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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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#Tシャツ

このキャンバスは真っ白でいいのに

このキャンバスは真っ白でいいのに

ロンTは白い
なんでか
白ばかりだ
白以外の色だってあるはずなのに
気づけばいつも
白くて
そして
汚してしまうんだ
誤魔化せない
キャンバス
染めるつもりもなくて
ただ 
ただ
汚れてしまった哀しみを
自責の念とともに
昇華する
いっそのことまみれてしまった 
ほうが気は楽だ
汚れちまつた悲しみに
案外
中原中也は
白Tにカレーの染みとかつけてしまったのかもしれない

着回す回し者

着回す回し者

まわしものではありません
がきまわしものではあります
なにせ走っているもので
雨に濡れてしまったら
着替えるでしょう
風邪をひくよって
汗で濡れてしまっても
着替えたほうがいいと思うの
それを繰り返し繰り返し
走る
汗をかく
着替える
走る
汗をかく
着替える
脱ぐ
着る
走る
脱ぐ
着る
走る
あぁ
Tシャツを着るってことは
いつ
どこで
何に
着替えるかって
表現することだ