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ヨーロッパの多言語国家

202208071427Bruxelles 「ヨーロッパの多言語国家」

 以前,ブリュッセル(ベルギーの首都)に行ったことがあります。単に飛行機の乗り換えのためだけの滞在でしたが中二日くらいホテルに宿泊して少しブリュッセル市内を散策しました。
 さて,その帰りつまりブリュッセルを立つ日のことです。私は大失敗をしてしまいました。大失敗といってもパスポートを失くしたとかというほどのことではないのですがそれでも失敗には変わりはありません。

 その日,私はブリュッセル中央駅から空港駅に向かう列車に乗ったのですが,その時,列車内で隣の席に座った初老のご夫婦(と思われる男女)が地元の人に見えたので,つい
「Bonjour」
と挨拶をしてしまいました。ここまで読んでわかる人はわかる話でここでお仕舞いにしても良いのですが…
 その夫婦の特に男性が少し怖い顔をしてこちらをにらんでいます。(あれ? 何か失礼なこと言っちゃったかな?)と思って更に
「Vous êtes francophone?」[文法的には間違っているかも知れません]
と聞いてしまいました。ダメ押し的にまずかった…
 そう,彼らはフランス語話者ではなくてフラマン語(オランダ語)話者だったのです。

 日本国も民族は日本人ばかりではないので日本語だけが使われている訳ではないですが,それでも日本語話者が圧倒的に多いことは事実です。歴史的には北海道のアイヌの人たちと南の八重山の人たちなど少数の固有言語はあるそうですが,現状では日本では(ほぼ)日本語しか使われていないといえるでしょう。ちょっと乱暴な書き方ですみません。
 しかし他所の国では一つの国に複数言語がある国もあります。スイスのように元々の中心となった国(州)はドイツ語圏でもその後フランス語圏やイタリア語圏の地域がくっ付いてきて多言語国家になったり,戦争などでその地域の支配者が代わり言語が複雑になって結果[国=言語]が1対1になっていなかったりします。国が地続きだからでしょうか。ヨーロッパと比較するのはそもそも間違いかも知れませんが日本が世界的にも特殊だと思った方がいいのかも知れません。もちろんフランスではフランス語を話すという必要性が法律(憲法だったかな?)で明記されている国もあるようですから単純には言えませんが。
 ちなみに隣の中国でも方言というより言葉が違うのではないかというくらいの言語の地域差があると聞きます。以前ある中国人に聞いた時には40くらいの方言があるのでは,ということでした。香港で使われる広東語と北京で使われる北京語は(両方の教育を受けていないのであれば)相互には理解しづらいそうです。

 アジアの事情はよくわからないのですが,ベルギーの2つの言語(フランス語とフラマン語)の言語間対立は相当に深刻なようです。母語を大切に思うことはなんとか理解したいと思うのですが第二言語として他方を理解することについては難しい事情があるのでしょう。
 列車内で2,3分きまずい思いをした私でしたがその後,ご夫婦には私の失礼を詫びて空港駅までの間,英語で楽しくお話しすることが出来ました。

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