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未来はあなた次第!世界と関わり続けられる地域指標づくりを目指す調布 de SDGs の取り組み

ライフスタイルを変えたり、お仕事にSDGsを取り入れたり、みなさんそれぞれにSDGsアクションに取り組まれていると思いますが、そこからもう一歩踏み込んで、地域活動に参加して取り組んでみませんか?

今回の記事では、そんな一歩踏み出したい、地域アクションに参加したい人に向けて、問題をより深く理解し行動の影響を把握していくための「指標」の取り組みについてをご紹介していきます!

国内では、横浜や長野のSDGs 企業認定制度だけでなく、地域では「ローカルSDGs 指標」の取り組みがはじまっています。

つい最近ローカル指標キックオフイベントを開催したばかりの「調布 de SDGs」のご活動について、一般社団法人サステナブルコミュニティ共創機構 代表理事の 横山 泰治さんにお話をお聞きします。みなさんの地域アクションのヒントにしていただけたら嬉しいです!


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一般社団法人サステナブルコミュニティ共創機構 代表理事の 横山 泰治さん


これまでのお取り組みについて教えてください!


この春まで所属していた、NPO法人ちょうふこどもネットの理事として、小学校の夏休みイベントから始まり、2018年6月からSDGs カードゲームを活用した「市民向けSDGs 講座」を月に1-2回程度、2019年からは「調布 de SDGs」として、今はオンラインでカードゲームや対話型ワークショップを行っています。

市民向けSDGs 講座は、調布市役所や教育委員会、社会福祉協議会の後援を受けて定期的に開催してきました。これは市民を中心にボトムアップで取り組むことを重視して、一緒にやってきたところがあります。

NPO法人ちょうふこどもネットが運営する児童館でも、毎月17日は「SDGsの日」と決めてスタッフの人が取り組みを紹介したり、ロビーでSDGs 関連の番組を放映したりしています。

また、調布市からの依頼を受け「空き家の利活用とSDGs」というテーマでイベントを行い、さまざまな方にご参加いただき、アイディアを出し合いました。

これらの市民と行政の交流の機会から、自治会や地区協議会の協働推進の部署が、小学校単位の地域のオンライン掲示板でSDGs のゴールごとに生活でできるアクションなどを紹介したり、環境に関する部署が環境省のプラスチックスマートの取り組みを行っていただいたりなどにつながっています。


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空き家ッカソンYoutube


地域での反応はいかがでしょうか?


調布市は毎年、無作為抽出で市民意識調査を行っています。ここでは市政に関する設問とともに、SDGs に関する設問も入るようになりました。

平成30年の調査のSDGs 認知度では、調布市はまだ数字が低かったものが、東京・神奈川の調査結果 電通(29.1%) 朝日新聞(32.9%)に対して、令和元年には 1.5倍、令和3年には1.6倍という結果になっています。

今年4月末に出た最新のものでは、市内の6割の人が「SDGs を知っている」と回答して、さらに「取り組みを知っている」と回答した人が増えたのと、住民の1.2%、100人に1人は「セミナーなどに参加したことある」と回答がありました。わたしたちの活動が少なからずここに資することができたのではないかと思っています。


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SDGs を伝えるときに工夫されていることはありますか?


日常生活に置き換えていくこと、本人に気づいて取り組んでもらうような体験をつくっていくこと、これらが大切だと思っています。

未来や社会は、周りの環境次第、過去次第、他人次第ではなくて、“自分次第” という、自由に決めることができること、自己表現としてこういうふうに生きていきたいと選んでいける社会、というのをわたし自身はテーマにしています。

このなかで「せねばならない・これしかない・こうすべき」をつくらないというところは心がけています。あまりにそれを押し進めると「正義」と「悪」ができてしまうし、そこにぶつかった人が「自分には無理だ」と心が折れてしまう可能性もあると思うからです。

日常生活で、まったく地球環境に負荷をかけないで生きていくことはなかなか難しいですし、人間である以上は感情が湧いてきたり、人同士の相性もあるので、否定ばかりしたり正義を振りかざすと、悩みながら生きている若者たちは特に、それは「無理だ」となって離れてしまったり、周囲との分断や対立も生んでしまうかもしれません。

分断や対立から、取り残されてしまう存在が生まれてしまうので、まさにSDGs の「誰ひとり取り残さない」に反してしまうので気をつけています。また、SDGs の達成に向けて行動することは、他の人から言われてやることではないと思うので、本人が気づき、ジブンゴトで行動していけるようにすることを心がけています。

また、できるだけ幅広い年齢層と関係性を持ちながら、若者たちを取り組みの中心に据えています。すでに熱心に行動している若者たちは、全国や世界で活躍しているので、「自分には関係ない」「授業でやるやつでしょ」というふうに考えている若者たちを含め、ここから地域全体を巻き込んでいきたいと思っています。


ローカル指標のお取り組みについて教えてください!

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わたしは一般社団法人 SDGs 市民社会ネットワーク「地域ユニット」の幹事もしています。調布に限らず全国で活動をしているのですが、このユニットは地域からSDGs を達成していくことを目指すためのもので、地域を主語にSDGs に取り組むお手伝いをしています。

ここでは昨年から、SDGs の理念「誰ひとり取り残されない」を達成するための「地域からのSDGs 指針(指標)づくり」に取り組んでます。主にこれに取り組んでいるのは、静岡県と富山市と調布市です。

調布市では、持続可能性にある「将来世代のニーズを損なわず、現代世代のニーズを実現する」というところで、若者たちを含めてローカル指標をつくろうと動き出しています。


指標づくりのイベントで行ったことを教えてください!

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第1部、第2部の記念写真


1月31日のキックオフイベントは全3部に分け、第1部は、「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」の最年少メンバーでもある認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連さんをお呼びして、

若者に向けて、なぜ貧困という社会課題に取り組むことになったのかのエピソードや活動を紹介してもらいました。中高生の居場所施設でも、これを館内で放送して観てもらったりもらいました。

第2部では、児童館と小金井市の専門学校の学生たちの取り組みを発表してもらいました。これまでにSDGs のゴールを張り出して、自分が感じていることや達成していることなどを付箋で貼ってもらうといった、指標に向けた種まきのような活動をしていたので、それを大西さんに見てもらうこともしました。

どのようなことが達成できたら、自分で決める未来、みんなでつくる誰ひとり取り残されない世界になるんだろうというのを、オンラインの参加者からもチャットでコメントいただきながら、参加者全員で考えました。

これによって若者世代は、日常生活がSDGs につながっていることを学び、それを他の人と会話しながら深めていくことなかで、自分たちが影響を与えられる存在であること、下の世代にどんな影響を与えていきたいのかを考えるきっかけになったのではと思います。


第3部では、やらなきゃと思っていることができなかったり、やめなきゃと思っていることがやめられなかったり、わかっていながら行動を止めてしまったり続けてしまったりする、

わたしたちの行動を知らず知らずのうちに決めてしまう「価値観の枠組み」を適切に扱って結果を出すための講座を実施しました。パラダイムシフト・コミュニケーションの第一人者である岸 英光さんにオンラインで講演していただきました。

働いている若者たちにも参加してもらいたかったので、市内の美容室3店舗をつないでオンラインで配信も行いました。参加した若い美容師さんは、「SDGs は今になってテレビや雑誌でよく見かけるけど、あのとき先に話を聴いておいてよかった」や、「自分の仕事でも、環境に貢献できることがありそうだとワクワクした」など感想をいただき、嬉しかったです。

まちに生活している人たちが、それぞれにSDGs を自分ごとにして、世界につながっていることをより感じやすくしていけるような、そんなローカル指標をつくりたいと思っています。自分が暮らすまちのなかでこれを達成したら、自分たちのSDGs の取り組みが前進した、達成したと言えるものになったらいいなと思います。


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第3部の美容室への中継


指標が正式にできるのは2年後になると思います。昨年と一昨年かけて市民講座で体験の場をつくり続けることで種まきをしてきました。

今年1月に指標づくりワークショップをキックオフ開催して、今年1年はローカル指標をキーワードにした講座やイベント、対話を続けていき、そのなかで秋くらいにステークホルダーの交流会を開催したいと思っています。

そこでプロジェクトづくりのためのメンバーを確立させて、情報は今まで集めたものを活かしつつ、ローカル指標をブラッシュアップしていって、2022年度の終わりに指標を発表するイメージでいます。

2022年には市長選があったり、調布市の基本構想の策定が進みます。今ある施策を紐付けるだけのものでなく、市民から出るボトムアップアクションプランと合わせて、指標づくりに取り組むことができるのではと思っています。


ステークホルダーはどんな人を想像していますか?


ジェンダー問わず「若手」とされている人たち、団体組織の若手若者、市内の地元中小企業、商店街、金融機関、行政の方にも入っていただきたいなと思っています。

市内で、コワーキングスペースを運営したり、女性の活躍を進めていらっしゃる、非営利型株式会社Polarisさんとも協力したり、市内の学校も巻き込んでいきたいです。大きくなりすぎると逆にまとめるのが大変なので、ゴールごとかユニットごとに分かれるのか、動きやすい最適な大きさで取り組んでいきたいと考えています。

わたしが関わっている社団も世話人、部活のマネージャーのように関わっていくと思います。やり遂げるためにこの法人が関わるという感じですかね。



最後にメッセージ


SDGs のゴール2030年に目標が達成されたら終わり、というものではないと思うんですね。わたしたちが生きている限り関わり続けるものなので、自分が行動したら世界に影響していくというのを、絶えず感じ続けられるような社会や地域ををつくっていきたいと思っています。

誰しもがステークホルダーと言えるわけですが、行政・企業・学生…それだけの側面だけで生きているわけではなくて、家庭人、企業人、地域の人、個人、いろいろあるわけですよね。

宇宙船地球号の表現として知られる「宇宙船地球号には乗客はいない。我々はすべて乗組員(クルー)である。“There are no passengers on spaceship earth. We are all crew.”(マーシャル・マクルーハン)」という言葉のように、

赤ん坊からお年寄りまで、全員に役割があって、役割を果たすことで持続可能な未来に進んでいくんだというのを、実感できるような取り組みをしていきたいと思います。


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横山 泰治さん

パラダイムシフトコミュニケーション®トレーナー / 官民共創・SDGsコーチ / プロジェクト「From」代表(2021年6月1日から一般社団法人 サステナブルコミュニティ共創機構 代表理事 就任予定)(「2030 SDGs」・「SDGs de 地方創生」・「SDGs Get The Point」公認ファシリテーター)

1974年東京都生まれ。小学校からボーイスカウトを続け大学生時代には隊長を務める。 高校3年時にカナダへの留学後、大学2年時に阪神淡路大震災にボランティア参加。 卒業後、留学カウンセラーとして3年勤務、1999 年に東京都調布市でNPO法人を設立。 2001年に調布市観光協会の事務局として、観光案内所設立や広報・ホームページ開設 ・運営を担当し、2002年から調布市花火大会実行委員会事務局を兼任、 2004年の大河ドラマ「新選組!」まちおこし実行委員会の事務局を担当する。 その後もNPOと行政の協働事業を進め、2010年にNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」 放映を機に、市内の若年者就労支援の一環として、市内の高校・大学生世代による 観光案内所「ぬくもりステーション」運営を受託、現在に至る。 現在は統括責任者のコミュニケーショントレーニングネットワーク®で講師として活動 しつつ、ITを活用した地域情報化や青少年健全育成・若年者就労支援のNPOで役員 として活動しながら、NPOの設立運営、官民連携共創、SDGs推進のコーチ、講師、 ファシリテーターとして全国で活動。

https://www.kodomo-net.or.jp/guide/course/

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