新任マネに伝えたい、スタートアップのマネージャーを20年してわかったこと
おかげさまで本日で人生47年生を迎え、気づけば人生の半分を働いてきたような年齢になり、またその多くを営業マネージャーとして過ごしてきました。さて突然ですが、皆さんは会社や仕事における「優秀なマネージャー」と聞いてどんな人であるべきとイメージするでしょうか?
多くの人が映画やドラマの影響もあると思いますが、メンバーを率いる「カリスマリーダー」や「RPGの勇者」のような何でもできる人をイメージをされる方も多いのではないでしょうか。
私は2002年から20年間以上、3社にわたってスタートアップでマネージャーを務めてきて感じているのは「巷で想像される良きマネージャー像」と自分の実体験からくる「うまくいくマネージャー像」が少し乖離してるということです。
私はマネージャーになったばかりの人には「マネージャーは、リーダーでも、エースでも、勇者でもないよ」というアドバイスをまず最初にお伝えするようにしています。
そこで今回は、皆さんの「目指すべきマネージャー像」の新たな選択肢のひとつとして、私が20年のマネージャー経験を経て感じている「私なりのマネージャー像」を加わえてもらえれば嬉しいかなと思い、恥ずかしい過去の失敗談も含め、シェアしたいと思います。
※前提として、あくまで私が個人的な経験を経て思うマネージャー像であり、マネジメントの正解は一つではありません。顧客や文化が違えば、最適なマネ像も変わると思います。したがって、今回ご紹介するタイプ以外のマネジメント手法を否定したい意図は全くありませんので、その点は考慮いただいた上で、読んでくださるとうれしいです。
▼<巷のマネージャー像>
▼<私が思うマネージャー像>
マネージャーを直訳すると「何とかする人」
皆さんは「マネジメント」という言葉を直訳すると「何とかする」という意味があることをご存知でしょうか。
以前の上司から「マネジメントは直訳すると "何とかする" なんだから、マネージャーは "何とかする人" なんだよ」と教わって妙にしっくりしたことを覚えています。
というのも、「管理職」と呼ばれたり、「管理をすることが仕事」と言われたりすることにかなり違和感があったからです。(個人的には「"管理職" という日本語訳はマネージャー=管理をすることが目的の職種」とミスリードさせる誤訳だと思っています)
長いこと、いわゆるスタートアップ&ベンチャーのマネージャーをやってきて振り返ってみると、まさにチームのパフォーマンスを向上させるために、あらゆることをして「何とかし続けてきた」道でした。
マネージャーは、チームのパフォーマンス向上のためになんとかする人(最適な手段を講じ続ける人)なのです。
チームのパフォーマンス向上のため「何とかしてきたこと」
チームのパフォーマンスのために私が今まで「何とかしてきたこと」としては、
メンバーが気持ちよく働くための環境・制度・ルール・文化づくり、クレーム対応や問題解決、武器としての商品企画や提案書の整備、現状を把握するための記録/集計及び分析、それを元にした戦略・戦術を練ったり、
はたまた頼れる仲間集めからはじまり、適材適所になるよう個々の強みを生かすための目標設定やメンバー配置や評価をしたり・・・
また、メンバーの経費や勤怠、タスクなどの管理業務や承認業務もしていますが、やはり、あくまでそれらも、「何とかすること」のひとつだったりします。
また私の今までのキャリアは主に「営業マネージャー」「セールスマネージャー」でしたので、すっかり今では「セールスイネーブルメント」や「セールスops」「営業企画」、さらに「人事」などに分業されているような業務もマネとしてたくさんやってきました。
それら業務を本当にすべてをマネージャーがやるべきかは置いておいて、本当に我ながらチームを何とかするためにあれこれしてきたなーと思います。その中で効果的だった施策は下記のツイートにまとめられたものです。
役割は「部活のマネージャー」や「RPGの僧侶」に近い
これらの業務はどちらかと言うと、チームにおけるエースや4番というより、ボール磨きやスコアやトレーニング管理する「部活マネージャー」に近い存在だったり、RPGで言うとパーティ(仲間・チーム)における「先頭を切って率いる勇者や戦士」ではなく、「チームを後方支援する僧侶」というイメージなのです。
※RPGゲームをやらない人のために説明すると、剣も魔法も駆使して活躍する主人公・リーダー的な役割である「勇者」ではなく、「僧侶」は魔法を使って仲間を回復したり、仲間の攻撃力・守備力・素早さをあげたり、行手を阻む毒沼などの障害物を無効化(あ、これは魔法使いか)する役割なのです。
※RPGにおける職業(役割)を日本に定着させた金字塔ゲーム「ドラクエ3」
時には「リーダー」や「エース」を代行することもあるが・・・
一方で「チームの立ち上げ期」や、長いことやってると「必要なリーダーやエースが不在なのにチームがピンチ」なんて時もあります。そんな時でも、マネージャーは何とかしなくてはなりませんので、時にはマネージャーがリーダーやエースの役割を代行して勤める時もあります。
ただし、代行は必ずしも必要ではないかもしれませんし、ずっとマネージャーがリーダーやエースであり続けることはチームにとっては良くない影響もあると思っています。(マネージャー像が変わった話①参照)
メンバーを活躍させる「マネージャーの共通点」
たとえば、野球部のメンバーが「よし!マネージャーについていって、甲子園行くぞ!」と言ってたら、え??となりませんでしょうか。一方で「世話になったマネージャーをオレらが甲子園に連れて行くぞ!」と奮起するチームは良いチームと言えないでしょうか?
詰まるところ、マネージャーがうまく機能した良いチームとは「メンバーが主体的となって活躍するチーム」だと思います。
従って、マネージャーはまず何よりもメンバーの活躍や成長を優先させることが求められます。自分のそれよりもです。これは落ち着いて考えれば当たり前のことで自分が倍の活躍してあげる成果よりも、たとえメンバーが1.2倍ずつ成長していくレベルであっても、その方が安定的、継続的なチームパフォーマンスを続けられる可能性があるからです。
「マネージャーに向いている人」って、どんな人? 〜私がマネに抜擢する人〜
マネージャーにとって「自分がいなくても回るチーム作り」がゴールのひとつでもありますので、私はこれまで、過去にメンバーの中から、たくさんの人をマネージャーとして指名し、マネジメントをお願いしてきました。
その中で後々、チームパフォーマンスを出せるようなマネージャーになる人の共通点は、マネージャーになる前から、頼まれてもいないのに「既にチームの成果が出る為に尽くす動きをしている」人たちでした。(単なる世話焼きではなく、きちんとチーム成果が出ることに繋がった動きになっていることも重要)
一方で逆にうまく行かないことが多かったのは圧倒的な成果を出すエースだったり、「マネージャーになりたいんです!」と言って来る人たちを抜擢したケースでした。そういう人は勇者、主人公タイプの傾向なので、実はスペシャリストの方に適正があります。(逆にマネージャーに向く人ほど、こちらからマネージャーをお願いするとまず「私には無理です」と大体断ってきます 笑)
これはどちらがいい、悪いではなく、単なる役割における適性です。従って、単に"個人パフォーマンスを評価して、トップセールスをマネジメントに置くとチームにあれこれ問題が起こりがち"だったり、"よりスペシャリスト志向の高い職種であるエンジニアがマネジメントをやりたがらない傾向"があるのは、必然的だったりします。
「これからマネになる人」に伝えたいこと
これまでお伝えしたようにマネージャーはチームのパフォーマンス向上のために「何とかする人」ですが、私と同じ失敗をしないためにも、マネージャーが最も気をつけなくてはいけないことがあります。
それは「メンバーの成長の邪魔をしないこと」です。
メンバーの成長をさせるのではなく、メンバーの成長の邪魔をしないことが大切です。最悪は、良かれと思って成長をさせようとして邪魔をすることです。自分の過去の成功体験を元に自分のやり方を頑なに押し付けたり、逆に自分で考えさせることが大事だからと、わざわざ苦労をさせて学ばせようとするマネージャーがいます。
どんな時でもそれが間違っているとは限りませんが、私の経験上は、自分が経験した知見は、あくまで相手の選択の一つとして惜しみなく共有し、成長の邪魔をしない方が結果的にメンバーは勝手に伸びていくと思っています。
マネージャーは責任を背負い過ぎなくてもいい
一方で、マネージャーの適正がある人ほど責任感が強い故にすべての責任を全うしようとし過ぎる傾向があります。過去には自分はマネージャーとして向いてないと悩んでしまったり、中には思い詰めてしまいメンタルに不調をきたしてしまう人までいました。
あくまでマネージャーが責任を負うのは「チームとしてのパフォーマンス」の部分に対してだけです。マネージャーは全能でもないですし、親でも、学校の先生でもありません。たまたま同じ会社になり、たまたまマネージャーとメンバーという役割になっただけです。
従って、もちろんメンバーの人生にまで責任を持つ必要はありませんし、どうしてもメンバーとチームが合う合わないがあります(※マネージャー像が変わった話③)ので、メンバー全員の個々のパフォーマンスにまで責任を持つ必要はないと思っています。
また優秀な人ほど旅立って行きがち(しかも連鎖しがち)で、それをなんとか留めたい気持ちは痛いほどわかりますが、メンバーの卒業はマネをやる以上避けられない痛みであり、必ずしも、すべてがマネージャーの力量不足の起因ではありません。従って、マネージャーがより気を配るべきことは、優秀なメンバーが意を決した時に快く送り出してあげられるよう、なるべく一部のメンバーにパフォーマンスを集中させずに、パワーバランスを分散させてチームを安定させることです。
マネージャーがメンバーと一定の距離をとる理由
またマネージャーは常に冷静な判断を求められる立場です。わざわざ嫌われる必要はありませんが、一方で無駄に仲良くなる必要もありません。個別に仲良くなることで冷静な判断が出来にくくなることもあるからです。
冷静に考えれば、たまたま同じ職場でマネージャーとメンバーという役割になった関係ですので、個人的には遠すぎず近づき過ぎずの距離感で丁度良いかなとは思います。
一方でマネージャーになったからと「急に上にならなきゃ」と勘違いして、呼び捨てにしたり、横柄になったりしちゃう人が稀にいますが、立場を用いたハラスメントにもなりかねず、おすすめしません。。
「メンバーの成長」こそが無上の喜び
以上のようにマネージャーは孤独な面があったり、苦労や大変な部分があることも否定できませんが、それ以上に喜びもあります。それはメンバーの活躍や成果をまるで自分ごとのように感じられるという特権です。 この特権は当然、携わるメンバーが多ければ多いほどその機会が得られるわけで、自分ひとりの人生では味わえない喜びをたくさん、たくさんもらえるのはマネージャーとしてこの上ない喜びです。
メンバーの皆さんに伝えたいこと「メンバーシップ」
ではメンバーとしてはどんな心構えでマネージャーに接すれば、いいのでしょうか??
もし持っていたら、切り替えて欲しいのは「マネージャーは自分より優れていなくてはいけない」という先入観です。
私のチームもそうですが、メンバーで私より優秀な人、力や知識がある人はたくさんいます。もし、すべてにおいてメンバーを上回らなくてはいけないのであれば、私は抱えているメンバー以上の営業であり、マーケッターであり、デザイナーであり、エンジニアでなければいけませんが、当然、そんな存在に私はなれませんし、そんな人も中々いないでしょう。
これは部活のマネージャーがエースや4番より野球ができる必要がないと言うのと同じです。今までお伝えしたように、マネージャーはチームのパフォーマンス向上のためになんとかし続ける役割の人なだけですので、「必ずしもメンバーより優れている必要がない存在」なのです。
また、マネージャーにメンバー全員がついていくような受け身のチームは弱く、先細りになりがちです。一方で「あれもこれもやってほしい」「マネの仕事なので私はしない」と多くのメンバーが全力でマネージャーにぶら下がったら、マネージャー側の負担は一気に増え、かなりしんどいことになります。
マネージャーがメンバーを後押しし、また、それにメンバーがパフォーマンスやメンバーシップで答えるチームこそ、力のあるチームだと思います。
そのためには、メンバーは「現場の視点や意見をフィードバックして情報を提供する」、「自分の活躍(パフォーマンス)でチームに貢献する」ことが必要でしょう。
「お手並み拝見」「あの人より自分の方が優れている」といった狭い視点にはとどまらず、マネージャーがより機能しチームがより良くなるため、ぜひあなたの力を、パフォーマンスをマネージャーに貸してあげて欲しいです。
最後に「仲間募集」!一緒に成長企業で腕を磨きませんか??
いかがだったでしょうか。実は今私が働いているコドモンでは、もうこれでもかという優秀なマネージャーが揃ってきています。そんなマネージャーがいる組織は働きやすいし、自分がマネジメント志向であれば、よき手本がたくさんいることになります。
ちなみにうちには若手の抜擢にも積極的で新卒2年目からサブマネージャーとして活躍しているメンバーも、入社数年で昇格した20代の執行役員がいたりします。
コドモンは設立以来、大きな外部調達なしに黒字を出しながら急成長を続けている稀有なスタートアップです。
ぜひそんなグングンと伸びている成長企業かつ社会貢献もできる会社ではたらいてみたい方、マネジメントしてみたい方は、まずはお気軽にカジュアル面談を
参照)私たちコドモンが紹介された記事
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