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運動後の食事

運動後の食事にはたんぱく質だけでなく糖質の補給も必要なのをご存知でしょうか?

トレーニングを行う場合、過負荷(オーバーロード)を与えることが基本です。

負荷を与えた身体はエネルギーが不足し、筋肉の細胞は損傷した状態になります。

運動後に適切な栄養摂取と休養を組み込むことで、疲労が回復し、損傷した筋肉はトレーニング前以上のものに再合成されます(これを「超回復」といいます)。

栄養摂取と休養が不十分な場合、疲労が蓄積する一方となり、パフォーマンスの低下が起こります。

この状態が長期化すると筋肉の分解を引き起こしてしまうのです。

運動後の適切な栄養補給は本格的なアスリートはもちろん、筋トレをしている方やマラソンをしている方などの趣味でにとっても重要です。


①トレーニング後の糖質摂取

スポーツ選手は筋肉の主成分であるたんぱく質を重視しがちです。
しかし、スポーツをする方にとって糖質の摂取は、パフォーマンスの向上には欠かすことのできないものなのです。
筋肉には「筋グリコーゲン」という糖質の貯蔵庫があります。
筋肉のエネルギーがしまわれています。
トレーニングの後は、この筋グリコーゲンが減少してしまい、疲労感の原因とな流のです。
低糖質食を続けていると、よりこの傾向が強くなります。

筋グリコーゲンが少なくなると、体は脂肪と筋肉を分解することで、枯渇している筋グリコーゲンを回復させようとします。
つまり、運動後に糖質をとらないことは、筋肉の分解につながってしまうのです。

適切に糖質を摂取することは、疲労感を軽減し、筋肉の分解を防ぐためにはとても重要なのです。

また、糖質を補給すると上昇した血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。

このインスリンは血糖値を下げるだけでなく筋肉の合成を促進するという役割もあります。

どんな種類の糖質がいいのか?

お米に含まれているデンプン、お菓子に入っている砂糖、果物に入っている果糖などがあります。
同じ量・同じタイミングで補給した場合、よりGI値の高い糖質の方が筋グリコーゲンの回復が早いという実験結果も。

※GI値とは
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略です。
その食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するスピードを計ったものです。
ブドウ糖を摂取した時の血糖値上昇率を100として、相対的に表されています。
このGI値が低ければ低いほど血糖値の上昇が遅くなり、インスリンの分泌も抑えられるのです。

高GI食品を摂取すると、インスリン分泌がより促進することにより、筋肉への血糖の取り込みが促進されると考えられています。
身近な食品でいえば、GI値の低いバナナ(GI値55)よりも、GI値の高い白米のおにぎり(GI値81)の方が、運動直後の疲労回復や筋力アップに適しているといえます。

また、運動強度が高くなるにつれ、食べたものが胃から小腸へ移動する時間は長くなります。
エネルギー補給の目的ではいかに早く糖質を体に供給するかが重要であり、吸収速度の観点では「マルトデキストリン」が優れています。
マルトデキストリンは胃から小腸への移行速度が速く、よりGI値の高いブドウ糖と比べても運動後の回復効果が高いという実験結果があります。

マルトデキストリンが含まれている食品としては、「ウイダーインゼリー」などのゼリー飲料が挙げられます。
スポーツ栄養の現場的には、より速い回復が要求されるような場面では、マルトデキストリンが入っているエネルギーゼリーやドリンクなどを用いるとよいでしょう。

運動直後の糖質摂取量

国際オリンピック委員会(IOC)の報告おいて、運動直後の目標摂取量は「約1g/kg体重/日」とされています。

もちろん競技や個人差はあります。
食品に換算すればおにぎり1~2個、エネルギーゼリー1~2個くらいの量を目安に。

糖質は多く摂れば摂るほど疲労回復効果が高まるわけではありません。
カロリーをとり過ぎる恐れもあるので、適度な摂取を心がけましょう。
自分にとって適切な量はどれくらいか、疲労感を見ながら何回か試してみましょう。

②トレーニング後のたんぱく質摂取

筋肉をつける栄養素といえばたんぱく質。
たんぱく質は筋肉を作る材料となる栄養素です。
そのほか骨やコラーゲン、免疫体、酸素を運ぶヘモグロビンなど、様々なものに使われています。
トレーニング後は体内で筋肉の合成が行われますが、同時に筋肉の分解が進んでいます。
このときにたんぱく質を摂取しないと、筋肉の分解ばかりが進み、十分な筋肉の合成が行われないのです。

アミノ酸(タンパク質)と一緒に糖質も摂取している群は、筋肉の合成速度はより高まっています。
何も摂取しなかった群と比べると合成速度の差は約3倍もあるのです!

たんぱく質と糖質の同時摂取がトレーニング効果を最も高められるといえるでしょう。

タンパク質はアミノ酸に分解されるまで内臓に負担がかかります。
内臓疲労がある時は、サプリ等で直接アミノ酸で摂取するのもありですね。

筋肉をつけるためには良質なたんぱく質の摂取が必要になります。
「良質なたんぱく質」とは??

たんぱく質の質を評価する指標としては、「アミノ酸スコア」というものがあります。
これは食品中に含まれる「必須アミノ酸」(体内で合成できないため、食事から摂取する必要のあるアミノ酸)の充足率を表している指標で、最大値は100になります。

このアミノ酸スコアが100のものが「良質なたんぱく質」にあたり、肉や魚・卵・乳製品・大豆製品がこれに該当します。
市販のプロテインも乳成分や大豆から作られているものがほとんどですから、良質なたんぱく質と言えます。
一方でお米やパン、野菜に含まれるたんぱく質はアミノ酸スコアが低いのです。
良質なたんぱく質ではありません…。

運動直後のたんぱく質の摂取量

必要なたんぱく質の量は選手の体格やトレーニング内容によって異なりますが、運動後に15~25gの良質なたんぱく質やプロテインを摂取することで筋肉の合成を高めることが期待できるとされています。
市販のプロテインでまかなう場合は、製品の裏面の食品表示を見て量を調節するとよいでしょう。

ただし、たんぱく質においてもたくさん摂取すればいいというものではありません。
過剰になったたんぱく質は脂肪として蓄積されたり、体内のカルシウムの排出を促してしまうなどの悪影響もありますので注意が必要です。

運動直後の補給をタイミングよく行い、リカバリーを効率よく始めることができたら、その後の食事は主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品の揃ったバランスのよい食事をとるよう心がけてみましょう。

特に、ビタミンB群の栄養素は糖質・たんぱく質・脂質の代謝に関わっています。

ビタミンB群は玄米のほか、動物性食品に多く含まれており、疲労回復に重要な役割を果たします。
バテているときこそしっかり食べるようにしなければなりません。

また、コンディショニングや体づくりの観点からも、野菜や果物・海藻類からビタミン・ミネラルを十分にとることも欠かさないようにしましょう。




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