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濃度とタイプの掛け算

香水に性別はない、自由だけれど責任を伴う、だからこそヴィジョンやブランディングなど自分の意思をサポートするために香りを使ってほしい。

選び方の基本として知っておきたいのは濃度による種類とタイプによる種類。

まず濃度。ここで言う香水とはざっくり香料とアルコール(一部蒸留水)でできているもの。その香料濃度により基本4つの種類に分けられる。

パルファン―parfum extrait (15~25%) 

オーデパルファン/パルファンドトワレ―eau de parfum/parfum de toilette(8~15%)

オードトワレ―eau de toilette(4~8%)

オーデコロンeau de cologne (2~5%)

香料濃度が高いということは単純に持続時間も長いわけで、パルファンでは半日から一日以上香りが持続するものもある。以下、オーデパルファン/パルファンドトワレは4~5時間、オートトワレは3~4時間、オーデコロンは1~2時間が目安。

もうひとつ、匂いの種類、性格というかタイプは、草食からマッチョ実にいろいろ。薔薇とかレモンとか使う香料のキャラは「ノート」「香調」という言い方で、その組み合わせから生まれる香水という作品のキャラは「タイプ」という言い方をする。

お料理で言えばビーフシチューもビーフカレーも牛肉という材料(香料)を使いお肉の味(ノート)を楽しむけれど、味の決め手になるのがデミグラスソースなのかターメリックなのか、で料理(タイプ)が変わる、ということ。

ノートのうちシトラス(柑橘系)、フローラル(花々)、グリーン(草や葉)、ウッディ(樹木)、フルーティ(果物)、ハーバル(ハーブ系、ミントなども含む)、モッシー(コケ)、バルサミック(樹脂系)、アニマリック(動物性)、タバック(葉巻煙草)、レザー(皮革)などは自然界や生活の営みに源流やヒントを得たものたち。それとは別にケミカルの恩恵として、シャネルNO.5の主香となったアルデハイドとマリンノートの核となるカロンがあり、これらは化学合成香料で各々20世紀の初頭と終盤に開発された。マリンノートはマーケットに出始めた80年代終わり~90年代初頭にかけてはオゾンノートなどとも呼ばれていた。

昨今はその香水のプロフィールとしてトップノートにシトラス、ミドルノートにバラ、ラストノートにバニラとか、構成がわかるようになっているものも多いので、イメージが付きやすいかもしれない。(店頭やwebでもインフォがある。)

クラシカルな伝統的香水は、それがどのようなノートで構成されるにしろ、結果として最も特徴高いところをタイプとしていた。山場はどこか、主演は誰か、のようなことを〇〇タイプとしていた。ノートの掛け合わせでもあるので、フローラルグリーンタイプ、シトラスウッディタイプなどにもなってタイプは無限になってくる。なってくるけれど、基本はある。

シトラス、フローラルタイプ、グリーンタイプ、ウッディタイプ、アルデハイドタイプ、マリンタイプなどは上述のノートの通りでわかりやすいと思う。

他に、シプレータイプ(モッシーノートをメインにしたもの)、フゼアタイプ(モッシーノートにラベンダー等の組み合わせが定番)、オリエンタルタイプ(アニマリックノートがメイン)などがある。

嗜好性の著しい嗅覚領域の話なので一概に言えないけれど、世間一般でもなんとか共通認識で理解されるとしたら、

シトラスノートはフレッシュ、グリーンは清々しく若々しい、ウッディは落ち着き、シプレーには深み、オリエンタルには大人のセクシーさ、フゼアはメンズフレグランスの総代表のようなタイプなので、一見で「あ、メンズフレグランス」とわかる。フローラルは幅広いので、優しいものから、甘く官能的なものまでいろいろ。

香水を選ぶということは単純に濃度とタイプ(もしくはノート)の掛け合わせなのだけれど、それさえも、かなりの選択肢だ。だから、ベスト1をいきなり探し当てようとするのではなく、ここに記したタイプをベースに数種のタイプの使い分けから、本当はスタートしてほしい。洋服に季節やTPOがあるように香水にも適期とTPOがあるからだ。夏のファー使いみたいな裏切りの演出もあるけれど、そのためには「そもそも」の基本を知っておきたい。それで、濃度とキャラの種類に触れたけれど、こんなに長く書いて、実は、選ぶうえで最も大事なことを、次回書きます。次回にするのは、必ず読んでほしいから。


 


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