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メモ-(論文)(海外)ADHDの子供と若者およびその親に対するマインドフルネスベースの介入に関する系統的レビュー

A Systematic Review of Mindfulness-Based Interventions for Children and Young People with ADHD and Their Parents

タイトル

著者

  • Illaria Tercelli, MSc

  • Nuno Ferreira, PhD

所属

  • Illaria Tercelli: University of Edinburgh

  • Nuno Ferreira: University of Nicosia

研究内容と実験期間

この研究は、ADHDを持つ子供およびその親に対するマインドフルネスベースの介入(MBI)の効果を評価するための系統的レビューです。七つのデータベースをPRISMA基準に基づいて検索し、査読されたジャーナルやグレイ文献を含む研究を対象としました。

対象人数

  • 総参加者数: 134名のADHDと診断された子供

  • 親の数: 89名

実験の詳細

介入の種類と実施方法

  1. 介入の種類:

    • MBSR: マインドフルネスベースのストレス軽減(Mindfulness-Based Stress Reduction)

    • MP: 親のためのマインドフルネストレーニング(Mindfulness Training for Parents)

    • MBCT: マインドフルネスベースの認知療法(Mindfulness-Based Cognitive Therapy)

    • ACT: 受容とコミットメント療法(Acceptance and Commitment Therapy)

    • MBPBS: マインドフルネスベースのポジティブ行動支援(Mindfulness-Based Positive Behavior Support)

  2. 実施期間とセラピスト:

    • 各介入は、マインドフルネスベースのアプローチに精通したセラピストによって実施されました。

    • 実施期間は4週間から10週間までさまざまでした。

  3. 評価方法:

    • 介入前後の量的評価デザインを用いて行われました。

    • ADHDの症状、親のストレス、家庭機能の変化を評価するための様々な指標を使用しました。

対象と評価手段

  • サンプル特性: 子供134名(8歳から18歳)と親89名(主に母親)

  • 治療期間: 介入期間は4週間から10週間

  • 評価手段:

    • 子供の注意力、過活動性、衝動性の改善

    • 親のストレス軽減と家庭機能の向上

    • 使用されたツール: BASC-2、BRIEF、BOSS、PSI、CBCLなど

結果と結論

  1. ADHDのコア症状:

    • 注意力の改善: ほとんどの研究で注意力の改善が報告されました。例として、Sidhu (2013) はBASC-2およびConners Parent Rating Scale – Revisedで中程度から大きな効果サイズの注意力の改善を示しました【6:13†source】。

    • 過活動および衝動性: 結果は一貫していませんでした。一部の研究では改善が見られたが、他の研究では有意な変化は報告されませんでした【6:8†source】【6:11†source】。

  2. 親のストレスと家族機能:

    • 親のストレスの軽減: ほとんどの研究で、親のストレスが有意に軽減されました。例えば、Haydicky et al. (2013) では、大きな効果サイズで親のストレスが軽減されたと報告されています【6:13†source】。

    • 家族機能の改善: 家族内の機能改善が報告されており、特に親子関係の質の向上が見られました【6:19†source】。

  3. 方法論的制限:

    • 小規模サンプルサイズ: 多くの研究が小規模サンプルを使用しており、外的妥当性に限界があります【6:19†source】。

    • ランダム化されていない対照群の欠如: 多くの研究で対照群がランダム化されていないため、因果関係の確立が難しい【6:17†source】。

    • 自己報告のバイアス: 自己報告と親のデータに依存しているため、選択的記憶や誇張の可能性があります【6:16†source】。

結論:

  • MBIの有効性: ADHDのコア症状の改善には一定の効果が期待できるが、特に過活動および衝動性の改善には一貫性がない。親のストレス軽減と家族機能の改善には強い証拠がある【6:19†source】。

  • 今後の研究の必要性: より大規模なランダム化対照試験や、異なる社会経済的および文化的背景を持つ参加者を対象とした研究が求められます【6:19†source】。

このレビューは、MBIが現在のエビデンスベースの治療に追加される可能性があることを示唆しており、特に親のストレス管理や家族機能の改善において有望であるとしています。

参考文献

  • Illaria Tercelli, Nuno Ferreira. (2019). A Systematic Review of Mindfulness-Based Interventions for Children and Young People with ADHD and Their Parents. Global Psychiatry, Vol 2, Issue 1.

上記の研究におけるマインドフルネスベースの介入(MBI)は、瞑想を含むものです。具体的には、以下のような瞑想と関連する技法が使用されました:

  1. マインドフルネスベースのストレス軽減(MBSR):

    • 瞑想を中心に、呼吸法やボディスキャンといった技法を用いるプログラムです。参加者は週に一度のセッションに参加し、自宅でも瞑想の練習を行います。

  2. マインドフルネスベースの認知療法(MBCT):

    • 瞑想を用いて、思考や感情に対する気づきを高めることで、ストレスやうつ症状を軽減することを目指すプログラムです。

  3. 受容とコミットメント療法(ACT):

    • 瞑想とマインドフルネスの技法を使用して、思考や感情に対する柔軟性を高め、価値に基づいた行動を促進します。

  4. 親のためのマインドフルネストレーニング(MP):

    • 親自身が瞑想やマインドフルネスの技法を学び、ストレスを軽減し、子供との関係を改善するためのプログラムです。

  5. マインドフルネスベースのポジティブ行動支援(MBPBS):

    • 瞑想とマインドフルネスの技法を用いて、行動の調整や感情の調整をサポートするプログラムです。

これらの介入は、参加者が瞑想を含むマインドフルネスの練習を日常生活に取り入れることで、ADHDの症状の改善や親のストレス軽減、家族機能の向上を目指しています。

具体的な実験方法

  • セッションの頻度と期間:

    • 各プログラムは週に一度、4週間から10週間にわたって実施されました。

    • 参加者はセラピストの指導のもと、瞑想やその他のマインドフルネス技法を学びました。

    • 自宅での練習も推奨され、毎日の瞑想やマインドフルネスの練習が奨励されました。

  • 評価方法:

    • 介入前後において、子供の注意力、過活動性、衝動性の変化を評価するために、BASC-2、BRIEF、BOSS、PSI、CBCLなどのツールが使用されました。

    • 親のストレスレベルと家庭機能の変化も同様に評価されました。

結果と結論

  • ADHD症状の改善:

    • 多くの研究で、注意力の改善が報告されましたが、過活動性や衝動性の改善については一貫した結果が得られませんでした。

  • 親のストレスと家族機能:

    • 親のストレスの軽減と、家庭内の機能改善が多くの研究で報告されました。

結論

MBIは、ADHD症状の一部の改善に役立つ可能性があり、特に親のストレス軽減と家庭機能の向上に効果があるとされています。今後の研究では、より大規模で対照群を設けたランダム化試験が必要です。

この研究は、瞑想を含むマインドフルネスの技法がADHD治療において有益である可能性を示唆しています。

感想-瞑想を含むマインドフルネスでADHDの子供たちや親に介入した実験。親のストレス軽減って実は親も発達障害だったのでは?と考えた。むしろ大人に対してかなり有効だったのではと考えた。子供たちは学校では運動などもするだろうし、大人の方が瞑想などすることによって改善してる可能性も十分あると考えた。対象もかなり大きく子供と親を合わせて200人以上でやっている。注目すべきは、子供たちの「注意力の改善が報告されましたが、過活動性や衝動性の改善については一貫した結果が得られませんでした。」の部分。注意力については改善したが、衝動性や過活動性は一貫性がないので、皆が減るわけでない。
その理由?は
1.子供事態が、衝動性や過活動性はもともとあると考える。
2.検査の対象の年齢もまちまちなのでは?と考えた。12歳の子供と、7歳の子供では衝動性や過活動性の幅も違うだろうから。7歳の子供の方が我慢が更にできないと考える。
注目すべきは
どの対象にしろ子供の注意力があがったという点。おそらくきちんと聞くことや集中力の改善ができたということで、全年齢に対して一貫性した結果が瞑想にはあるといえる。おそらく瞑想は注意力を高めることにかなり寄与するのではないか?と考えた。



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