください。
安易に示談に応じない方が得策です。
基本的には、まず警察を呼んで「事故証明」をとってください。
そして、保険会社を通して相手とやりとりした方がいいです。

このように、何が起こっても、体が無事であればどうにだってなります。
パニックに陥りやすい発達障害者は、日頃から不測の事態に備えておくことが大切です。

②運転中の心得

(1)運転は「競争」ではなく「協力」

運転をしていてやってはいけないことの一つに「抜かれたら抜きかえす」というのがあります。
このような運転をしてしまう人は「運転不適格者」といえるでしょう。
実際、このような人は多いのですが、はっきりいって運転の意義をはき違えていると思います。
そして、発達障害特有の「衝動性」があると、容易に他のドライバーとの競争関係に発展しやすいと考えられます。

運転は「競争」ではありません。
どちらかというと、周りのドライバーとの「協力」であるといえるでしょう。

急いでいる車がいたら道をゆずる(「お先にどうぞ」の精神)、スピードを出して荒い運転をしている車がいたら遠ざかる(「負けるが勝ち」の精神)などの対応が正解です。

他にも、救急車がサイレンを鳴らして近づいてきたら道を開ける、歩行者が横断歩道をわたろうとしていたら対向車線の車といっしょに一旦停止をする、など安全・安心な運転のためには他のドライバーとの協力が不可欠です。

常に、運転は「競争」ではなく「協力」であると心得ましょう。

(2)常に「紳士淑女」であれ

スピードを出して、他の車をぐんぐん追いぬいていくことがカッコイイと勘違いしている人も多いかと思われます。
実際は真逆なのです。
そういう自己中心的な運転をする人は、他のドライバーや同乗者からも白い目で見られています。

特に、男性に注意してもらいたいのですが、オラオラ系の運転は女性をドン引きさせてしまいます。
それよりも、他のドライバーや歩行者に対して心づかいを示したり、同乗者に対して細やかな気づかいをみせたりできる男性の方が、女性に好印象を与えられます。

好印象を与えるために紳士淑女になれ、といっているわけではありません。
ただ、あなた自身が人格を損なったり事故にあったりしないためにも、悲しい交通事故を減らすためにも、ハンドルを握ることに責任をもってください。

運転免許を取得するということは大きな責任を負うことなのです。
その責任を全うするために、荒い運転などせず、紳士淑女としてスマートに運転をする方が、ずっとカッコよくみえますよ。
そして、発達障害者であっても、心がけ次第でスマートな運転は十分可能と考えます。

(3)運転が上手い人は、夜も上手い!?

これは僕が若いときからよくいわれていたことなのです。
それに関する研究や論文をみつけられなかったので、実際のところはどうかわかりませんが、噂によると女子の間では一般常識になっているようです(笑)

しかし、僕個人の経験や周りの様子などから、この説にはある程度の説得力はあるように思います。
というのも、上手な運転も上手なセックスも以下の二点が共通しているからです。

[1] 相手の反応をみながら動作を修正する
自己中な人というのは、相手の反応などおかまいなしです。
自分の欲求充足だけを考えてガツガツ動きます。
運転がうまいドライバーも夜のテクニシャンも、相手の反応をしっかり観察しています。
どうすればスムーズにことが運ぶか、どうすれば相手が気持ちよくなるかを考えて、一つ一つの動作を丁寧に行います。

[2] 常に相手に対する「心づかい」を忘れない
運転中に、他のドライバーや歩行者にさりげない心づかいができる人は、運転がうまいといえるでしょう。
横断歩道をゆっくりわたっている高齢者や子供づれの女性にイライラせず穏やかに待てたり、急ブレーキを踏んだときに同乗者を気づかったりできると、ベッドの上でも自然にやさしさを発揮できるはずです。

以上の二点から、運転がうまい人はセックスもうまい、という説はそれなりに信憑性があるといえます。


(4)脳をフローの状態にしておく

運転中は、集中力の欠如も危ないのですが、発達特性に起因する「過集中」も事故のリスクを高めてしまうといえます。
というのも、運転中はいろんなところに注意を向けておかなければならないからです。

ところで「フロー状態」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?

目の前の行為に完全に入り込んだ結果、ほかの一切が消え去り、かつてないほど自然な感覚でそれができた、という経験はあなたにもあるだろう。そのあいだ、時間が溶けてなくなったように感じられたことが。深く集中するあまり、夜になったのに気づかなかったとか、食事をするのを何度か忘れたという話もよく聞く。
この経験がフローだ。

『誰でも「ゾーン」に入って仕事ができる方法』東洋経済ONLINE

最高に集中していて、最高にリラックスした状態ともいえますね。
運転中この状態をキープできれば事故を起こすリスクは確実に減らせます。

僕たちがフロー状態に入るのを阻む最大の要因は、そう「スマホ」です。
運転中スマホに気をとられて事故を起こす、というのはよくあることです。
スマホが鳴ってもいちいち手にとって開くことがないように、普段から「フロー状態」で運転する練習を重ねてください。

日本語で「注意欠陥多動性障害」といわれるADHDの人も、フロー状態に入れば、あちこちに注意が向けられるという特性が、逆にうまく活かされると思いますよ。


③運転をしているとき以外の心得

(1)運転に関しても自己研鑽が大事

運転も他のスキル同様、普段からしっかりとした知識を入れておくことが大切です。
学科試験で覚えた内容も、使わなければ忘れていきます。

おすすめはJAFの情報誌です。
JAFに加入していれば、定期的に送られてきますので、ぜひ内容に目を通してみてください。
事故を起こしやすいポイントを、図やイラストを使ってわかりやすく解説してくれています。
それが頭に入っているだけで、とっさのときにあわてなくて済むと思います。

この情報誌には他にも旅行情報や、有名人の車に関する談話などが載っていておもしろいので、そちらもおすすめです。

あと、交通ルールはよく改定されることがあります。
新聞やニュースなどをこまめにチェックして最新の情報を仕入れておきましょう。
警察は「知らなかった」で許してくれるほど甘くはありません。

(2)視力トレーニングをしておく

運転中、ほとんどの情報は目から入ってきます。
遠くをみたり、近くをみたり、ひんぱんに視線を動かしたり…。
視力の低下は事故のリスクを高めてしまいます。

日頃から目が悪くなる習慣を改めて、視力をキープしておくことが大切です。

僕は、太平洋戦争中に活躍した零戦パイロット・坂井三郎氏の視力トレーニングを活用しています。
零戦パイロットにとっては視力が生死を分ける大切な要素であったので、彼らのトレーニングは理にかなっていました。
街を歩いていて遠くの看板の文字を読む練習をしたり、飛んでいる鳥や水辺に浮かんでいる鳥の数を瞬時に数えたり…。

おかげで僕はいまだに両目の視力が裸眼で1.5(毎年受ける検査の最高点)を下回ったことがありません。

「遠くを見る」というのが目の水晶体の厚みを調節する毛様体筋をリラックスさせる最もいい方法のようです。
逆にいうと、ずっと手元をみてしまう「スマホ操作」は視力にも悪影響を及ぼすといえます。

日頃から目を大切にする習慣をもつことが、安全運転につながると思います。


いかがでしたか?

運転は正しい姿勢でのぞめば、あなたの人格を陶冶(=とうや。才能・性質をねって作り上げること)してくれますし、人生を豊かにもしてくれます。

発達障害をもっていて、運転に対して前向きになれない人が、楽しく安全に車を運転できるようになる一助になれば幸いです。


イルハン


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