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バイクで事故ったのに、また乗りたい?!

こんにちは。wamです!
理学療法士として働きながら、障害者の余暇活動について
発信しています。

今回は、
障害があってもバイクにまた乗れる?!
そんな驚きの取り組みをご紹介します。

圧倒的に多い、バイク事故後の重症者

私の勤めている病院には、バイク事故後のリハビリの方が
割と多く来ます。
理由は自損事故、相手方のある事故等さまざまですが
リハビリに来る大抵の方はかなりの大怪我です。

車の交通事故の方と比べると、重症度が高いです。
なんてったって身一つですから!
車事故の約10倍の重症者数と言われています。

頭部を損傷する方もいれば、全身がボキボキに折れている方も、、、
まさに、死ぬか生きるかの瀬戸際から
一命を取り留めた様な人ばかり。

友人の原付くらいしか乗ったことのない私は、

「バイクで事故ったんだし、バイク見たくもないですよね」

とごく当たり前のように思っていました。
だって、極度の恐怖体験を得るとフラッシュバックや
PTSD(心的外傷後ストレス障害)なんかが起こると言われていますし…

ですが、バイク事故後のリハビリで入院した患者さんに
言われたひとこと
「また、バイク乗れますかね?」

「…え?乗りたいんですか??」

正直、何言ってんのこの人、状態でしたが
これが一人二人の発言ではなかったんです。

車の事故やそのほかの乗り物の事故では、
「もうあんなの乗らない」「別の手段を考える」
というかたがほとんどでしたが

バイクの事故の方は、自分が怪我しようが
大変な目に遭おうが、やっぱりバイクがいいみたいなんです。
(私調べ)

バイクが好きな方って、ほんとにバイクじゃなきゃだめなんだな
と思わされる出来事でした。

もちろん、理学療法士として
バイクにまた乗るためのお手伝いはできる限りやらせていただきました。

骨折によって固まってしまった関節を、
バイクに跨がれる角度まで曲げ伸ばしできるようにしたり
ハンドルのアクセルを回せるよう手首の動きを出したり
など、日常生活に必要なリハビリ+αで特訓したりしました。

やっぱりバイクにまた乗るのは難しい?

バイクに乗るためには、
正常な状況判断能力、座りながらバランスをとる能力と
操作を可能にする手と足が必要であると言えます。

単純な骨折だけであれば、年齢にもよりますが
ある程度の回復の見込みがあると言えます。
またバイクに乗れる可能性も、もちろんあります。

しかし、骨折だけでなく脳や神経まで損傷していた場合
私の中ではかなり厳しいという感覚でした。

脳や神経が損傷している場合は、脳からの指令が
発せられなかったり伝達できなかったりして
体に麻痺が生じ思うように体が動かせなくなる場合があります。

さらに脳が損傷している場合は、状況判断や注意力の低下が
疑われたりして、そもそも免許の再交付が厳しい場合もあります。

現在の医療では、脳や神経の損傷は、程度にもよりますが
完全に元に戻るという事はほぼありません。

体が思うように動かなくなってからある一定期間たつと
その回復も思うように伸びないとも言われています。

そんな医学背景のなか、私は
「また乗れるようになるまで頑張りましょう!」
とは口が裂けても言えませんでした。

私自身、患者さんがバイクに乗ることを諦めていた節がありました。

車椅子なのにバイクに乗れたの?!

あるとき車椅子の知人から衝撃な事を聞かされました。

「バイクに乗せてくれるイベントがあって、俺乗ってきたんだよね」

え、どういうこと?!

その方は脊髄損傷という障害を持っていて、下半身不随であり
車椅子に乗りながら自立して生活をしています。
そして受傷理由はバイク事故でした。

下半身不随のため、腰から下は思うように動かず、
体幹も腹筋が多少効く程度のため、
バイクに乗ってバランスをとるなんて想像もできませんでした。

脚や腰を車体に固定して乗ることや、
本来は足元で操作するクラッチを手で操作できるように
加工したバイクであることを教えてくれました。

スピードに乗ってしまえば、体は自然と車体に張り付くようになるため、
あとは重心移動だけでカーブは行え、意外と走れるものなのだそう。

乗った時のスピード感や満足感はとんでもないものだったようで
いきいきと話してくれました。

その話をしてくれた知人が大のバイク好きであったことや
今まで担当してきた「バイクにまた乗りたい」
と言っていた患者さんたちが脳裏に浮かび
「バイクに乗れる」という事実が、自分事の様に嬉しくなりました。

SSPという団体

その噂のイベントというのは
サイドスタンドプロジェクト(SSP)という一般社団法人が主催しているもので
発起人はバイク事故によって車椅子生活になった元プロライダーである
青木拓磨選手のご兄弟である宣篤さんと治親さん。

拓磨元選手をまたバイクに乗せたいという思いで立ち上げ、
今は同じような境遇の方を支援するために活動しているそう。

イベントでは、公道はもちろんダメなので
サーキットや有料道路を貸し切ってやっているとのこと。

一度乗っていた経験があるとはいえ、
障害を負ってからの自身の身体感覚は依然と全く
別のものになっているため、
安全のために最初は補助輪のようなものを付けて
バランス感覚を習得するなど、時間をかけて
その人に合ったギアとペースで挑戦させてくれるそう。

中には、視覚障害を持つ方も参加していて
並走する車から遠隔で操作支持を受け運転するのだとか。

必要な経費はほぼ協賛で集め
当日一人のライダーの夢を叶えるために大勢のスタッフが
総出でサポートするとのこと。

ここでもバイク好きの愛や熱がずんずん伝わります。

ある意味明日は我が身というか、ある程度のリスクと引き換えに
解放感や速度感を楽しんでいる方々なので、
障害を負ってもまた乗りたい!という同志に対する
敬愛や賛助の念が強いのかなあと思ったり。

私自身も初めて話を聞いたときは
「いやいや、そんなことできる?!」と思いましたし
世の中の常識がそうだったと思います。

ですが、このSSPさんは現実にしている!!
そして可能にしているのは、青木兄弟をはじめ
賛同してボランティアで動いている方々、
そして資金提供している企業の方々。

あらためてすごい事だと思います。

聞いた話だけで記事を書いてしまい申し訳ない気持ちもありますが、
もっと多くの方にこの活動を知っていただきたく書きました。
(謎の義務感)

そして私自身も、都合をつけて
絶対ボランティアで参加したいと思います。
全然バイク詳しくないけど!

私の運営するハンディキャッパーのためのアクティビティ検索サイト「want to do!」では、
障害を持つ人が気軽にアクティビティを知ってチャレンジできるよう
様々な掲載情報を募集しています!
面白い情報や、楽しそうな事をぜひ教えてください♪

では、また!
wam


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