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スイス[19] 欧州の鉄道(8)遅れに遅れるICE(上)

202203031215スイス[19] 欧州の鉄道(8)遅れに遅れるICE(上)

 SBB(スイス連邦鉄道)は隣国ドイツやイタリアとの間に直通列車を運行しています。フランスとの間もTGVが走っていますね。SBBのウェブサイト(*1)やスマートフォンのアプリではスイス国内まで乗り入れている国際列車の時刻表や路線を探すことが出来ます(実際に役に立つかどうかはともかくSBBのアプリは日本でもインストールが出来ます)。
 それらでSBBの列車案内を見ていると『この列車は経験的に10分くらいは遅れる可能性がある』みたいな注釈が出ることがあります。でその手の列車は大抵イタリアからの列車です(*2)。ドイツからの列車(ICE)も遅れることはあるようですがイタリアからの列車は(私が見たときは)頻度が高かったように思います。お国柄なのでしょうか,私が実際に乗った時もミラノ中央駅からスイス・ルガーノ(Lugano)方面への直通列車は大抵少し遅れて運行していたように覚えています(*3)。

 そのイタリアやドイツに比べて,スイス国内の鉄道は本当に信頼出来ると思います(*4)。実はスイス旅行中に1,2回はアクシデント(事故というより故障)で列車を乗り換えざるを得なかった,という経験もありますが総じて安全で快適でした。何よりpunctual(パンクチュアル,この場合は,列車が時刻に対して正確に運行される)です。日本ほど(?)かどうかはともかく他の欧州諸国とは比べられないくらい正確です。
 日本ではなぜこれほどまで列車運行が正確なのかについては原武史先生(放送大学教授ですが私は面識はありません)のご著書を読めば何かヒントが得られるかも知れません。しかし理由はともかく鉄道の時刻正確性に関しては日本が世界一,スイスは世界二位だと思います(*5)。またゴッタルト基底トンネルなどの鉄道路線構築技術はスイスは世界一かも知れません。

 日本の新幹線はそもそも(一部の例外を除けば)専用軌道だけを走り在来線と独立した運行系統を持っています。それが強みでもあり,弱みでもあると思います。実際,新幹線が出来たのはいいけれどでは並行在来線はどうするの? という切実な問題があります。また,日本は自動車の道路には政府から補助金を出すのにどう言うわけか鉄道にはお金を出し渋ります。公共性はどちらにもあるのに…
 日本の新幹線技術(鉄道技術)は優れていると思いますが世界的なスタンダード(基準,標準)かどうかは私にはわかりません。ガラパゴスだと揶揄するつもりはありませんが。

 あ,「遅れに遅れるICE」の本題とずれてしまいました。次回に持ち越します。

(スイス[20] 欧州の鉄道(9)遅れに遅れるICE(下)に続く)


(*1)sbb.ch で検索してみて下さい。

(*2)私が乗ったのはずいぶん前ですし,これは単に私の経験上のことですのでこれを持ってしてイタリアの鉄道全てを悪く言ってはいけません。

(*3)私が乗った時に比べて今は運行経路が変わっている可能性があります。

(*4)ドイツもイタリアも悪いというつもりはないです。いつも書くように国の良し悪しを言う時には慎重になるべきです。

(*5)例によって根拠がなく経験上ですので学術的ではありません。念のため。

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