見出し画像

脚本書いてみました。

主人公「俺は目を覚ました。周囲は無音で、まるでどこか知らない場所に迷い込んでしまったようだった。壁も、床も、天井も見当たらない。ただ、暗闇の中にぽつりと立つ俺自身だけが存在する。何者か、何処にいるのか、全く分からない。ただ、虚無の中で孤独な存在として俺は立っている。俺の意識は、ぼんやりとした霧の中を彷徨い続けていた。ここがどこで、私が何者であるのか、その全てが不透明なままだ。目の前に広がるのは、不気味な静寂に包まれた、不明瞭な空間。壁には奇妙な模様が描かれ、空気は湿っぽく重苦しい。何かがおかしい。この場所全体が、微妙な違和感に満ちていた。

肌に触れる風も、何の匂いも、何の音もない。無音の中に漂うのは、ただひとつの違和感だけだ。それは、どこか違う、異質なものが俺の心に差し込む感覚だった。最初は微細なもので、俺の心に強烈な不快感をもたらすことはなかった。
俺はどこから来たのだろう。ここはなんだ。時計、靴、服装はなんでもない服を着ていた。そもそも俺は誰だ?思い出せない…。

おーい!おーーい!誰か!誰か居ませんか!?誰かー?
俺はどこに居るのかを探し求めるために歩き続けた。誰かーー!何時間も歩いた。いや時計がないため何時間歩いたのかすらわからなかった。

しかし、時間が経つにつれて、その違和感は次第に増幅され、仄かに不快な感覚へと変わっていったんだ。俺は周囲を探し回り、どこからか逃げ出そうとしたが、どこへ行っても同じ空間、同じ暗闇が広がっているだけだった。

はあ…(主人公は座り込む)

俺は母さんは居るのかな?家族は?兄弟は?父さんは…父さん…

ただいま〜!部活終わったよ〜!ウッ!酒くさい部屋の香りで、俺は全てを悟った。父さんだ、父さん今日も寝てるのか?母さんは?ああ…パートか。お腹すいたな
カップ麺は?冷凍食品。あ!豚汁があった!でもこれは夜のおかずだから駄目だ。いつもそうだ。母さんは父さんが育児に参加しないのを不満に思っている。だからわざとご飯を用意しないでパートに行く。父さんを起こすか?

…無理だ父さんを起こすと母さんがぼこぼこにされる
絶対起こさないようにしよう。
あ!やめてくれ!父さんやめて!母さんを殴らないで!(殴られる)暴力はやめろよ!(腹を蹴られる)うぐぅ!

真っ暗闇な深い海の底から、ふと顔を上げる 空なんて見えない。見えるのは不気味に揺らぐ水面だけ もう星が何かも忘れてしまった 今夜はもう眠ろう 深い深い眠りにつこう いつか朝が来て俺をすくい上げてくる そんな願いをかすかに抱いて

今度は箸の持ち方のことで殴られた。お願い暴力はやめて!…このやろう!!

ん!俺は風呂場に連れて行かれる。そこには水が溜まっていたままだった。んん!おぶっ!(お風呂に沈められる)

思い出せない過去。俺の心は、静かに過去を辿り始めた。幼い頃の記憶が、霧の中からゆっくりと浮かび上がってくる。それは、極めて悲惨な過去の一部だった。俺は、親からの無慈悲な虐待を受けていた。彼らの手によって、俺の小さな体と心は、何度も無残に傷つけられた。その記憶は、深い悲しみと絶望で彩られていた。

俺は誰にも愛されて居ない、誰からも必要されていない。なんで生きてるのかわからない。自分が何者かわからない。なんでこんな辛いのになんで生きてなければいけないのかわからない。

はあはあはあ。俺はなんなんだ。何でこんなことされるんだ、俺は…自分が何者なんだ、どこにいるのかが不明瞭で、不安に押しつぶされそうになった。俺は誰だ!!

孤独の中で、何度も叫びたい衝動に駆られたが、声を上げることはできなかった!…俺の叫び静寂の中でだけが響く。

この場所が現実ではないことに気づき始めると、俺は現実に戻りたくないと感じた。この空想の世界は、過酷な現実からの逃避場所だった。安全で、平和なこの空間に留まりたいという願望が、俺の心を支配していた。

(主人公はうづくまり、やがて主人公は立ち尽くし、項垂れる)

その時、確かに頭の右側が「ガン」と揺れた。
母さんの心配する表情がスローで流れる。と同時に、まるでぐちゃぐちゃに混ざったペンキぐらい怒りで歪んだ父の顔が、溶けた鉛の様に俺の頭に流れ込む。俺はその場に倒れ込む。

こんな最後になるならば皆んなに俺の気持ち言えば良かったな

皆んな…?

おはようございます!今日新しく入った須藤です。よろしくお願いします。

最初は発生練習からか。よし頑張るぞ!あえいうえおあお!

(柔軟や声出しを楽しむ風景)

皆んな同期が辞めたんですか?…俺が部長をやります。みんなをまとめます。…主人公をですか?

はい!やります!
(セリフまわしを言葉に出し、劇の練習をする主人公)
それは違う!いや…ここはもう少しトーンを上げて?それは違う!いや…違うな。

この役はガサツな中に繊細な部分が見え隠れしていて、でも誰にも見られたくないから隠してしまう、でも全て出ててとても滑稽な役だ。俺みたいだ。いや俺とは違う…。慎重に考えないと…。

それは違う…!

俺は虐待により緘黙になり言葉が発せなかった。でもセリフなら言うことができる。

現実には別の俺がいる。舞台の上の俺は、違う。そこでは、俺は自由になれる。役になりきることで、俺は自分を見つけることができる。

しかし、俺は過去の傷跡から逃れることはできなかった。

俺は1人舞台で都大会から関東大会まで進んだ。
(ポケットを探る)スマホ?おかしい…いままでなかったはずだ。…後輩からだ。先輩へ関東大会絶対に優勝しましょうね!皆んな先輩の味方です。

先輩へこないだは部内で喧嘩していてすみません。相談に乗ってくれてありがとうございました。

先輩がんばろーーーね!うわタメ語かよ!あはは!

そうだ。皆んなが居る。演劇は俺に新たな世界を見せてくれた。舞台上では、私は過去の痛みから解放される。そこでは、俺は真の自分を表現できるんだ。

もう逃げない。俺はこの虚無から抜け出し、俺の居場所へ戻る。俺の舞台が、俺を待っている。俺は、俺の人生を生きるんだ。

(歩き始める)俺は、みんなが「同じもの」だとスルーしてしまうものの中にこそ情感を感じたいのです。 これが俺の願いです。まだその願いを形にできていませんが、この情感の中に心の豊かさがあると信じているからです。

俺は目を覚ました。

舞台の光に照らされた俺の周りには、仲間たちが笑顔で彼を迎えていた。演劇の舞台は、俺にとっての安全な場所であり、愛情と支えがあった場所だった。仲間たちとの共演、観客からの拍手、その瞬間の喜びが、俺の心に新たな力を与えていた。

人生は一つの舞台だ。辛くてもそれでも幕が開く。だったら喜劇にしていこう、」(幕があいた

(主人公は主役を演じる。音楽が流れる幕がしまる。暗転。)

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?