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【相談事業】“ minha princesa ” わたしのプリンセス

日本語を教えてほしい子がいる。と
学習支援教室に問い合わせがきたのがエレナとの出会いでした。

中学1年生のエレナはブラジルから来ました。
母と日系ブラジル人の継父と初めての来日でした。エレナもお母さんも日本語が全くできませんでした。

学年にたった1人のブラジル人でしたが明るく真面目なエレナはどんどん日本語が上手になりました。
年下の子の面倒見もよく、誰とでもコミュニケーションをたくさんとっていました。

あるときエレナとの勉強中、彼女の計算ドリルになにか書かれているのに気付きました。
「これ何?」と聞くと、少し照れながら「お母さんが書いたメッセージ」と教えてくれました。

“ minha princesa ” わたしのプリンセス
“Eu sempre estarei so stu lado ”いつもあなたのそばにいるよ


ドリルには1枚1枚、お母さんからの小さなメッセージが書かれていました。
日本語が分からないから子どもの学習に関わらない。ではない、
エレナを支えたいというお母さんの思いがひしひしと伝わりました。


言語の壁は子どもの勉強の前に大きく立ちはだかります

しかし、来日から2年経ったある日
「先生、わたしブラジルに帰ります。」と言われました。
あまりに急な帰国でした。
日本語でやっと教科書が読めるようになったところでした。

学習支援教室での最後の日。お母さんが挨拶に来てくれました。
支援者のなかにポルトガル語ができる方がいて、お母さんのことばを通訳してくださいました。
「エレナのために本当にありがとう。支えてくれて感謝します」と、
お母さんは涙を流し去っていきました。


保護者に少しでも寄り添えるよう相談事業を続けています

お母さんにも話し相手が必要だったのではないか。

帰国の事情は、異国での生活の中で夫婦のすれ違いが増え関係を見直すためとのことでした。

工場での仕事の毎日で日本語を勉強する時間もなく、
ことばや文化の壁により日本社会から孤立していたのではないか。
かわいい娘のことや生活のことを気軽に話せる相手がいなかったのではないか。

お母さんにもう少し声掛けをしていたら、
もしかしたらブラジルに帰国するタイミングがこんなに急にならなかったのではないか。

子どもの学習を支援するためには拠点は重要です。
ましてや外国にルーツを持つ子どもたちは言語を超えた移動のなかで学習を続けなければなりません。
子どもたちにその拠点となる場所を決める権利はほとんどなく、保護者の事情により移動を余儀なくされます。

家事のほとんどを担っていた小学4年生の子 のときと同様に、
子どもたちの置かれている不安定さを目の当たりにし、自分たちにできることはないかを模索するきっかけのひとつとなりました。

※プライバシー保護のため、国籍、年齢、性別など一部内容を変更して記載しております。また、写真はイメージとなります。


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