Sarah

久々の電話だというのにサラは太ったことしか口にしない

この間もらった寫眞で見るに、私には到底太ったように見えないのにサラは頑なに太ったのだと言い張る

私とサラが知り合ってから季節が一周しきってないくらいしか経っていないんだから、前の方が痩せていたと言われても正直あまりピンとこない

太っていたって可愛いから大丈夫よと伝えているのに電話の向こうの頑固なお姫様はなかなか受け入れもしないし、じゃあ太ったわねとでも言えば、それはそれで落ち込むんだから本当に可愛いもので

本当にワンピースが着れなくなるわね、そんな皮肉さえ彼女には突き刺さってしまったらしく電話の向こうで頑固を通り越して岩石かのように黙ってしまったの

こうなると拗ねるとかいじけるなんてもんじゃないからお手上げなんだけど、飲みかけのワインが空になりそうな時間だし、月も綺麗だから いつもより沢山私がどのくらいサラを想っているかと教えてあげた

アイスクリームにエスプレッソを流し込むみたいな声が電話から聞こえて、今日はもう寝なさいと笑った