見出し画像

「自然」という言葉の意味2

「自然」は平安時代の終わりのころから戦国時代までの所謂、中世、には非常に独特の用法をもっていたそうです。つまりこの「自然」が「もし万が一、もしも、不慮のこと」を意味していたというのです。

「自然(しぜん)の事もあらば」は、「もし万が一の事がしょうじたならば」という意味に当時はしきりに使われたのだそうです。

乱世であった中世では戦う者としての武士は、死ぬのがむしろ当たり前で生きていることの方が反って、例外、偶然というふうに自覚していたのかもしれません。「死の方がむしろ自ずから(おのずから)然り(しかり)となった」、死の方がむしろ当たり前でおのずからそうなった、というわけです。

しかし、この用法は、必ずしも軍記物だけに限って使われたわけではなくて、「万が一のこと」といっても、いつも不慮の戦死を意味したわけではなさそうです。人の力や思いで左右できない事態を表しているように思われます。

自然「自ずから(おのずから)然り(しかり)」の中世における1つのバリエーションだったのでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?