【ADHD当事者が解説 】職場で「ヤバい人」と言われないために。発達・精神障害者が気をつけておくべき合理的配慮の求め方
こんにちは、あるいはこんばんは、ADHDのにょろむしです。
突然ですが「障害者雇用で働く」に関して、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
特例子会社のように、休憩室完備、ジョブコーチさん、理解のある上司などがいる、「安心できる職場」?
一般雇用の方に混じって、配慮を受けつつゆったりと働ける、「自分のペースを大事にできる雇用」?
それとも、外資企業などによく見られる、「配慮はしても遠慮はしない」バリバリ働くイメージでしょうか。
今3つ挙げましたが、実際には職場の数だけさまざまな「障害者雇用の形」があると思います。
そんなさまざまな形態がある中で、しかし共通していることとして、「適切に配慮してほしいことを伝える難しさ」があります。
障害者雇用は、「合理的配慮」を受けることができる雇用形態。しかし、実際には、職場に入ってからの合理的配慮の申し出は、なかなか難しさが伴います。
この難しさは、会社の障害者雇用の理解の深さや体制、上司の話しやすさなどにもよると思いますので、一概には言えません。
ただ、確実に言えるのは、「一方的に権利を振りかざし、強硬な態度で合理的配慮を迫る人間は職場から「厄介者」扱いされてしまう」ということです。
これは、障害者雇用で働いている発達障害当事者のサポートに当たっている方のツイートから引用したものです。
こちらのツイートを読んで、私は深く考えさせられました。
どこからが「過重な負担」?
障害者雇用において「合理的配慮」は権利ではあるものの、「合理的配慮だ!」と言えばなんでも通るわけではなく、あくまで事業主に「過重な負担」をかけない範囲内であるべきことは、「障害者差別解消法」に明記されています。
どこからが「過重な負担」にあたるのかは、①事業活動への影響の程度、②実現困難度、 ③費用・負担の程度、 ④企業の規模、 ⑤企業の財務状況、 ⑥公的支援の有無等の観点から総合的に勘案すると書かれているのですが、要は「こっからは過重な負担です」という明確な基準があるわけではなく「職場・環境による」ということです。
そのため、ツイートにもあるように「線引きが難しい」ほか、障害者採用にあたり社として障害者を受け入れる体制が整っていない場合に、現場の担当者に負担が集中しやすい傾向があり、障害者採用を進めたい会社と配慮を主張する障害当事者との間で、板挟みになった現場の担当者が疲弊してしまうという結果に陥ってしまうことがあるのです。
現場の担当者の多くは、ジョブコーチのように障害者をマネジメントするための専門的な知識や経験を持っているわけではなく、またいうまでもなく自業務の隙間時間で対応にあたります。そのため、時間的にも精神的にも余裕がないことが多いです。
このようなツイートを拝見していると、障害者雇用に関する社のサポートが少ない中で、この方は懸命に目の前の発達障害のある方に向き合っていらっしゃるのではないか、という印象を持ちました。
発達・精神障害者が敬遠されやすい理由とは
私見ですが、このような障害者雇用の現場で担当者が疲弊し、「精神・発達障害のある人と働きたくない」となる理由としては、二つ原因があるのではないかと思っています。
一つ目は、そもそも社としての受け入れ態勢が不十分で、現場の少数の担当者に全ての対応が押し付けられている場合。
そしてもう一つは、そもそも雇用される側の当事者の問題として、まだ「就労準備」が整っていないという点です。
ツイ主さんの場合、この二つの問題が並存しているために苦労されているのではないか、と感じました。
企業の体制については、当事者には如何ともしがたいものがあります。
しかし、当事者自身ーーつまり自分自身の行動や意識等については、努力しだいで変容させることができる。ということで、今回は、職場に「厄介者」扱いされることなく適切に「合理的配慮」をお願いする時のポイントについて解説していきます。
この記事を読んでわかること
この記事を読むと、以下のようなことがわかります。
「合理的配慮」は障害者雇用で働く上での大きなメリットであり、権利でもあります。合理的配慮を受けることにより仕事のパフォーマンスが上がり、それがひいては企業の利益にもつながります。そのため、「合理的配慮」は当事者と企業、両者に利益をもたらすものであるということができます。
「合理的配慮を求めてはいけない」ではなく、適切に求められるようになること。
それが今回の記事のゴールです。
ところで……この記事を書いている「にょろむし」って誰?
じゃあ、えらそうに言うお前は一体ナニモンなんだ?と言うことで、軽く自己紹介を。
ADHDのにょろむしと申します。
名前の通りADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けており、現在は障害者雇用で3年ほど働いております。
発達障害の知識の豊富な支援者に出会ったことにより、今までの困りごとや困難の原因がわかり、以前は短期離職を繰り返しておりましたが、今は日々「最長勤務記録」を伸ばすことができています。
支援者から得た知識や、自身の就職活動の経験、日々の自己分析から得たライフハック、障害者雇用のリアルなどについてtwitterで発信しています。
もしよろしければ、こちら見ていただけると、どんな人間かわかりやすいかと。
また、この記事の中でも少し触れているのですが、「ずぼらていねいなくらし」vlogをYoutubeで発信しています。
twitterやnoteではお役立ち(?)情報を発信し、youtubeでは「ADHD=だらしない」といったネガティブなイメージを変えるべく活動しています。
よろしかったらyoutubeもご覧ください!そして……あの……よろしければチャンネル登録と高評価を……(ごにょごにょ)。
職場で「厄介者」扱いされてしまうことが多い理由
前置きが長くなってしまいすみません。
それでは、本題に移りましょう。
一生懸命やっているのに、なぜ?
「合理的配慮を求めたい。」こう思うとき、たいていの場合、私たちは一生懸命取り組んでもうまくいかないことがあり、「どうしようもないから助けてほしい」という思いで相談していると思います。
そのため、私たちの視点から見ると、「こんなに大変なんだよ!!!見てわかるでしょ!!!」という気持ちであったり、「サポートがほしいから障害者雇用を選んだのに、なんでこんなに苦労しないといけないんだ!!」という憤りのような感情が渦巻いていることが多いのではないでしょうか。
①発達・精神障害者の「困難」は外からはわかりにくい
しかし、悲しい哉、発達・精神障害のある人の「困り感」は、外から見ている人からはわからないことが多いのです。あるいは、「なんとなくしんどそう、困っていそう」ということは伝わっても、「なぜ困っているのか」は言葉にしないと伝わらない、という。
これが身体障害の場合、たとえば車椅子の方が道の障害物で難儀しているときに一目でその理由がわかるように、「なぜ困っているのか」「どんなサポートがあればそれが解消できるか」が比較的わかりやすいのですが、発達・精神障害の場合、その困難の原因は頭の中で起こっていることが多いため、理解されにくいのです。
また、その「困りごと」についても、専門知識のない定型発達の方から見た際には「わがまま」「甘え」と映ってしまうことが多いというのがまた悲しいポイントです。たとえば、ADHDのある方が深刻に悩んでいる「先延ばし問題」も、その背景にある障害特性の問題を知らなければ、「ただの怠惰」と映ることでしょう。
そのため、精神・発達障害のある方が職場で合理的配慮を求めるためには、まず「何に困っているのか」、そして欲を言うのであれば「その困難の原因はどういう障害特性からくるのか」を言語化できる必要があります。これが、就労移行支援事業所等の支援機関で訓練を行い、自己理解を深めることが推奨される理由です。
②「伝える」技術の未熟さの問題
また、発達特性そのものや、または特性からくるコミュニケーションにおける成功体験の少なさにより、「人に気持ちを伝える」という技術が同年齢に比べて発展途上であることがあります。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の場合、そもそも相手の状況や気持ちを汲みつつ自分の気持ちを伝えるということが苦手だという特性がありますし、ADHDの場合は、自分の気持ちが迸ったときに相手の気持ちを考える余裕がなくなって失言してしまうことがあります。このような障害特性が幼少期からあるために、人間関係をうまく結ぶことができなかったり、社会生活の中で自然と獲得していくコミュニケーションの技術が同年代と比べたときに稚拙であるとか、そもそもその獲得の機会を逸していることがあるのです。
そのため、合理的配慮を求める際のコミュニケーションで「攻撃的」「自分本位」「他責的」と誤解されてしまう可能性があります。同じことを主張するのであっても、「言い方」によって人に与える印象は異なります。今回の記事では、「どういったポイントに気をつけてお願いすると良いか」を後述しようと思います。
③極端な思考に陥りやすい認知特性の問題
また、「〜すべき」「〜しなければならない」といった思考や、「白黒思考」と表現されるような、グレーを許さない思考の癖により、極端な結論に結びつきやすいという傾向があります。
本人からすると筋が通っているように感じるのですが、他者から見るといささか唐突に感じられたり、「そこまで破滅的に考えることないのに」「悪い方へ考えすぎじゃない?」と言いたくなるような結論になっていることがあります。
上記の例の場合、本人の悩みの根底には「雑談では積極的に話ができないといけない」という「〜すべき思考」があり、「それができていない=他の人たちが話をふってこない=嫌われているのではないか」という不安につながってしまっています。また、そこから派生して「仕事の失敗」「雇用の打ち切り」にまで不安が破局的に膨張してしまっています。
ちなみに、これは実際に知人が私に相談してくれた内容を少し編集しているのですが、私が「周りの人たちが話をふってこないのは、あなたがどちらかというと静かに過ごすのが好きなタイプだから、気を使っているんじゃない?」と言うと、「その発想はなかった。ちょっとホッとした」と話していました。このように、他の人に言われると「言われてみるとそうかも。なんで思いつかなかったんだろう」と思えることが思いつかないほど、視野が狭くなってしまうことがあるのです。
職場で敬遠される原因になるNG行動
先程述べてきた①・②・③の問題により、悪気はないのに、そして自分でも気づかないうちに、「職場の人を敵に回してしまうコミュニケーション・行動」をとってしまうことがあります。
入社後に合理的配慮を求めるためのフローとは?
それでは、「入社後」に適切に合理的配慮を求めるにはどうしたらいいのでしょうか。
面接時の「配慮事項の伝え方」との違い
障害者雇用の面接では、企業に対して「配慮してほしいこと」を尋ねられる場面が必ずありますね。
そことの大きな違いは、「相手から尋ねられることがほぼない」ということではないか、と思います。
入社後、職場に入って仕事をする中では、「ねえ、〇〇さん、こういう配慮は必要ないの?」と相手から尋ねられるタイミングはほぼありません。特例子会社など、定期的に上司やジョブコーチ等と面談の機会があったり、就労移行支援事業所等の支援機関を利用されて就労された方で、定着支援の面談の中で確認される、という場合は別ですが、基本的には「必要なタイミングで自身から発信する」ということが必要になります。
障害者雇用の面接の中で、「自己発信ができるか」について確認されるのは、このようなところが背景になります。
それでは、実際の「合理的配慮の求め方」についてフローを確認してみましょう。
ステップ①:「何に困っているのか」についてざっくり言語化する
まずは、「何に困っているのか」について洗い出してみましょう。
「不安」や「悩み」についてなるべくたくさん、ざっくりでいいので箇条書きにして出してみます。
このような感じです。
この段階では、これくらい雑な感じで大丈夫です。
ステップ②:ステップ①で出てきた内容を整理する
頭の中でごちゃごちゃしている不安や悩みごとをとりあえず全部洗い出せたと感じたら、次はその内容を精査します。
考えるポイントは、以下の3つです。
これだけだと、どのように進めるかイメージがつかないと思うので、実際に一緒にやってみましょう。
先程の不安について、⑴・⑵・⑶のポイントに則り整理してみます。
これで「今すぐ対処するべき困りごと・不安」については明らかになりました。
次は、「時間的余裕がある困りごと・不安」を整理してみます。
このとき、できるだけ「事実」を具体的にできると良いでしょう。
例えば、Aさんに「ちゃんと話を聞いて」と言われたという「事実」について、「いつ・どこで・誰に・どのような流れで・なんと言われたのか」まで思い出しておくと、後に上司や支援者に説明がしやすくなります。
また、どれが「今すぐ対処すべきこと」でどれが「時間的余裕があるもの」なのかがわからない、優先順位がつけられないという場合もあると思います。
そのような場合には、この整理は飛ばして、⑴・⑶についてできる範囲で行い、⑵については上司や支援者と一緒に行う、でも良いと思います。
ステップ③:どんなサポート・配慮があるとやりやすくなるかを考える
ステップ②を行うと、漠然とした不安から、「どのような事実があって、どこからが自分の認知なのか」「今対処すべきことと、まだ少し時間的余裕があること」「自分の認知特性が影響していること」をある程度切り分けることができていると思います。
完璧に行えなくても大丈夫です。重要なのは、ステップ②の観点を持ちつつ、自分自身を見つめ直そうとすることです。
次はいよいよ、「どんなサポートがあればやりやすくなるか」という配慮の部分を考えてみましょう。
最初はとりあえず自由に思いつくものをあげてみて、その後実現可能性や職場への負担度を考慮するのがオススメです。
一旦、こんな感じで「こんなサポート・配慮あったらいいな」を出してみました。
次は、その「実現可能性」や「職場への負担度」の観点でこれを吟味してみます。
合理的配慮の考え方として、障害当事者は、その障害特性に起因する困りごとに対して配慮を求めることができます。しかし、求める配慮が、会社や職場にとって「過重な負担」を及ぼすと判断される場合には、事業者は理由を説明した上で、「可能な限りの配慮」を行うとされています。
そのため、「これをやってほしい」と思う配慮の提案が全て通るかというとそうではありません。その配慮が実際に職場で提供可能か(実現可能性)・その配慮をお願いしたときに、職場に与える負担の重さ(職場への負担度)についても一旦考えてみましょう。
先程の内容については、このように整理してみました。
自分では判断のつかないものについては、上司や支援者に尋ねるようにする方が無難です。
私の経験から言うと、上記の配慮事項の内容であれば、基本的にはOKしてもらえるのではないかと思います。しかし、すり合わせは必要です。
たとえば、「議事録担当から外してほしい」という配慮について、「どんな会議でもすべて私は議事録は取りません!」と言ってしまうと、職場によっては「重い配慮」と取られてしまう場合もあります。私がこの配慮を申し出たとき、上司からは、「短い時間の会議や、「この会議だったら議事録を取れる」と思える会議があれば、その場面では議事録をお願いしたい。そのほうがにょろむしさんの成長にも繋がると思うが、どうか」と確認されました。
また、録音については職務機密の保護の問題などがあり、場合によっては許可されないこともあります。
そのほか、「職場の負担度」を考える上で覚えておくべきポイントとして、「自分から能動的に動く内容になっているか」という観点があります。
これがどういうことかと言いますと、たとえば「会議が終わった後、上司や同僚に「今日の会議の重要なポイント」について教えてもらいたい」という配慮について、これが「自分から聞きにいくことができる」のか、「毎回確認の時間を設けてもらわなくてはならない」のかによって配慮の負担度が大きく変わる、ということです。
なんとなくイメージがつくかもしれません。自分から「○○ってどうでしたっけ」と確認できる場合にはそこまで負担度は大きくないのですが、「さっきの話、わかった?大丈夫?ポイント今から言うからメモ取ってね」と上司から毎回確認を取らなくてはならないとなると、かなり負担度が高くなります。
比較的配慮環境が整っていると言われる特例子会社であっても、たくさんの障害者の方が働く環境であるため、ひとりひとりに対しそこまで目を配ることは難しく、「わからないことがあれば自分から聞きに行くことができる」ということが選考の中で念入りに確認されます。
配慮事項を考えるとき、「やってもらうのを待つ」ではなく、「自ら動く、能動的な内容になっているか」は確認するようにしましょう。
ステップ④:「自分で対策できる部分はないか」について考えてみる
ここで、「配慮をお願いする前に、自分で工夫できるところはないだろうか?」についても考えてみます。
最初から配慮ありきで考えるよりも、「自分でカバーできることはないか」という思考を挟む方が自分の成長に繋がりますし、また上司から見ても、「自分でも対策しようとする姿勢があるかどうか」で印象が大きく異なります。
誤解がないように言っておきたいのですが、これは「配慮を求めてはいけない」「自分ですべて対策しなくてはいけない」という意味ではありません。
配慮を求めることはもちろんOKなのですが、「自分でも対策できることはないか」という思考を挟んでいるかが大切です。考えてもわからない場合には、上司や支援者に相談して、提案をもらうこともいいと思います。実際に、私自身が「自分でできる対策が考えてもわからない」というときは、「自分でできる対策を考えてはみたんですけど、思いつかなかったので、一緒に考えてほしいです」と上司にお願いしています。
また、今現在何か対策しているけれど、その困りごとがなくならないときには、対策の仕方を変えることで問題が解決することもあります。
このように、今起こっている困りごとへの対策のやり方を少し変えることで、うまくいくようになることもあります。
障害特性についての深い知識・理解が必要であるため、これを自分ひとりで考えるのは難しいかもしれません。支援者を頼ることをおすすめします。
ステップ⑤:実際に上司に相談する
はい、ようやくきました!たぶん、最も難しいパート。
上司に相談するのって、かなり緊張しますよね。上司の話しやすさや障害理解の程度にもよりますが、「配慮事項をお願いする=自分のできていないこと・うまく言っていないことを上司へ申告する」ことになるので、かなり身構えてしまうのではないかと思います。
ここでは、この「上司への困りごとの相談」のコミュニケーションにおいて覚えておくと役立つポイントをご紹介します。
上記のポイントを留意しながら話を進めることで、「一方的」「他責的」「攻撃的」などと誤解されるリスクを下げることができます。
上司との話し合いに関して自分一人ではうまく進める自信がない場合には、支援機関の力を借りることもおすすめです。どのような障害特性により困難が生じているのかなど、専門機関の知見を申し添えてもらうことにより、理解を得られやすくなります。
最後に
ここまで長々とお読みいただいてありがとうございました。
精神・発達界隈のいろいろな意見を見ている中で、当事者とその周囲の人々のすれ違いをたくさん見てきました。私自身の実生活の中でも、当事者もその周囲もそれぞれに一生懸命なのに、なぜかすれ違ってしまったり、誤解が生まれてしまったり、最終的にはどちらかが潰れたり排除されてしまう、ということがありました。
私自身の体感なのですが、とくに発達障害の人は「話の通じない人」「厄介な人、扱いの難しい人」として孤立してしまうことが多い気がしています。自分自身を振り返ってもそうですし、私の大切な人たちの周囲を見ていても、そう感じます。
twitterで職場で発達障害のある方のサポートに当たっている方のツイートを拝見して、その難しさを感じました。前半でも述べたのですが、現場の担当者の多くは、ジョブコーチのように障害者をマネジメントするための専門的な知識や経験を持っているわけではなく、またいうまでもなく自業務の隙間時間で対応をされています。上司や先輩社員も人間ですから、精神的にも時間的にも余裕のない中での対応で「理解ある対応を」と言われても厳しいものがあると思います。
そうはいっても、当事者は当事者で一生懸命で、必死に頑張っている。しかし、その「頑張り」の方向性がずれていたりして、上司や職場からは「頭の痛い存在」になってしまうことがある。。。互いに攻撃し合うだけではどんどん溝が広がるばかりです。
冒頭でも述べたように、この問題は「企業側の受け入れ体制が整っていない」というところが根本的な問題だと思うのですが、「受け入れ体制をなんとかしろ!」と言っている間に現場の人たちは潰れていきます。当事者側では、企業の体制についてはどうにもし難いので、「私たち側で明日からできること」にフォーカスしてこの記事を書きました。
当事者の目線で書きましたが、当事者だけでなく、障害者雇用の人をマネジメントしている方や、支援にあたっている方にも読んでいただけたらと思います。
最後に。障害者雇用は決して「楽」な雇用形態ではありません。全国の精神・発達障害当事者の方にとって、この記事が何かの役に立てばと心から願っています。
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