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クリエイターの話Vol.1 select gallery & bar “baku”

更なる出会いとそこから生まれる面白さ。
カブ・デザインが手掛ける足立道具店のものづくりは、自社だけにとどまらず、クリエイターを巻き込みながら「かっこいい足立」を発信し、また新たに繋がるためという想いがある。
「クリエイターの話」第一回目は、足立道具店のプロモーション動画を作成したselect gallery & bar “baku”さん(以下baku)を取材した。

select gallery & bar “baku”

北千住駅 中央改札口 東口より徒歩5分の路地裏にひっそりと佇むセレクトギャラリー&バー。
BAR・KISSA・SELECT SHOP・STUDIO 4つの事業を軸に、「 物と人が出会い、人と人が繋がる」をコンセプトに、日本人の生み出す「ものづくりの魅力」をジャンルに縛られることなく伝えている。

bakuさんと足立道具店さんの出会いはいつからなんでしょうか?

baku店主:田代さん

足立道具店店長:市橋さん(以下 市橋)「以前からBARに僕も齋藤(カブ・デザイン代表)も個人的にお邪魔させてもらっていて。いつかここで展開したいという想いはあったんです。その機会を伺っていたところ、bakuさんと僕らの共通の知り合いを介して、繋げてもらって。」

baku店主:田代さん(以下 田代)「実は僕もずっと足立道具店のプロダクトは気になっていたんですよね。両想いだったのに、お互い様子を伺っていたと後からわかりました。(笑)僕らは足立区で店をやりながら足立区との接点があまりなかったのが気になっていて。その接点を増やしたいという想いもあったんです。」

店舗の什器としても足立道具店のプロダクトが使われている。

取扱いがスタートしてから、両者の関係性はよりスピーディーにさまざまなことへ発展していく。
市橋「足立道具店としてさまざまな展示会に出展しているのですが、その度にもっと伝えられる方法がないかと思っていたんです。僕がいればたくさん説明はできるけど、そうじゃなくても伝えられる方法があるよな、と思っていた時にbakuさんがSTUDIO部門を本格的に始動するという事を聞いて。これは何かのご縁だなと思い、足立道具店のブランドを伝える動画制作をお願いしました。」

田代さんは元々カメラマンでもあるんですよね?STUDIO部門の立ち上げは何かきっかけがあったのでしょうか?

田代「店のコンセプトでもある、日本のものづくりの魅力を伝えるために、販売や提供をしてきたけれど、違った形の人との繋がり方、モノの伝え方があるんじゃないかなと思ったんです。自分でも撮影はできるけれど、自分一人でやるには限界があると思って。
同じ方向を向いてできるカメラマンやクリエイターと一緒にやることで、自分にはない感覚を落とし込みながら表現ができるのではないかなと思ったんです。」

田代「当初からやる予定はあったのですが、コロナになってしまって。ようやく落ち着いてきたこともあり、インスタグラムやオンラインショップの撮影チームとして今井くんを迎え入れて、より力をいれていくきっかけになりました。」

とてもストーリーのある動画ですよね。モノがお客さんに渡るまで、色々な人の想いが重なっているんだなと感じます。

田代「構成は動画のプロである今井くんに中心になってやってもらったんです。僕は色付けをするような感じ。職人さんもとても親切に作り方などを教えてくださって、ものづくりへの熱意が本当に伝わってきた。だからこそ、こちらもいいものをつくらなきゃって真剣に思えました。」

今井さん(以下今井)「プレッシャーはありましたね。(笑)当初はもっとシンプルなかっこ良さを前面にだした動画を予定していたんです。でも実際に工場に行って、職人さんの仕事姿を拝見して、想いに触れたことで、ストーリーを作ったほうがいいと感じました。」

田代「今まで、今井くんのつくるものはもっとキレイで先端的なおしゃれな感じだったよね(笑)。足立区らしい、人のあたたかさや想いが見えるかたちにしてはどうだろうということは伝えて。」

今井「写真や動画を撮っているとそのモノ自体の良さしか見ていないことが多いけれど、この地域性だからこのプロダクトが作れるんだとか、色々なことに気が付きましたね。編集の段階でも沢山試行錯誤しました。」

市橋「結果的に、足立道具店のプロダクトだけではなく、工場や足立区の良さというのを盛り込んだ動画になりましたよね」

今井「デザイナーの市橋さんもこのプロダクトが生まれるために想いを込めた人の一人だよなって気が付いて、途中から市橋さんの視点をいれて。つくりながら足立区への理解度が深まっていくのを感じました。動画ができた段階でようやく、なるほど。と腑に落ちたんです。」

市橋「bakuさんと動画のやりとりだけで28テイクくらいありましたもんね。(笑)」

特に印象に残ったシーンなどはありましたか?

今井「僕は、職人さんの真剣なまなざしがやっぱり好きです。カメラを意識しない、ありのままの表情がかっこいいですね。」

田代「僕は、「想い」をどうしても見てしまうので、足立道具店の刻印が製品に押される瞬間がとても好きです。モノに想いが込められる瞬間というのを感じます。」

市橋「確かに!刻印もなくてはならないこだわりのひとつなので、嬉しいですね。」

動画が完成した時には、bakuさんで公開イベントをやっていましたよね。

市橋「この動画に関わってくれた人や、足立区の仲間を呼んで動画の上映会をしました。上映している間、思わず涙しましたよね(笑)。暗かったおかげで涙はばれませんでしたが(笑)」

市橋「協力してくださった工場さんとも、より関係が深くなったと思います。工場さんもこの動画を使って、こんなのやってるよ、って伝えられるツールになったと思いますし、この動画をきっかけに、他の足立の工場さんともより繋がりやすくなるかなと思って。」

今井「撮影させていただいた工場の職人さんたちも一緒に見てくれて、上映後の顔をみてホッとしました…!」

田代「上映会ではそこに集まってくださったみなさんの表情から、改めてカブ・デザインさんの人柄の良さや、人やモノに対する想いが伝わってきて。それがあるからこその「繋がりの動画」だな。と思いました。僕らも足立区のクリエイターとして関われた事が、とても嬉しいです。」

この共同制作がきっかけで、他にも様々な取り組みがあったとお伺いしました。

田代「コロナで色々とやろうと思っていたことがとまってしまって。ずっとやってきたBARに加えて、KISSAをオープンするにあたり1Fをリニューアルしたのですが(2023年9月現在、KISSAは休業中)、壁面には市橋さんにイラストや、似顔絵などを描いていただきました。」

市橋「重役を担ってしまって、、、めちゃくちゃ練習しましたよ!一日かけて、完成させました。その様子などもインスタグラムに上げてくれていましたよね」

お互いできるスキルを持ち寄って、助け合っているような感じが足立区らしい関係性でとても素敵です。


「足立道具店として、発信し続けることで、かっこいい足立区のものづくりを広めると共に、何か作りたいと思っているクリエイターの想いを実現させるためのハブ(HUB)のような存在になれたら。それが、私たちデザイン事務所がやっている意義なんだと思います。」
というカブ・デザインさんの言葉が印象に残っている。

これから出会う、またはすでに会っているかもしれないクリエイターとの繋がりによって、どのような物語が生まれるのか、これからも目が離せない。

きさらちさと


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