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骨盤矯正。骨盤矯正?

「骨盤矯正」というワードが整体院や整骨院、ストレッチ屋さんなどでキャッチコピーとしてウェブサイトや看板、チラシなど多くの場面で使われております。
では、骨盤矯正とはいったいどんなものなのか、簡単にまとめてみました。

言葉のイメージ

「ゆがむ」「ゆがんだものを整える」
と聞くと、ものすごく効果的な印象を持つかと思います。
よく整体院や整骨院でも「ゆがんでますね」といったワードを聞きますし、メディアでも使われている単語です。この「ゆがむ」という言葉は、医学用語としては定義されたものではないそうです。

実際に痛みなどの症状を有している方が、「ゆがんでいる」と言われたら、「え?そんなに悪いの?だから痛いの?」と心配になるともいます。

マーケティングとしても、「ゆがみ」という言葉はインパクトがあり、その効果は大きいといえます。

そもそも骨盤は、人体にとっての要の部分です。
一歩歩くごとに骨盤(股関節)には体重(負荷)がかかります。
1日一万歩歩いている方は片方の股関節に五千回ずつ、その衝撃が加わります。体が大きかったり、階段や走ったりすればそれだけ大きな衝撃が365日、数年、数十年と繰り返されています。
仮に骨盤がゆがむものだとしたら、スポーツ愛好家やプロアスリートはもちろん、多くの方の体がおかしくなってしまいます。

そんな何十kgという負荷がかかっている骨盤に対して、徒手での刺激(カイロプラクティックのようにテコの力を使ったとしても)で矯正できるようだったら、驚きです。

もし仮に手で簡単に動いてしまうような構造をしていたら、高いところから飛び降りたり、思いっきり地面を踏み切ってジャンプしたりしたら大事故につながってしまいます。

骨盤の構造

骨盤は、
寛骨
腸骨、恥骨、坐骨の3つの骨が骨癒合している
仙骨
仙椎という椎体が骨癒合した逆三角形の骨
尾骨
の3種類の骨によって構成されています。

よく「骨盤がゆがんでいる」と表現されているのは、寛骨(腸骨)と仙骨が関節している仙腸関節の部分です。

仙腸関節の関節面は、耳状面というザラザラした面同士がマジックテープのように接しています。仙腸関節と言われていますが、実際には「不動の関節」で、半関節とも言われています。つまり、動かない関節なのです。
その不動の関節は前後を強靭な靭帯、そして筋肉によってガチガチに補強されています。

写真や動画でも確認することができますが、非常に強固な構造をしており、とても手で動かせるとは思えません。
仮に動いたとしても数mmという非常に小さい動きです。
そんな小さな誤差を矯正することが目的だった場合、そもそも衣服の上から、肉眼のみで見分けられるのでしょうか?

もちろん先天的に骨の形が左右で異なっていたり、またはその人の今の姿勢が影響したりして、骨盤がゆがんでいるように「見える」ことはあります。

妊娠、出産 

唯一骨盤の骨が動く時期があります。
それは女性の妊娠、出産時です。
この時期、骨盤の恥骨部分を補強している靭帯が、ホルモンの分泌によって弛緩し、骨盤を広げ、胎児の頭がおさまり、そして押し広げて外に出られるようになっています。

しかし、これに関しても産後に分泌されるホルモンによって元の靭帯に戻るため、産後しばらく安静にすることで解決していきます。
改めて、人体はよくできているなと感心させられます。

どこで習ったのか?

そもそも、骨盤矯正というものは、どこから出てきたものなのでしょうか?

鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の養成校では習いません。

柔道整復師の国家資格は保有していませんが、カリキュラムには入っていないと思います。理学療法士、作業療法士も同様だと思います。

矯正と言えばカイロプラクティックですが、これは主に脊椎に刺激を加えるアメリカの民間療法で、専門の期間で学び、資格を取得しなければならない非常に専門性の高い治療方法です。
日本では法整備されておらず、誰でも名乗り、実践することができてしまいます。このカイロプラクティックも骨盤を矯正することが目的としたものではありません。

つまり、いつ、どのように誕生したのか分からないものなのです。
そのため、このようなサービスを受ける際は、くれぐれもご注意ください。

まとめ

「骨盤矯正」という言葉を多く見かけます。
しかし、その実態はあいまいです。

特に、鍼灸マッサージ、柔道整復の国家資格治療院では、広告規制というルールがあり、不特定多数の方に見える場所、例えば店頭の看板や窓に施術方法を記載してはいけないというルールがあります。
そのため、多くの場合は整体、リラクゼーション系、ストレッチ系の民間資格の人たちが中心となって使っている用語と言えます。一部、広告規制を無視しているところもあります。

確かに、背骨とかバキッとハマったような音がするとスッキリする感じはします。しかし、それが本当に骨盤、仙腸関節でも同様に起こっているのか、そして効果があるのかと言われたら「?」です。そもそも徒手で矯正できてしまう部位であれば、また元のゆがんだ状態に戻ってしまうと思います。

現在、骨盤矯正の施術を受けられている方も、今後骨盤矯正を受けてみようと考えている方は、一度どんな考えで行われ、それが安全なのか、その店舗のホームページなどで確認してみることをオススメします。


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