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巨星の堕ちる日にー某老舗教育系NPOの不正受給問題によせて

※これは、2021年5月13日付でfacebookに載せた投稿を転載したものです

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8767a00fc990aa20f85108adfc1043fd140cc3f

子ども支援系大手老舗NPOの補助金不正受給の一報から始まる朝。
勤務実態のない本部の職員の人件費を捻出するため、現場で働いていたかのように粉飾したようだ。
理想高き初代理事長引退後、組織劣化は噂されていたもののここまできたか、と嘆息する。


株式会社が参入してきた支援分野は、ことごとく焼け野原になり、あらゆる団体が死に体になってしまう。
他団体の劣化を誘導、促進してしまうから。
株式会社のビジネスがうまくまわり、業界が発展するのは出資者=(直接の)受益者である場合だ。業務委託による民営化は、基本的にサービスを劣化させる。
そして、行政の業務委託のなかでも、対人支援業は相性が悪すぎる。


行政から事業を受託した株式会社は、利益を最大化させるため、仕様書を最スリム化して実現しようとする。もっといえば、サービスは最低限の量と質さえ提供できればよい、となる。
学童保育などで言えば、安全を担保するためにも、利用者に『何もさせない』などは、よくある例である。
行政の受託事業の場合、人件費は最たる『コスト』となり、従業員は質ではなく、頭数を揃えれば良いものとなる。コストたる賃金はその最低限のものとなり、集まる人材も(一部の意識の高い人材=やりがい搾取枠を除いて)低レベル化する。当然、育成や研修にも費用をかけない。


支援は、コミュニケーションコスト、工数という言葉で呼ばれるようになり、それは本来の意味での支援、援助の色彩を失い、『業務』にすぎないものへと変質していく。
質の高い支援を提供しようと、優秀な人材を育て、支援対象に寄り添う時間を十分に確保している団体は、価格競争つまりコスト面で敗北し、受託を取り逃す。
低価格化にあわせて、少ない利益をますます減らし、効率化を推し進めても限界があり、サービスの質を諦めざるを得なくなれば、優秀で意識の高いミッション型人材は退職してしまい、サービスの質も業務効率も落ち、、、の悪循環に陥る。


最近、学童でのいじめについて、指導員の指導力不足で適切な対応がなされない、配慮が必要な児童が十分な対応がなされず、退所せざるを得なくなる、という相談をよくうける。
学童はほとんどが民間委託で、株式会社の参入もある分野である。
そしてすし詰め学童というフレーズもあるように、適正を大きく超える児童が利用しているところも多い。
適正人数かつ、有資格専門職が対応している学校のいじめの指導や合理的配慮でさえ大変なのに、非正規最賃(最低賃金)クラスの人件費で回している学童で適切な対応ができるだろうか。
(もちろん優秀な人材はいるし、ほとんどの学童職員は賃金以上の仕事をしている。基本、対人支援の業界はやりがい搾取である)


さらに、学童内の人間関係トラブルが学校内に持ち込まれて、ますます学校は多忙化する。。。
こういった環境を忌避して、中流上位〜富裕層は、受益者負担の民間学童等を利用する。そして、ますます子どもの環境格差拡大していく。


不正受給の団体を擁護するつもりはないけど、この社会の仕組みは、おのずと次世代の劣化を招くよね。
次世代の育ちまで新自由主義が焼き畑にしていくさまは壮観だ。
まぁでも。それも含めて、行政のあり方は、市民国民の選んだことだから。
民主主義社会は、市民、国民の質がそのままでるからね。嘆息。

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