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保育士が知っておきたい「保育DX・ICT化の違い」とは? 実現に必要な3つの認識

コドモン普及推進部の足立です。私はコドモンでの3年間の在籍で多くの施設の保育施設のICT化および、それによる保育DXの実現のお手伝いをして来ました。保育業界では馴染みがある方も多い「ICT化」という言葉と、最近、あちこちでよく耳にする「DX(ディー・エックス。デジタル・トランスフォーメーション)」。

今回のnoteでは、ICT化の推進をお手伝いしている際に感じた、ICT化・保育DXにおいて勘違いされがちな部分、また保育ICTの業界最大手だからこそわかる「保育DXの実現にキーとなる部分」をざっくりまとめました。

そして最後に「なぜ私たちが敢えて "保育DX" という言葉をあまり使わないようにしているか」の理由も書きました。ぜひ多くの幼保施設・学童・学校においての業務のICT化やDXの参考になれば幸いです。
(ちなみに結論、DXって意識しない方がDXに近づけますって話です)

「ICT化」 と 「DX」の違い

そもそもの「ICT化」と「DX」の違いはいろいろなところで述べられているのですが、私の認識の違いとしては、ICT化とはICT(Information and Communication Technology)を用いての業務のデジタル化を差すのに対して、下記の経産省の定義から拝借するとDXとは「業務そのものや組織・プロセス・企業文化をICT化によって変革すること」までを差しています。

経産省の定義
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf

つまり、「DXは業変革する」という目的までを差し、「ICT化」はその手段の表現となります。こと「保育DX」ということであれば、「ICT化によるさまざまな業務改革によって、時間とゆとりをもたらし、保育の質を向上させる」までがセットになります。例えるなら家に帰るまでが遠足のごとく、業務改革を実現するまでがDXであり、それを伴わない場合はICT化、デジタル化、デジタルシフトになります。

「ICT化」をどこまでするべきか

保育施設にコドモンをご案内していると、どこまでICT化するか悩まれる施設とも多くお会いします。また業務の多くをICT化している施設だけでなく、保護者連絡など一部分のみICT化している施設も自園はICT化していると考えられている施設もあります。一方で「うちはICT化は登降園管理だけでいい」「保護者連絡以外はICT化しない」などと残念ながら導入前から手段の限定をしてしまっている施設もあります。

8000を超える多くの施設のICT化をお手伝いして来た私たちからお伝えしたいのは、先述のように「ICT化は手段でしかない」ので、その手段(どこまでICT化するか)を最初から決め打ちにせず、ゴールに対して、できるだけ柔軟にしておく方がオススメです。

現在、保育施設のICT化できる業務はざっと挙げるだけでもこれだけあります。

登降園管理 -請求
 時間記録・延長保育料計算・請求計算・請求業務・入金管理
保護者連絡・コミュニケーション
 お便り・出欠席連絡・連絡帳・アンケート
各種記録・計画
 園児台帳・要録・日誌・年間計画・月案・午睡・検温など健康記録・保育ドキュメンテーション
シフト管理
給食管理
バス運行管理

結果的に、できるだけこれらの多くの業務をICT化することが、より「職員に時間とゆとりをもたらし、保育の質を向上させる」に繋げやすくなります。なぜなら、これらの業務の多くはお互いに密接に繋がっているので、部分的に導入しても効果は限定的になってしまい、逆に多くをICT化することで、より大きく成果を上げやすくなるからです。
(コドモンはその効果を最大限に感じていただきやすいようワンストップで行え、各機能の連携が進んでいることも利用施設より高いご支持をいただいてる理由の一つです)

「ICT」が得意なものの多くは「人力」で賄っている

ICTツールを導入することで利用料としてコストが増えると誤解をされる施設は多いのですが、実際はそれらを現在はそれらの業務を職員の工数、つまり人件費で賄っていることを抜けがちです。

ICTが得意とするのは、記録・転記・計算・集計・条件による判断などですが、さらに強みがあるのはそれを休むことなくできるという点です。このことをわかりやすくお伝えるために「記憶力が良くて、計算が早くて、1日も休まない事務員」や「ひたすら欠席を連絡を受けてつけてくれる電話当番」などとヒトとして表現すると、イメージを持っていただきやすいです。

そして、その「新しい事務員さんが入ってきて、様々な業務を巻き取ってくれる」ことになるので、当然、業務の重複を避けたり、より省力化をしていくために、他の方々は「必ず役割やフロー、業務内容の変更することが必要」になってきます。

こうして、ICTの得意な部分をICTに任せて省力化し、ヒトはヒトでしかできない業務に変更し特化していき高度化することで、結果的にDXが実現できることにつながります。

あえて「保育DX」という用語を多用しない理由

お伝えしてきたようにDXとは「ICTを活用して業務変革をすること」ではあるのですが、一方で現場の皆さんの目線から言うと、お話をしている限り、正直、「業務変革をしたい」という目的に対し、強いモチベーションはないのではと感じています。またICT化を進めることで業務の省力化のみならず、保育の質が高まると言われても正直、ピンとこない方も多いのではないでしょうか?私見ですが、それはそれで、ごくごく自然な反応だと思っています。

そんな実現において何より大切な現場の皆さんから共感を得られない状況で、「DXするぞ」といった号令をかけたところで、笛吹けども踊らず状態になってしまって、なかなか大きな成果は得られにくくなることでしょう。

(また余談ですが、聞こえの良い流行り言葉になるほど、曖昧に受け取って誤解や本質から逸れていく傾向もあり、保育DXも気をつけなければいけない用語だと思っています)

ちょっと古い話になりますが、皆さん「iモード」ってご存知でしょうか?一言で言うと、ケータイでインターネットできるサービスでした。当時は今では考えられませんが、インターネット自体、テクノロジーに詳しい一部の方のみ理解して活用できている状態で、一般的な人にはその仕組みや利便性は理解がし難く、敷居の高いものでした。

そんな時代においてiモードが革新的だったのは、ユーザーの多くが自覚なしに、iモードを通じて知らぬまにインターネットを実体験することになった点です。実際にそのあと一気にインターネットの利便性は伝わり、普及が加速していきました。

DXも同様に「わざわざ難しいDXの概念を理解してもらって挑むこと」にこだわるより「単に便利そうだから使ってみようかな的なアプローチ」で入っていただきつつ、「コドモンを普段の業務に使っていたら、気づいたら多くの業務がICT化され保育DXが果たされていた」という方が結果的には断然早く、また自然に普及が進むと考えています。

そしてそれらを含めた業務設計こそ、なるべくお忙しい現場の皆さんではなく、多くの施設からの知恵をいただいている私たちのようなサービス会社側が作っていくことが責務だと思っています。

まとめ

今回は保育DX・ICT化の整理を書いてみました。今までをまとめると、ICT化を成功させ、保育DXさせる際に大事な3つの認識はこちらです。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

<ICT化と保育DXの違い>
ICT化

 ICTを用いての業務のデジタル化
保育DX 
ICT化の業務改革で時間とゆとりをもたらし、保育の質を向上させる
<保育DXを実現させる際に大事な3つの認識>
*できるだけ多くの業務をICT化すると、より多くの効果を得られやすい
 →業務やシステム連携の恩恵を最大限得られるようにする
*できるだけ最初からICT化する業務範囲は決めない
 →出来るだけ大きくカバーすることを目指し、様子見ながら調整する
*現行業務フローの切り替えや修正は必ずつきもの
 →今の業務をそのまま残そうとしない


最後に宣伝。 保育ICTを「○×比較表」で決めてませんか?

「ICT化を通じて業務の省力化や職員の時間とゆとりをもたらし、保育の質を高めていくことを目指されたい方」、またその際、「どのICTサービス・ツールを選ぶべきか迷われている方」は、ぜひ下記よりお気軽にお問合わせください。

当社への切り替えをご相談いただく、ICT導入がうまく行かなかったという施設の多くは、「選ぶ際に○✖️比較表だけで選んでしまって失敗した」というケースが多いです。

お互いの機能開発が進んだ今では、お客さまからはどのサービスも○✖️比較表では差がないとよく言われますし、実際その通りなのですが、

○✖️表比較の問題は、極端な例をあげれば、あることを1回のクリックでできるサービスも、10回のクリックでできるサービスもどちらも○になってしまい差がないように見えてしまうことです。その出来る具合まではわからないことが最大の欠点なのです。

本当に大切なのは、単に機能が○(あるか)×(ないか)では現れない「きちんと現場で使えるかという使い勝手の差」なのです。

その明らかな見分け方などをお伝えできますので、ぜひ一度、コドモンにお気軽にお問い合わせください。


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