飲食店にとってクーポンは害なのか
以前書いたものをリバイスして再アップしました
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今回のテーマは「クーポン」です。
皆さんは飲食店を訪れる時にクーポンを使いますか? 私は以前、飲食メディアの会社に15年ほど勤めていたので、グルメサイトやフリーペーパーの広告販売などを通してクーポンと関わってきました。
ユーザーにとっては嬉しいばかりのクーポンですが、今回は飲食店やメディアの立場から見た「飲食店のクーポン」について書きたいと思います。
媒体(メディア)から見たクーポン
そもそも飲食店がクーポンを出す目的は何でしょう? 基本的には、飲食店が何らかのメディア(チラシ、ホームページ、グルメサイトなど)を通じてオファー(特典)を提供することで、来店のきっかけ作りをして、集客することです。
ただ、メディア側から見ると少しクーポンの目的が変わります。
クーポンをユーザーが持って来店することがそのメディアの販促効果となるので、「効果測定」または飲食店に「効果認識」してもらうためのツールという位置付けになります。
そのため、他のメディアよりよい特典をクーポンにつけてもらうことは、メディアの競争率を高めて販促効果を高めること、ひいては継続的な(または次の)広告出稿につながるので、各メディアは競って他よりもよい特典をつけてもらおうとします。そして今から10年ほど前、メディアごとの特典合戦が起きました。
クーポン合戦の果てにあったもの
結果、どうなったか。加熱しすぎたクーポン合戦によって、特典は20%オフは当たり前の過激なものになっていきました。
店頭にクーポンのついたフリーペーパーを置いたり、来店してからクーポンをケータイで探すユーザーが増えるなど、もはや「来店動機」という目的が薄れ、ただただクーポン回収枚数(=メディア効果)を追いかける本末転倒なものとなっていきました。
それでは、ただ単に客単価を下げているだけです。
また、それに応じてお店自体ではなく、お得な特典に魅力を感じて来店する客層ばかりが集客されるようにもなっていきました。こういった客層を「バーゲンハンター」と呼びます。
美容室やエステにおける「初回荒らし」同様、バーゲンハンターは瞬間的な集客力はあれど、他へ他へといってしまう客層なのでリピータにはなりにくい。
さらにそういった客層によってもともといた常連が居づらい雰囲気となり、常連が他店へ逃げてしまうことになります。
飲食店側もそういうことが起きてることは頭ではわかっているのだけど、気づく頃には既に特典目当ての客層ばかりになってしまっていて、「メディアにクーポン出し続けないと客数が維持できないので、辞めたいけど、辞められない」といった中毒のような状態になるお店が続出してしまいました。
これはフラッシュマーケティングとよばれるサービスが乱立した際にも、同じ現象が起きました。
「クーポン」と「大将からのおごり」の違い
皆さんは、最近はあまり見なくなりましたが、「ワンドリンクサービス」のクーポンを一度は使ったことあるのではないでしょうか。もうワンドリンクぐらいじゃクーポン持っていかないよなんて方もいるかとは思いますが、ではあなたが懇意にしているお店の大将から「これはオレからのサービス」と一杯おごってもらったとすればどうでしょうか?
どちらも同じ1杯を無料とするサービスですが、私は後者の方がずっと嬉しいと感じてしまいます。
それは前者のクーポンが「予定調和なサービス」であるのに対し、後者の大将からのおごりは「予期せぬサービス」だからです。
人は思わぬサービスにこそ感動するので、あらかじめこういったサービスをしますよと明記されているクーポンによってお客さまに感激してもらうのはとても難しいのです。
クーポンとの付き合い方
ではクーポンは飲食店にとって害なのでしょうか? 結論から申しますと、要は使い方次第だと思います。
私は飲食店メディアの営業をしている際には、お店さまには「場合分けクーポン」をオススメしていました。
これはどんな客層にも同じ特典を提供するのではなく、「月曜日だけ」「団体の場合だけ」「女性だけ」「ご近所の方だけ」「誕生日の方だけ」など欲しい客層をターゲットに設定し、そのターゲットごとに喜ぶ特典を設定する方法です。
こうすることで無理な集客することなく、またむやみにバーゲンハンターを呼び込むことも防ぐことができます。
(ちなみに私の関わった飲食店メディアでは、誕生日特典の特集は提供するお店側からは出稿不人気でしたが、ユーザーの検索量や利用率は非常に高かったので、ひとつは誕生日用のクーポン設定することをおすすめします)
また、思い切った特典は、その瞬発的な集客力を活かし、新規オープン時などのタイミングで使い、一気に近隣の人にお店の存在を知ってもらうことに活用するのもいいかと思います。
ただし、そういったパンチの効いた特典は継続的に出し続けると、いつもそういうお店だと思われて、特典のない日には集客苦戦するようになるので要注意です。
ということでいかがだったでしょうか? クーポンはあくまでツール。ツールを目的化することなく、よく言われることではありますが、要はツールは使い方次第ですので、うまくつきあっていきましょうというお話でした。
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