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【のんびり長期企画】ラリアのサッカー辞典【随時更新】

Aリーグやその他のオーストラリアのサッカーの映像・音声・文章媒体に普段触れていると繰り返し出会う言い回しや造語やネタ、そういった言語の独特な文化が色々面白いし楽しいなと思ったのでちまちままとめてみることにしました。ちなみに用語のチョイスと定義はあくまで私基準。豪サッカーを追う上で参考になるかもしれないしならないかもしれない。適当に続けて長くなったら記事を分ける予定。とりあえずは週一くらいのペースで更新できたらいいな。

<最近の更新>
2024年6月21日 「Werewolf」「Coaching badge」追加。
2024年6月13日 「Vuvuzela」「'G」追加。
2024年5月14日 「Shoey」「Middle name」追加。


Admin(あどみん)

クラブなどの公式SNSアカウントの中の人を指す言葉。各種お知らせするだけでなく色々と中の人間が出る機会は多く、Twitter/Xのリプライ欄を見ると他のAdminと会話していたりお馴染みのネタ職人たちとやりとしてしていることも。特にヴィクトリーのTwitter担当のAdminさんは(私が見てるだけでも数回変わってるはずだけど)安定してここぞという時に粋な返しをしたり鋭いネタ投稿までできるすごい人。繰り出すネタ投稿のクオリティはチームの成績に関係ないとはいえ、2021年のカップ戦を男子チームが戦い抜いた時期はAdminさんも絶好調だった記憶が。ポポヴィッチ改革は選手のみならずスタッフまで影響が及ぶという話は本当なのかも。

Annoying Little Sister(あのいんぐ・りとる・しすたー)

直訳すると「五月蠅い妹」、転じてKyra Cooney-Crossを形容するのにしょっちゅう使われる言葉。所属クラブのアーセナルでもMatildasでもチームメイトになにかとちょっかいをかけたりインタビュー動画撮影を邪魔したり天真爛漫・自由奔放に周りの選手(それはもう経験豊富でスーパースターな)を振り回しているのが日常になっているようです。ヴィクトリーにいる時もシャイなところはあれどチーム内では多少はそうだったはずですがすっかりはっちゃけてしまって喜べばいいのか心配すればいいのかわからないのがAリーグ時代からのファンとしての正直な気持ちだったり。まあ本人が楽しいし見てる側も面白いので結果オーライ。

ABBA(あば)

スウェーデンのポップ音楽グループだけどオーストラリアで時代・世代をあまり問わずものすごく人気がある(私はごく普通のことだと思ってたけどアメリカから来た選手がオーストラリアは特にそうだと言ってたので普通じゃないらしい)。その人気さはサッカー界隈にも濃く現れていて、スタジアムで流れる音楽に入っていたり、Socceroosがロッカールームで歌ってたり、代表チーム(最近だとMatildas)がスウェーデンと対戦することが決まろうものならその対戦相手発表から試合終了まで何度もABBAネタが公式ツイートに出てくることにも現れています。AC/DCの音楽も(オーストラリア出身で)サッカーの場でちょこちょこ出てくるけど多分今ABBAが上回っていると思われる。

AWT(あふがにすたん・うぃめんず・ちーむ)

元々はアフガニスタンで同国の女子代表チームとして活動していたけれどタリバン政権による迫害の危機により母国を離れ、元Socceroosで人道活動家のCraig Fosterをはじめとした人々の導きによりオーストラリアに難民として避難してきた選手達の集まり。離ればなれになることを危惧していたけれどメルボルン・ヴィクトリーがチームまとめて傘下に加えることになり(アカデミーチームのような扱いみたい?)、去年からVIC州のアマチュアリーグ(State League、地区に分かれている)でチームとして活動。最初のシーズンはヴィクトリー女子トップチーム監督のJeff Hopkinsが監督していたことも。
FIFAから国の代表チームとしての活動が認められていなく(なので名前に「national」の語がない)、今はあくまでもクラブチームとしてプレーしている。こちらの記事も参照。

Alino's Bridge(ありのず・ぶりっじ)

Alessandro Diamanti(=愛称Alino)がウェスタン・ユナイテッドに加入してメルボルンに住むようになって以来ほぼ毎日子供たちや犬たちと一緒にGosch's Paddockに散歩に出かける途中で通る(そして写真や動画を撮ってインスタストーリーに上げる)、ヤラ川を渡る歩道橋(Google Mapには「Morell Pedestrian Bridge」の名称で掲載)。もはや隠れたAリーグ名所。チームメイトたちまでその辺りを通るときは真似して写真を撮るようになったり。実際橋の欄干もおしゃれで、 夕方の空をバックにしたメルボルンのCBD(中心街)の景色もまた絵になる素敵なスポットです。2022/23シーズン終了と共に引退を表明したAlinoですが指導者の資格を取って戻ってくるとも言っているそうなのでもはやインスタで日課となっている景色が一時期見られなくてもまた帰ってくることを願っています。
(2023年8月22日追記:帰ってきたよ!)

Unforeseen Circumstances(あんふぉあしーん・さーかむすたんす)

予期しない事情を指すフレーズ。例えば試合が中断したり延期になったりする場合で天候以外の理由で使われる。(天候だと天候だって言うので)。
例としては「グラウンドに穴が開いていたのを埋めるため」「遠征してきたアウェーチームのユニフォームがホームチームが持参したユニフォームと色かぶりするのでホームチームがもう一つのユニフォームを取りにいくため」「アウェーチームが別のグラウンドに行ってしまったため」などちょっとTwitterを探ると割とバラエティに富んだ理由が出てきます。なんか面白い予期しない事情が出てきたら追加しますね。

Easter(イースター)

キリスト教でイエス・キリストの復活を祝う一連の休日。オーストラリアでいうと季節は秋、3月から4月の毎年違うタイミングで発生します。金曜日のGood Fridayはクリスマスに次ぐ最大の祝日扱いでスーパーなんかもほぼ全部閉まる日で、日曜日も大きな祝日とされています。
サッカー的には宗教的な意味合いよりも「祝日」として扱うため試合が開催されます・・・が。
実はイースターにはもう一つ、正教会のイースターがあります。こちらは別の暦に従って決まるので上記のスタンダードなイースターより1ヶ月後に祝います。祝日扱いではないものの宗教的な意味合いはこちらが強く、さらにオーストラリア(特にメルボルン)でギリシャ系移民を始め正教会のイースターを祝う人口が多いことからサッカーの試合のスケジュールを組む際にはより配慮が必要になるようです。

Vuck(う゛ぁっく)

「メルボルン・ヴィクトリーの」という意味がある言葉。ヴィクトリーの選手、ファンなどを指すときに使う。Fから始まるあれではない。
蔑称としても愛称としても使われるいわゆる俗称で、公式で使われることはあまりない。「ヴィクトリー女子の」を指す「Wuck(わっく)」という言葉も見たことあるけど一般的ではない様子。
「Go Victory」と同じ意味で「'Mon the Vuck」というフレーズにも使われる。

Vulnerability(う゛ぁるねらびりてぃ)

弱い部分をさらけ出した状態を指す言葉。アスリートは強い面を公衆に見せるだけでなく時には適切な形で弱い部分や誰もが自信をもってさらけ出すことができない部分なども見せることも大事で貴重、というのがAリーグ2022/23シーズンの隠れテーマみたいな気がします。同性愛者であることとその苦悩を打ち明けたJosh Cavallo、監督としてメルボルンシティを去る時に涙ながらに選手達と話したPatrick Kisnorbo、家族に起こった悲劇を語ったUlises Davila、そして大きな怪我を負ったことやそのリハビリ過程での心情を語った数々の選手、そしてPride Roundに向けたインタビューで自分のセクシュアリティに関するエピソードを話した数々の選手。様々な声を聞かせてくれてありがたいし、それまで皆ひっくるめて愛してこのリーグを応援していきたい。

Werewolf(うぇあうるふ)

日本で言うところの「人狼ゲーム」。Mafiaと呼ぶ人もいる。相手の嘘を見抜くというシンプルさと特別な施設や道具を必要としない、そして人数を問わないことも関係しているのか代表チームやクラブチームでの遠征で流行っている様子。Socceroosでは夜な夜な携帯でメッセージを合図としてかなりの人数で集まって遊んでいたそうです。一回ちょっとでいいから動画撮影してくれーーー

Well trodden route(うぇる・とろっでん・るーと)

Well taken route(うぇる・ていくん・るーと)とも言う、サッカーに限らず多くの人が通る道、つまり前例がたくさんあることを指すフレーズ。オーストラリアのサッカーでいうとAリーグやNPLでクイーンズランド州からメルボルンに拠点を移転してプレーする選手や指揮する監督などが伝統的に多いことを指して使われる言い回しだったりします。監督でいうとAnge Postecoglou監督やJeff Hopkins監督もAリーグの監督としてはブリスベンからメルボルンに来ていますし(ただこの2人は元々の拠点がメルボルン)、選手もNPLまで含めると数え切れないくらい例があります(もちろん女子も含め)。リーグやチームの強さ・競争力が関係しているとはいえ、特にNPLのシーズンである冬場に暖かいクイーンズランドからメルボルンに移るのは少なくとも気候面では大変なこと。それでもフットボールを求めて人は南下してくるようです。何か気の利いた名前をつけたいこの現象。

Ultra Football(うるとら・ふっとぼーる)

シドニーとメルボルンに実店舗があるサッカー用品店。私はメルボルンの店舗に1回行っただけなのですが各種ユニフォームやスパイクなどが買えるだけでなく小さなピッチやレトロユニフォームが飾ってあるスペースやカフェ、イベント・撮影用スペースなどもあってとにかく広いしただのショップではないことにびっくり。Aリーグの開幕イベントもメルボルン店舗で開催されました。小さいながらミズノのJリーグユニフォームを展示している(そしてなぜか自販機がある)部屋も。もちろんオンラインストアも充実で、ヴィクトリーはUltra Footballのオンラインストアを公式ストアにしています。

Excitement Machine(エキサイトメント・マシーン)

ピッチに立つ度にエキサイティングなプレーを披露してくれる選手を指す言葉。「エキサイティング量産機」といえばいいのか、わくわくさせるだけでなく再現度がある程度あるケースについて使います。なので若い選手に対して使われることが多いフレーズではありますが、「machine」であることにはそれなりのハードルがある感覚。女子ではCortnee Vineがクラブ(シドニーFC)・代表両方でそうでしたし、男子ではアデレードのNestory Irankunda(毎回交代で入って5ゴール+その他流れを変えたり)が筆頭と言えます。その勢いをファイナルでどれくらい発揮できるかもまた注目ですね。

Effects Mic(えふぇくつ・まいく)

試合を配信する際にピッチサイドの音声を拾うマイクのこと。選手たちやコーチ陣の(決してやさしい言葉ではない)やりとりの音声を拾ったり、サポーターの応援音声がそういうマイクを通じて流れてくる。場所によっては観客席からも個人の声が放送・配信に流れてしまうので念のため注意。というかNPLの試合やるグラウンドでは監督なりサポーターなりキッズなり結構個人の声がはっきり聞こえることがしばしば。キッズに関してはeffects micだけでなく実況用マイクに入るくらいに話しかけてきたりするし色々面白い。

F-Bomb(えふ・ぼむ)

FとUとCとKで構成される4文字の言葉、およびその派生形全般の放送禁止用語を指す言葉。放送禁止用語だけどサッカーの試合は生放送なのでピー音を入れられない状況でピッチサイドのコーチ陣のF-bombをマイクが稀に拾ったり試合後インタビューで言ったのがそのまま放送されてしまうことがある。
ちなみにTwitterなどSNSにアップする映像ではピー音が足されるけれどAリーグのドキュメンタリーでは編集は入らないようです。人にもよるけど監督たちはピッチサイドでF-bombを多用していることがこの手の映像作品で明らかに。

ちなみにF-bombにかかる動詞は「drop」(落とす)。なんでもそうですがこの手の言葉にもやっぱり個性があってワールドカップ出場が決まった直後のインタビューでうっかり落っことしてしまったりリーグに来て初めての試合の後のインタビューで一つも悪びれることなく勢いよく落としたり、人柄が出るのも面白い。

Aussie DNA(おーじー・でぃーえぬえー)

オーストラリア代表Socceroosの選手に備わる特定の性質のこと。
おおまかに言うと:
(1)追い詰められたとき発揮される強さ、格下の立場での強さ、最後まで諦めないしぶとさ、など
(2)常に仲間のことを思い仲間のために戦う、チーム内の調和と絆を重視する
の2要素に要約されます。本来のDNAとは違ってオーストラリア人の血を引いてなくても個人に備わる性質で、代表チームで活動するうちに養われるような部分も少なからずある様子。
女子代表であるMatildasになると(1)の部分を特に指して「Never say die attitude(ねばー・せい・だい・あてぃちゅーど)」のフレーズが使われますが明言されなくとも(2)が大事なことはこちらも共通。選手も使うフレーズだけど男子・女子とも監督が使用することが一番多く、それが関係しているのかアンダー世代ではあんまり聞かない印象。

Aussie ○○(個人名)(オージー○○)

オーストラリアに帰化した人やオーストラリアの仲間になった人に対して親愛をこめて使う呼び方。最近だと「Aussie Kayla (Morrison)」(アメリカ生まれ、2023年帰化)や「Aussie Bruno (Fornaroli)」(ウルグアイ生まれ、2021年頃には帰化してた)など使用例があり、この2人の場合は「代表チームに選出されて欲しい」とのファンの願いも反映されている。
ただ伝統的によく使われているのは「Aussie Guus」。Guus HiddinckさんはSocceroosの監督だった時期があるだけで帰化はしていないけど「名誉オーストラリア人」というかオーストラリアのサッカーファミリーの一員として選手のみならずArnieもサッカーファンも尊敬し親しみを持っています。GuusさんもSocceroosの場に呼ばれるのが嬉しいみたいでとても微笑ましいです。これからももっとオージー仲間が増えてほしい。

Olyroos(おりるーず)

Socceroosがオーストラリア男子代表のトップチームの名称なのから派生(?)してオリンピックに出るチームであるU23代表はOlyroos。何か変かもしれませんがまあいいやとなんとなくこの名称で通っています。ちなみにSoccerooと同様選手一人のことを指す場合はOlyrooと単数形で。
コロナ禍の直前くらいからがっつりAリーグの若手達が占めるようになって、コロナ禍と共に普段のクラブでの試合出場時間も増えた選手が多くなったりしたと同時に外国移籍してそれなりに試合に出てる選手も増えて段々強くなってきているはず。あとOlyroos→Socceroosのコネクションもしっかり出来てきてこの世代の成長と成功がSocceroosにも貢献しているのが見えるように。
あとSocceroosと同じく人種的にも多様な集まりで、より若い世代なのでそこら辺の傾向を先取りしているという側面もあったり。

カウベル

マッカーサーのサポーターが試合中に応援のため鳴らす楽器。マッカーサーの本拠地Campbelltownの辺りは昔農地だったことがエンブレムや「マッカーサー・ブルズ」の名称の牛テーマの由来。そこから派生してのカウベルですが、まだ歴史が浅くサポーターが少ない状況で応援をスタジアムに響き渡らせるには実は結構便利なアイテム。相手サポーターをいらつかせるのにも有効。正に「鳴り物入り」でAリーグに参戦したクラブ。

公式カウベルは過去にはメンバーシップを購入するとついてきたようですが今は入手方法不明(公式ストアにもないみたいです)。あとCampbelltownにあるホームスタジアムの近くに巨大なカウベルを設置する話もあるとかないとか・・・?

ガードレール


「コンクリート」の項で紹介したニューカッスル・ジェッツとセントラルコースト・マリナーズのF3ダービーをシーズン通して勝ったほうがもらえるトロフィー、女子版。男子は二つの街をつなぐ高速道路(旧称F3、今はM1)の一部のコンクリートだったけど女子はガードレールの一部。もちろん実際のガードレールなので使い込まれた感満載。二つ並べた写真はこちらの記事を参照。
女子はホームとアウェーの2回だけなので引き分けに終わった場合の細則も改めて定めたみたいです。

カップ戦予選

オーストラリアカップの本戦(round of 32以降)はAリーグ勢にとってのオフシーズン(プレシーズン)、NPL以下勢にとってはシーズン中に開催されるシステムなので本戦に出るチームを決める各州の予選は2月に始まります。最初の方の予選ラウンドは下のリーグの戦いから始まって配信もなくAリーグやNPLの応援をしている身としてはあまり宣伝も目に入って来ないまま黙々と進むのですがVIC州でいうとラウンド3,4辺りから私も知ってるクラブの名前が参入してくるようです。(ラウンド4でNPLのトップリーグ勢が参入の様子)リーグと並行なので平日の試合が多いのはわかっていてもちょっと残念。
もちろん各州総クラブ数も32のうち与えられた枠数もその他諸々の事情も異なるのでそれぞれのシステムとペースで黙々と絞り込んでいくのですがいわゆるジャイキリ=Cupsetが起こると他の州でもたまに聞こえてきたりします。ちなみに進捗とシステムの説明はWikipediaが詳しいのでそちらを参考に。

Cult Hero(かると・ひーろー)

どこに行っても誰もが知っているスーパースターとはちょっと違った、一部で根強い人気を誇る人物のこと。Aリーグは辺境でニッチな感がどうしてもあるリーグの性質も関係してAリーグ出身のリーグ内で有名な選手の多くにカルトヒーロー的な性質があります。Craig Goodwinなんかも「アデレードのカルトヒーロー」なんて言われることが少なからずあるけどワールドカップで優勝国・準優勝国に点入れた(アルゼンチンはオウンゴール誘発でしたが)選手はもちょっと広い視点の称号をあげても良いような気がします。Jason Cummingsは世界中で万人ウケするわけじゃないキャラも考慮してセントラルコーストの、そしてオーストラリアのカルトヒーロー感は少なからずあるかなあ。(※言葉の解釈含め全て個人の見解です)

Kitchen Sink(きっちん・しんく)

特に試合終盤になってどうしても点を取らなきゃいけない、という場面に火事場の馬鹿力的な感じで怒濤の攻めを見せる様子を表す言い回しに:
・キッチンシンクを投げる(throw the kitchen sink)
・キッチンシンク以外の全てを投げる(throw everything but the kitchen sink)
という2種類の言い回しが使われます。前者は質量がすごくて後者は数量がすごいイメージ。
Aリーグでも(最終結果への影響はともあれ)キッチンシンクを投げることができるチームとそうでないチームがあったと思ったのですが、最近は結構みんな投げられるようになったのか2023/24シーズンはアディショナルタイムにかなり多くの点が入っています(過去最高数)。

Cap Number(きゃっぷ・なんばー)

オーストラリア代表トップチーム=SocceroosやMatildasに選出され試合に出た選手たちがデビューの順に付けられる通し番号のこと。実際に記念にキャップをもらえる(かなり後になって授与される場合も多い)。そしてキャップナンバーをタトゥーとして入れてる選手も多い。
現在Socceroosのキャップナンバーは600を超え、Matildasは200を超えています。例えばMaty Ryanは555番で、Sam Kerrは168番。ちなみにMatildasのキャップナンバー1番のJulie Dolanさんは今も元気で女子サッカー関係のイベントとかによく出席していたりオーストラリアの女子サッカーに関わる人達には結構身近なレジェンド。

Cannon(きゃのん)

(1) 大砲のこと。セントラルコーストのホームスタジアム(Industree Group Stadium)には大砲があってホーム側が点を入れるとぶっぱなす慣習があります。といっても砲丸を発射するだけでなく音と煙だけなので安全。ただ安全とはいえ相当の音量だそうで、長年Aリーグ周りでメディアに関わっている人でも毎回びっくりするとの話も。もう10年も続いているセントラルコーストの伝統。
(2) 実は人名(ファーストネーム)でもあります。ニューカッスル・ジェッツ女子に2022/23シーズン加入したCannon Clough(きゃのん・くらふ)という選手がいる。

Character(キャラクター)

Aリーグで成功するにはもちろん成績や数字の部分も大事ですがいかに自チームのサポーターやAリーグのファン、このリーグに関わる色んな人に愛され、記憶に残り語り継がれるかというのも同じくらい大事なことだと思います。いつでもファンは「Big Character」を望んでいる風土があって、ピッチ上でのプレーそのものだけでなくそのプレーに現れる、そして周りの人間やサポーターとの交流、そしてSNS投稿やインタビューに現れる人間性までひっくるめて愛せる選手や監督がリーグに居るのが一つの理想としてあるようです。
そういう意味でこの項を書いている今一番成功しているのがセントラルコーストのJason Cummings。スコットランドでうまくいかず夢を追ってオーストラリアに来てゴールアシストだけでなくそのやんちゃなところまで本人も周りも楽しんで広く愛され、というのは私が知る限りAリーグいちの選手とリーグのラブストーリーだと思います。(彼が主役のA-Leagues All Accessエピソードも見てね!)
ちょっと違う方向性で言うとウェスタン・ユナイテッドの今井選手が人気があるのも試合やこのリーグへの向き合い方だけでなくその笑顔や笑い方、グランドファイナル前にオーストラリア国歌を練習したエピソードや優勝したときの喜び方なども大きく関係しています。
Aリーグにはまず基本として、そしてこれからずっとそういう風に選手(に限りませんが)が自分らしく表現できてキャラクターが愛されてという場所であって欲しいです。

Club Championship(クラブ・チャンピオンシップ)

Aリーグ男子・女子両方にチームを持つクラブが対象となるコンペティション。男子のリーグ、女子のリーグそれぞれでの勝ち点を合計した順位を競うシステム。クラブとして、サポーターとして男子チームだけじゃなく男女どちらのチームも大事にして応援すること、そしてチーム内だけでなくクラブとしての文化を育てる試み、で合ってるかな。
対象外になるクラブはキャンベラ(女子のみ)、セントラルコースト、マッカーサー(男子のみ)・・・ですが、2023/24シーズンからセントラルコーストも参戦予定。
そもそも前からAリーグは割と同じクラブの男子と女子のチームで似通うところあるな、と思うのですがシーズン中の調子に関しては(特にコロナの影響があった最初のシーズンは)男子と女子で全く違ったりするので優勝するのはかなり難しいコンペティションであり、途中経過からもなかなか予測しにくい。
そんな中第1回(2021/22シーズン)に優勝したのはメルボルン・シティ。難しいとは言いましたがそりゃそうだよね、男子も女子も順当に一貫して強かったから。シドニーは女子がほぼ無敵でも男子がファイナル圏外だったし、各クラブの男女どちらががんばって引っ張ってるかも興味深い。ちなみにヴィクトリーは男子も女子もそれぞれちょっとずつこけて勝ち点落とした期間がありました(苦笑)シティは今期も男子がすでに好発進してるしその牙城を崩せるクラブは現れるのか。

クラブの別名

オーストラリア各地に昔からあるサッカークラブは様々な国から来た移民が集まり設立したもののため、本来つけられたクラブ名にはその名残がありました。クロアチア系だったら「Hajduk」や「Dinamo」、イタリア系なら「Inter」や「Juve」、ギリシャなら「Hellas」など。
ただこういった特定の国を連想させるクラブの名称は排他的になる可能性があるとの理由で使用できなかった時期もあり、様々なクラブが名称を変更することとなりました。例えば現在「Sydney United 58」と呼ばれるクラブは元々は「Sydney Croatia」という名前でした。
ただ正式な名称で使えなくても通称としては旧称が普通に使われていて、サポーターが会話で使うだけでなく実況解説でもよく呼称として聞きます(私は主にそこから知った名称が多いです)。あとエンブレムやユニフォームのカラーリングとかにその元ネタの名残が残っているところも多かったり。
今ではそのルールもすっかり緩和されましたが通称で使ってることもあってわざわざ元の名前に変えるケースは(少なくとも身近では)あんまりない様子。でも「Moreland Zebra」は「Brunswick Juventus」に名称変更したみたいです(地名も変わってるというツッコミはおいといて)。

Grand Final(ぐらんど・ふぁいなる)

Aリーグ(および一部の州のNPL)でレギュラーシーズンに行われる勝ち抜き形式のファイナルシリーズを最後まで勝ち上がった2チームにより争われるシーズンの正真正銘最後の試合。(もちろん1位vs2位になるわけではない)
グランドファイナルに勝ったチームが「Champion」となる(リーグ首位フィニッシュは「Premier」)。
もともと何が起こるか分からないところが多めのAリーグなのでグランドファイナルもまた蓋を開けてみないとどうなるかわからなく、過去を見ても(結果でないところも含め)様々なびっくり展開が起こっています。
なお、グランドファイナルは「the Big Dance」や「Granny」など色々な別名で呼ばれることもある

Gridal(ぐりだる)

2023年7月にサービス開始された1日1問タイプのAリーグ(男子)クイズパズル(問題は毎日日本時間朝に更新)。リンクはこちら。9つのマスにタテとヨコの条件に当てはまる選手をあてはめるクイズで、同じ選手を複数のマスに使うことが出来ない他ルールがいくつかあるので解く前に(i)のアイコンからチェックするのがおすすめ。あとルールの隣のグラフアイコンでは難易度や該当する選手の人数を見れてこれもヒントになったり。Aリーグについての知識と記憶を試されるなかなか楽しい日課です。あとTwitterのハッシュタグ「#gridal」では僅かに条件に合わなくてハズレになった人たちの苦悶(私含む)も見れます。色々難しいポイントはありますがマッカーサーとジェッツは在籍選手があやふやな人が多い印象で、今はなきクラブのことはそもそも知らないよって人も結構いたり。

Grey Wiggle(ぐれい・うぃぐる)

大陸間プレーオフ、ペルー戦の活躍でSocceroosをワールドカップ出場に導き世界的に有名になったシドニーFC所属「踊るゴールキーパー」Andrew Redmayneの愛称。世界的に有名、というよりペルーでは国民の敵扱いされたり色々とネタにされたり、両サイドでちょくちょく蒸し返されるあたり好かれてるんだか嫌われているんだかイマイチ不明だけど本人はペルーは出禁の扱いでいるそうです。
ゴールキーパーとしてもそこそこ大きい身体にその頭が2倍くらい大きく見えるような量のあごひげ、それに加えてペナルティキックを待ち構えるときの踊るようなコミカルな動きまでセットで彼の武器。Aリーグの環境だと超人的なGKにちょっと並べない感はありますがそれでも偉大なシドニーの守護神。
(2023年8月22日追記:PKでゴールを守る時の動きに制限はかかりましたがオーストラリアカップでのPK戦でもまた主役やってました。なんと止めるだけじゃなくて蹴れる。)
オーストラリアで長年人気がある子供向けバンド「the Wiggles」が由来のニックネームで本家にも公式に認められユニフォームであるキャラクター色のタートルネックを贈呈されたりテレビ出演もしましたが、実はRedmayneがグレーを纏うのは珍しいこと。ワールドカップでは水色、シドニーではピンクや黄色などゴールキーパーのユニフォームの性質上キャラクター色が安定しなく、ニックネームもその時の色に応じて変わる仕様。

Cross-cum-shot(くろす・かむ・しょっと)

選手が蹴ったボールがクロスなのかシュートなのかよく分からない時に使う言葉。特にオーストラリアに特有なフレーズではないけどAリーグ女子(およびオーストラリア・ニュージーランドの代表チーム)ではまあまあの頻度(シーズンに1回は確実)でこういうゴールが発生して実況席からTwitterまで「あれはクロスだったのかシュートだったのか」とちょっとした論争の種になる。選手自身に聞くと大体シュートだったと言う例外もあり)。

Chaos League(けいおす・りーぐ)

試合の結果やハプニングなど予想できないことよくわからないことが色々起こるリーグのこと。
オーストラリア周りでは:
(1) Aリーグ男子
(2) Aリーグ女子
(3) NPL VIC州の2部リーグ(NPL2 VIC)
などにその傾向が現れやすい。特に(3)は慢性的にカオス
また、ファイナルシリーズとそれによるチャンピオンのタイトルの存在により、リーグで安定的に首位フィニッシュしてもチャンピオンがどうなるかわからない、みたいな傾向もあり(実際チャンピオンの連覇はこれまであまりない)。
ただその予測できなさがこれらのリーグの魅力でもあるので是非一緒にカオスを楽しみましょう。

Coaching badge(こーちんぐ・ばっじ)

指導者の資格・ライセンスのことをカジュアルに言う言葉(もっと正式だとbadgeじゃなくてcertificateとかqualificationとか言う)。Aリーグのオフシーズンの時期を中心にオーストラリア内でも指導者になるための各種コースが開催されPFAのSNS投稿にその写真がアップされますがその写真を見て知ってる選手(とその選手モードのときと違う姿、そしてチームの垣根関係なく共に学ぶ姿)を探すのが個人的にちょっとした楽しみになっています。外国人選手でもオーストラリアで指導者のコースやってるのを見ますが欧州に戻ってUEFAのライセンスを取る人ももちろんいます。
あとあくまで「Aリーグの」オフシーズンのためNPLで既に監督をやってる人がさらに上のライセンスを取得する過程でスケジュールが指揮するはずの試合とかち合ってしまうケースも見られたり。

コーヒー

サッカーに関わらずオーストラリア人はコーヒーに特別うるさく、(おそらくエスプレッソの本場イタリア以外では)オーストラリアのコーヒーが一番おいしいと思っています(特にメルボルン人)。
なので代表チームの合宿でも美味しいコーヒーは嗜好品でなく必需品に近く、あるだけで選手(およびスタッフ)のQOLが上がるアイテム。
東京五輪では選手村にコーヒースタンドがあるのを選手達が毎日利用していましたし(特にイギリスでプレーしているMatildasの選手は重宝していたそう)、カタールW杯ではSocceroosのキャンプにバリスタが常駐、とその重要さが窺えます。

選手それぞれ飲み方の好みはばらばらだけどコーヒーを飲まない人を含めおいしいコーヒーの周りで一堂に会するのは多文化のオーストラリアという国、そして代表チームをある意味表すようなところがあります。
海外からAリーグに来る選手たちにもオーストラリアのコーヒーは人気で、カフェ行きを趣味にしたりコーヒー作りを学んで帰ったりこれまであまりコーヒーを飲む習慣がない人も飲むようになったり、サッカー選手の生活とオーストラリア体験を静かに支えているようなところがあったりなかったり。

午後3時キックオフ

Aリーグ、特に女子では1日にある試合のうちなるべく多く(=2試合)家族連れにも来やすい時間帯におさめるため(と思われる)に早いキックオフを午後3時、次の試合の枠を午後7時に設定することがたびたびあります(時差により色々差はあり)。
ただAリーグは春~秋に開催されるので特に夏は午後3時キックオフは炎天下の厳しい環境になることも多く、一応天気予報を基に試合を動かして良い最高気温が設定されてはいるようですがその気温に達しなくても十分暑く、屋根のないスタジアムやグラウンドでは日陰も少なく。しかも暑い日は気温のピークもだいぶ遅くなる上日没も遅いので実は午後5時キックオフでもしんどいときもあります。
暑い中でのプレーはスピードも落ちますし何より選手のコンディションや安全や健康に良くないため、主に監督からなるべく遅い時間にして欲しいとの声がありますがなかなか変化がこない部分です。
観客の皆さんも午後3時キックオフの試合を見に行く時は日焼け止め・帽子・サングラス・水分補給など日差し対策を忘れずに。

Gosch's Paddock(ごっしゅず・ぱどっく)

AAMI Parkの隣にある開けた土地。多分分類としては「公園」。その名の通り元々は牛を放牧していたエリアだったようですが、今は午前中はスポーツチームの練習場としても使われています。メルボルン・ヴィクトリー男子の練習場であるだけでなく、オージーフットボールのMelbourne Demonsも使っていてなんとかお互い区分けしてやりくりしている様子。本当は自分たちがのびのび使える練習の場所があるといいんだけどなあ、とお互い思ってるだろうなあ。
午後は普通に一般人が公共のエリアとして使ってて犬もよく散歩しています(Diamanti家もよくここで遊んでます)。あとメルボルン・ヴィクトリーは公開練習や試合前のイベントエリアなどとしてももGosch's Paddockを使っていてなんだかんだで親しみのあるエリア&ホームの一部という認識は少なからずあるかな。
ちなみにGosch's Paddockの奥(AAMI Parkと別名Alino's Bridgeの歩道橋の近く)にはフェレンツ・プスカシュの銅像が(サウスメルボルンで監督やってた時代の功績を称えて)ひっそりと立っています&ポケストップになっています。

Comms(こむず)

実況・解説(席)を指す言葉。実況を担当する人が「I'm on comms for ○○ tonight」と言うと今夜○○の試合の担当ですよ、という意味。Aリーグ公式から誰がどの試合を担当するか発表はなく実況や解説の人が各々事前(ほぼ直前)にTwitterで言及するパターンが多いので試合前に知りたい場合は個々のアカウントを参照のこと。
Aリーグの試合の配信では試合が開催されるスタジアムやグラウンドの放送席を使うこともあれば大本の放送局であるChannel 10のスタジオの実況室を使う場合も。
実況・解説の面々も長いことこの国のサッカーを支えてきたベテランから海外から帰ってきた人、選手を引退してこの道に進んだ人、NPLの実況解説での働きが認められて拾い上げられた人(特に女子の方で)など選手の道筋と似た多様な面々が揃っています。是非知って欲しい面白い&素晴らしい人がたくさんあるのでいつか紹介できるといいな。

Commentator's Curse(こめんてーたーず・かーす)

サッカーの試合を実況していて実況(や解説)の人が特定の選手を褒めるとその選手がちょっととちったり、試合の流れに関して話したことがフラグになったりなどを指す言葉。Aリーグをレギュラーで実況している人達はcommentator's curseが起きると自分でさらっと話のネタにしてしまうことが多いので割と頻繁に出てくるフレーズ。ちなみにcommentator's curseのフラグはあくまでも小さいものがほとんどで試合の大勢に影響しないことが多い。

Call-up(こーるあっぷ)

招集されること。クラブでも使うけど(ユースの選手がトップチームに招集されたり)特に代表チームに招集されることに対してよく使う。監督(ならびにスタッフ)から電話がかかってきたりメッセージが来たり連絡の手段はいくつかある様子(時差があるケースも少なくない)。ワールドカップを筆頭とした大きなトーナメントでのcall-upでは招集された選手の反応なんかも話題になることもあり、号泣したり思わず笑ってしまったり、あと監督からの招集の電話で歌を歌う羽目になるレアケースもある。

コンクリート

2022/23年シーズン以降、セントラルコースト・マリナーズとニューカッスル・ジェッツの間の「F3ダービー」のレギュラーシーズン3試合の総合結果で勝った方に授与されることとなったトロフィーの材質。
実物:

そもそもF3ダービーというのはセントラルコーストとニューカッスルを結ぶ道路(旧称F3、今はM1あるいはPacific Motorway)にちなんだ名前でこのコンクリートの柱もその道路の一部だったもの。もともと田舎同士、小さいクラブ同士のライバル関係で何かもらえなくても十分盛り上がるダービーですが、勝った方に何かあると良いかなということで導入されたそう。かなりローカルでニッチで決して輝かしくないこの2チームのバトルにはある意味相応しいしコミカルなところも含めて楽しいアイディアだと思います。
(2023年10月14日追記:セントラルコーストの女子チームが復活したので女子版F3ダービートロフィーできました。「ガードレール」の項参照)

The Simpson(ざ・しんぷそんず)

アメリカ発の今や長寿アニメ番組。時代の様々な移り変わりに伴い昔ほど人気はなくなりましたがネットではGifやミームとして根強く定番ネタで、オーストラリアのサッカー界隈でもそれは例外ではありません。(ざっと見た限りthe Simpsonsとドラマthe Officeがジャンルツートップな気がします)
その他にもJackson Irvineの足のタトゥーにMoeがいることが有名だったり、作中の偽のオーストラリアの国旗が試合のグラウンドに掲げられたり、さらには実況にまで入り込んできたりもするので子供のころ観といて良かったなあと地味に思っています。

Soccer Ashes(さっかー・あしゅず)

昔々オーストラリア男子代表とニュージーランド男子代表が1923年に試合をしたときこの2カ国の試合を定期的にトロフィーをかけて戦うようにしよう、とその試合の後に両チームのキャプテンが一緒に葉巻を吸ってできた灰を金属ケース(ガリポリ作戦にも関係してるアイテムなのでさらに豪NZにつながりがある)に収め、それをさらにオーストラリアとニュージーランドの木でできた木箱に収めてトロフィーとした、それがSoccer Ashes。
1920年代から50年代くらいまでこのトロフィーは使われていたそうですがその後突如紛失、そして70年もの時を経て、Socceroosの100周年と偶然時を同じにして再発見されました。なんでも保管していた人が亡くなって遺族の方々はそういうサッカーの歴史的に大事なものがあるということを知らずに他のサッカーの諸々物品とともに放っておいていたらしいです。

現代のサッカーの国際マッチスケジュールで(所轄地域が違う)オーストラリアとニュージーランドがどれくらい定期的に試合できるかわかりませんがこの2カ国の友好関係はずっと大事にしたいとお互い思っています。ということで2023年10月17日、場所はイギリスになりましたがSoccer Ashesを巡る試合を行うことに。次回は地球のこっち側で試合できるといいな。

The Ditch(ざ・でぃっち)

溝のこと、転じてオーストラリアとニュージーランドの間にある海のことを指す言葉。地理的にいうとタスマン海(Tasman Sea、またはthe Tasman)のこと。コロナ禍が(少なくともサッカー方面では)明けてまた両国間を選手やチームが代表戦やAリーグの試合で行き来するようになったけどこれが意外と遠いことをみんな思い出しつつある。
豪NZ間を移動することを「across the ditch(あくろす・ざ・でぃっち)」と言う他、オーストラリアとニュージーランドがお互いの国のことを「our friend across the ditch」、つまり海の向こうの友(お隣さん)と親しみを持って呼ぶことも。これからもサッカーで共に手を取って一緒に成長していけるといいなと願っているのは私だけじゃないはず。
ちなみにニュージーランド訛りでは「i」が「u」寄りの発音になるためちょっとだけ「the Dutch」に近く聞こえる。

Surfing(サーフィン)

Aリーグの男子も女子も趣味がサーフィンだという人は結構います。オーストラリアの主要都市のほとんどは海岸沿いでサーフィンで有名なビーチも数多くありますが(Bondi beach、Terrigal、Newcastleなど)、メルボルンの場合サーフィンに良いビーチ(Bells BeachとかTorquayとか)はちょっと距離があったりするので近年メルボルン空港の近くに出来たURBNSURFという人工サーフィン施設を利用する選手も多いようです。(どんな施設かはA-Leagues All AccessのLachlan Wales君の回参照)
あとNZ代表のGrace Jaleに関してはキャンベラに所属してたときは内陸で近くに海がなかったのでわざわざ4時間もかけてサーフィンに行ってたとのエピソードも。海はQOLに関わる重要な要素ですね。

Son of a Gun(さん・おぶ・あ・がん)

すごい選手の息子を指す言葉。最近はAリーガーの息子の2世Aリーガーが出てきましたがその中でもU20代表=Young Socceroosで活躍しているBernardoとRaphaelの2人は父親のCassioとCristianoがAリーグの試合でリンクした15年後に息子同士アシストとゴールでつながることに。

ちなみに同じくYoung Socceroosだと(現在Aリーグ所属ではないですが)Gabriel Popovicも現ヴィクトリー監督のTony Popovicの次男でAリーガー2世。ただ父親のポジションと本人の活躍両方関係しているのか前述の2人よりson of a gun感がちょっと薄いかも。
もっと下の世代にもson of a gunがもっと出てきそうなことを風の便りに聞きますがそこら辺は数年後に追記できるといいな。
2023年12月3日追記:Son of a gun増えてる!Aリーグのみならず海外拠点のSocceroos黄金世代の息子達がアンダー世代代表にもちらほら。

'G(じー)

Melbourne Cricket Ground(めるぼるん・くりけっと・ぐらうんど)、略してMCG、それをさらに略して「the 'G」。
その名の通りクリケットをやるための丸い形のスタジアムで、冬季は主にオージーフットボールのスタジアムとしても知られますが収容人数10万人ということで観客数がたくさん見込める海外クラブの試合や過去にはSocceroosの試合もここで開催されました。
もちろんピッチの質や円いがための観客とピッチの距離など問題はありますがサッカーの場としてだけでなくスポーツ全体の場としても歴史があり、そこから派生してサッカーでもある意味「聖地」に近い見方をされることも。

時差(じさ)

オーストラリアは国の中でも地域によって時差があって、しかもAリーグの場合ニュージーランドも絡んでくるしリーグの時期は夏時間とそうでない時期をまたぐので改めて考えてみるとかなり難しい。

例えば12月のクリスマス前に固定されている(=夏時間の)土曜日の19:45にキックオフのメルボルンダービーの場合、各地でのキックオフ時間は:

ウェリントン:21:45
シドニーとかメルボルンとか:19:45
アデレード:19:15
ブリスベン:18:45
ダーウィン:18:15
(日本:17:45)
パース:16:45

となります。これが5月のグランドファイナル(=標準時)が仮に19:45キックオフでメルボルンで開催される場合だと:

ウェリントン:21:45
シドニーとかメルボルンとか:19:45
ブリスベン:19:45
アデレード:19:15
ダーウィン:19:15
(日本:18:45)
パース:17:45

ややこしやー。特に30分単位で違うやつ。ちなみにパースとウェリントンは夏時間ありで5時間あるのでDistance Derbyはアウェーで自宅観戦がどうしても変な時間に。
もちろん選手の移動にも場合によっては色々影響があったり。
でも通常は各クラブ自分の州の時間帯で情報発信しますし州をまたいで動き回る場合でも結構みんな普通に過ごしてなんとかなっています。
ただ時差があることで試合同士があまりかぶらずそれぞれの地域の良い時間で放送できたりもしますし、うまいこと計画すればウェリントンから始めてパースまで「丸1日Aリーグ三昧」みたいなこともできそう(2023/04/02追記:実現しました!)。一応Aリーグのトップもそういう特別な試合日を考えに入れてはいるとの噂もありますが。
さらにこの時差結構ある問題は豪・NZ共催の2023年女子ワールドカップを放送・配信で観る際にも注意が必要です(7月8月なので標準時を参考に)。

J(じぇい)

オーストラリアのサッカーに関わる人間の名前(地名も?)で読み方がケースによってばらばらで文字で見るだけではなかなかわかりづらいアルファベットの文字。
基本的にはその人の名前の言語的背景によるけど英語化した読みを使ってる人もいない人もいるので実況・解説・インタビューを担当する人はチームが場合によっては出してる選手の発音表だったり本人に聞いたりしてしっかりチェックするのが必須。それでも複数通りの発音がまかり通ってるのは選手本人があんまり気にしてないケースも少なくないぽいです(ここら辺が結構オージーというかわざわざこの記事に項を立てる理由だったり)。
ちなみに私個人の対応は基本文字では英語綴りで書いて発音は実況のSimon Hill氏準拠で統一しています。
特に「J」に関しては:

ヤ行(例:パース男子のKeegan Jelacic=きーがん・いぇらちっち)(旧ユーゴ系の名前などに多い)
ジャ行(例:キャンベラ女子のGrace Jale=ぐれーす・じゃーれ)(実は名字としては結構少ない。でもファーストネームとしてはジャ行が圧倒的に多い)
ハ行(例:アデレード男子のJuande=ふあんで)(スペイン語系ではこちら)

あたりに大まかに分かれています。Juandeはともかく後の2人はこれから代表チームとかに呼ばれたらAリーグ外の人が発音間違える確率が高い名前だと思います。

GIF(じふ)

SNSなどで感情やリアクションを表現するのに使われる。Aリーグ各クラブではシーズン始めに各選手のGIFスタンプを制作するところもあるのでクラブ名で検索してみると面白い。Aリーグの歴代名プレー・珍プレーも結構GIF化されてるけどどうやらウェスタン・シドニー・ワンダラーズがこういう方面に目立ってマメらしくGIPHYで「A-League」で検索すると出てくるGIFの半分以上がワンダラーズ関係(特に初期)だったり。
非公式GIFでは監督のGIFもあるけどリアクションに使いやすいのはArnie関連が多い印象。
あとメルボルン・ヴィクトリー公式は勝ち試合の後に調子に乗って不定期にGIFを使ったマッチレポートをアップすることがあります()。遊んでる?遊んでるかも。

Shoey(しゅーいー)

靴の中に飲み物(=ビールなどのお酒)を注いで飲み干すこと。めでたい場で行われる。もちろんそのために新品の靴を使うのではなく履いたやつで飲むんですよ。元々はヨーロッパの習慣だったらしいけど今の時代ではほぼほぼオーストラリア人がやってる。
サッカー関連でもこの通り。

そういえば2023年のプレシーズンでイギリスから来たプレミアリーグの選手に点決めたらやってっていってやたくだりもなかったっけか。強要はいけませんがせっかくオーストラリアに来たなら、というノリでお客さんにやらせてる場合もあるようです。

Ginger(じんじゃー)

(1) ショウガのこと。
(2) 髪の毛が赤い人、赤毛の人の事を指す言葉。オーストラリアは他の国と比べて人口に対する赤毛人口が特別多いわけではないけどAリーグ選手の赤毛率は結構高い気がします。赤と一口に言っても金髪に近い色やオレンジやもっと濃いオレンジまで色々。
髪の毛が(おそらく生まれつき)赤い選手の例:Mustafa Amini(パース男子)、Cortnee Vine(シドニー女子)、Josh Brindell-South(ブリスベン男子)

(3) 痛そうにしている様子。選手が地面に倒れて痛がっていると実況や解説で「He/she looks a bit ginger(またはgingery)」などと言ったりする。
ただ(2)の意味もあるため髪の毛が赤い選手が痛そうにしていると意図せずダジャレになってしまって実況席での隣の人から高確率でツッコミが入る。

Starstruck(すたーすとらっく)

スーパースターに直接会って舞い上がる様子のこと。オーストラリアのサッカー選手だと女子ではあまり見られないけど男子だと結構ある。子供の頃から憧れていたチームやその選手と対戦すると負けて悔しくてもユニフォームをもらったり写真一緒に撮ってもらいに並んだり、同じオーストラリアの代表の先輩でも直接会ってちょっと緊張したり、同じ舞台に立って堂々としてるかと思えばピッチ外では結構みんなかわいいところがあるんです。
海外で長くプレーしてきたJackson Irvineでもこの通り。

女子、特にMatildasでは世界的なスーパースターとかとは距離が近いし本人たちもかなりスターだからかこんな様子はなかなか見られません(笑)

Staj(すたじ)

現フィリピン女子代表監督のAlen Stajcicのこと。この辞典で扱うことからわかると思いますがオーストラリア人です。2023年女子W杯に向けて急速に存在感を増しているフィリピン女子代表を予選通過に導いた立役者ですが、その前にはMatildasを前回W杯に導いたり(その後本大会までに色々あって色々ありましたが詳細は私が語ることではないとだけ)、今のセントラルコースト(男子)の成功の礎を築いた人でもあります。この項目を書いてる現在Aリーグ女子にはフィリピン代表選手が3人いますが何らかの形で導き手にはなってるのかな?あとAリーグ公式のファンタジーフットボール(女子)の各節の成績優秀者お知らせメールで名前が出てきたので(笑)少なくとも女子の方のファンタジーフットボールはやってるみたいです。国内でその監督としての手腕と成功が楽しめないのは残念ですが繋がってはくれてるようで安心。
(2023年8月22日追記:女子W杯の終わりと共にパース男子の監督に就任しました)
2023年9月23日追記:パースの男子チームの監督になったにも関わらずパースの女子チームの方にフィリピン女子代表の選手2人や実の娘を引き寄せる一風変わった人間磁石として機能している様子。

Statue(すたちゅー)

銅像のこと。Aリーグ周りも記録を更新したり国内・国外で偉業を達成するサッカー関係者が増えてきてファン・サポーターが「スタジアムの外に銅像早よ!」と声を上げる機会がだいぶ多くなってきました。とはいえオーストラリアでサッカーのクラブやチームがスタジアムを所有しているケースはごく少ないこともあって難しい。でもそもそもこの国にサッカー関係者の銅像なんてほとんどない(AAMI Parkの近くのプスカシュさんを除く)のでそろそろ偉業を称えて銅像という形で残したいという声も大きくなるというもの。
特にブリスベン・ロアー女子とMatildasの現役レジェンドのClare Polkinghorneに関しては大分前からファンによりSuncorp Stadium周りに銅像を建てろと要望が上がっていますが、基本そういうものは引退後にするものという意見もあり本人が「じゃあずっと引退しない」と返したそうなのでいつ実現するかは不明。

Stacked(すたっくど)

チームを構成する選手の並びに強カードがたくさん揃っている状態を指す言葉。Aリーグ2023/24シーズンにおいてはヴィクトリー男子のベンチを形容するのにたびたび使われたりしていますが、AリーグよりNPLのシーズン開幕前の補強で元Aリーグ選手がいたり海外から意外な補強があったりNPLで名を馳せた選手たちが並んでいるチームを見て「これはstackedだな」と思うことが多々あります(それもNPLだけじゃなくてその下のリーグも含め)。セミプロのシーズンだけでなくオーストラリアカップまで楽しみになるというものです。

スタッツのおっちゃん

私が勝手に使ってる名称ですがTwitterのオーストラリアのサッカー界隈でちょっと有名なAndrew Howe氏のこと。アデレードで人口統計のお仕事をしている方で、Aリーグだけでなくその前身であるNSL、さらに各代表チームなどにおいて広くニッチな数字のデータをつぶやいてくれる人です。試合配信で実況解説が参照・言及したりすることも。毎シーズンAリーグ(男子・女子)のガイドも作成していますしこんな本こんな本も出しています。
Twitterでの通常のつぶやき以外に寄せられたニッチな質問にも答えたりしていることがたびたびあるので「ツイートと返信」のタブもちょこちょこのぞかせていただいています。
「(Ben) Oldが(Jamie) Youngが守るゴールを破ったことがない」とか「3人同時に交代で入った選手の誕生日が26日差」とか勝ち負けに関係ない数字をものすごく楽しみにしてくれる人です。ただ私が一番好きな数字はこの記事の「ロケット」の項に引用してあるやつ。

Spew Kit(すぴゅー・きっと)

オーストラリア代表Socceroosが1990年から1993年に来ていた色んな黄色や緑がカモフラっぽくあしらわれた模様のホームユニフォームのこと(この記事の最初の写真)。Spew=吐瀉物のことですがあくまでも愛情を持って使われる名称。「最悪のユニフォーム」的な記事にちらほら載ってるのを見ますがファンの間では20年以上経った今でも歴代Socceroosユニフォームでトップクラスの人気を保っています。似たような方向性のユニフォームでは女子代表Matildasが2019年フランスW杯で着たもの(こちらの記事参照)がありますがこちらは白も混ざったペイント柄といったところ(私はほうれん草の入った卵焼きみたいといつも言っていますが)。私はこのユニフォームが今の所一番好き。女子はW杯イヤー、男子はそのうちアジア杯がありますが柄物のユニフォームは採用されることがあるかな・・・?(他には先住民のアボリジニアートが採用されるのを見てみたい)

背番号(せばんごう)

Aリーグでは特に背番号に制限のようなものはあんまりないため変わった背番号がよく見られる印象。
ファーストチョイスのGKが1番じゃないケースもかなり多いし90番台の番号も特に2022/23シーズンは多め。中には由来あって選んでいる人もいるのでこだわりがあるなら知りたいところ。でもNeil Kilkennyの88番みたいにすっかり定着して他が想像出来ないケースもある。
余談ですがゾロ目の選手が多くなる組み合わせはAリーグ男子のウェスタン・ユナイテッドとマッカーサー、という誰得情報もどうぞ。

特に女子(そしてその中でも特に女子の代表チーム)では意外なポジションの選手に意外な番号が振られていることも多く、その中でもMatildas(現アーセナル女子)のSteph Catleyが左サイドバックながらクラブでも代表でも好んで7番を付けているのはオーストラリア国内ではすっかり定着している例(ちなみにオージーフットボールの選手由来のチョイスだそう)。
女子代表といえば東京オリンピックではかなりきっちりな背番号のルールがあったため普段20番を好んで使うSam Kerrが「2番」を付けることとなったのは今思い返しても収まりが良くない。

Centre of Universe(せんたー・おぶ・ゆにばーす)

「世界の中心」という意味で、セミプロリーグであるVIC州のNPL(National Premier League)を指すフレーズ。誰が言い始めたかはわからないけどブリスベン・ロアーの監督だったWarren Moon監督がQLD州のNPLに携わっていた頃のこのリーグの評判を引き合いに出してこのフレーズを使ったことからVIC州のNPLのファンの間でもかなり広く使われるように。おそらく男子リーグの話だっただろうけど女子もそんな雰囲気があるような気がします。
「Well-trodden route」の項でも紹介したようにQLD州からこっちにやってくるサッカー関係者の多さも関係していると思われるけどそもそも各州のNPLの中でもレベルが高く伝統的なビッグクラブが多くオーストラリアカップでの存在感も強く、選手の移籍などでもAリーグと関係が深いことなどが要因かな。VIC州在住者としてはこの州が中心じゃないのはちょっと想像しにくいなあ。

Central Coast(セントラルコースト)

オーストラリアの東海岸、NSW州の南北方向の真ん中ほどに位置する海沿いの地域のこと(先住民の言葉での名前はDarkinyung)。NSW州の真ん中だからそう呼ばれるのか、それともシドニーとニューカッスルの真ん中だからそう呼ばれるのかについてはちょっと記述が見つからなかった。実際の町の地名としてはセントラルコースト・マリナーズのスタジアムがあるGosfordの他に太平洋に面するTerrigal、湾の内海沿いのWyongなどを含むそう。
「間の地域」的な性質からかオージーフットボールやラグビーなどが定着せず、サッカーが伝統的に強かった地域。シドニー周りの地域からマリナーズに来て頭角を現した選手もたくさんいたり、最近はこのあたりの地域で生まれ育った若手の主力選手も増えてます。あと近い町がニューカッスルくらいしかないのでAリーグでもニューカッスル・ジェッツとは近い地域同士のダービー(F3ダービー)がライバル関係としてあります。
観光は海関連、アウトドア関連、ワイン関連など。海はかなり良いそうです。セントラルコーストのスタジアムもある意味観光名所としてとらえていいかも。

Sausage Roll(そーせーじ・ろーる)

「Goal」と韻を踏んでゴールの事を指すスラング。イギリスでは一般的な言葉みたいだけどオーストラリアにおいて主に使うのはシドニー男子のAdam le Fondreなので彼が決めるゴールと同義的に使われるフレーズ。le Fondreがシドニーに復帰するのを発表する動画では娘の一人が食卓で「またソーセージロール?」と言う場面もありました。言い回しなのでRollとは言いますが地を這うゴールだけじゃなくロケットのごとく飛んでいくソーセージロールも決めるし、しっかりベテランな年齢ながら1シーズンのうちに私がスーパーで買う冷凍ソーセージロール(ミニサイズ)12個入りくらいの数は決められます。

Sokkah(そっかー)

オーストラリアでは丸くないボールでプレーする類のフットボール(複数種類)を「フットボール」と称するのが主流なため丸いボールを蹴るフットボールは「サッカー」と呼ぶことが多く、サッカーに関して揶揄的に、あるいは自虐的に、場合によっては一種の愛を込めて話すときにその(ある程度訛り込みの)発音で「Sokkah」と称することがあります。例えば「Sokkah Twitter」=オーストラリアでのサッカーに関するTwitter界隈を指す通称・愛称だったり。スコットランドでいう「Fitba」にある程度似たところがあるかも。

Dark Arts(だーく・あーつ)

「マリーシア」を英語ではこういう場合もあり、オーストラリアではだいたいこの言い回しを使う。「He is the user of the dark arts」とか「he is well-versed in the dark arts」なんて実況で出てくることがあって知らずに聞いたらハリーポッターの世界観(笑)
この手のプレーというかスキルは元々オーストラリアのサッカーに備わっているものではなく、海外からオーストラリアに来る選手、または海外帰りのベテランに関して出てくることが多いけど特にSocceroosが最近エクアドルと対戦したのには試合のそういった部分にもっと触れて親しんで、攻略したり学んだりする意図があるとかないとか・・・?

Tasmania(タスマニア)

オーストラリア大陸の南にあるハート型(あるいはリンゴ型)をした小さな島。サッカー的にはプロクラブがない州の一つで、ウェスタン・ユナイテッドが毎シーズン何試合かタスマニアをホームとして開催している。
ただ全くサッカー活動がないわけではなく、州のリーグはもちろんあり、その中からSouth HobartがNational Second Tierに手を挙げているのでもしかしたら全国リーグにタスマニアが参戦する日も近いかも・・・?(でもタスマニアが入ると移動コストはちょっと上がるかも、という事はあります)
タスマニアのサッカー事情はこの記事が詳しいです。他にタスマニアはオージーフットボール的にも現在空白の地なので早いうちにサッカーがそこを制してものにしたかったなーとかコーエーの戦略ゲームみたいなノリで言ってみる。なかなか政治的なバトルはラリアのサッカーは苦手なのです。

Dub(だぶ)

(1) 女子サッカー(Aリーグ女子だけでなく女子代表や各州のNPL女子など全般)を指す言葉。「Women」の頭文字「W(だぶりゅー)」から由来していると聞いたことがある。この言葉が入ってる名前のポッドキャストなどはだいたい女子の競技に特化しているので検索で使える用語。
2023年にオーストラリア、ニュージーランドで共催される女子ワールドカップとその向こうに向けて今こそもっと盛り上げ応援していきたい。
(2) 同じく頭文字の「W」をとって「win」=勝利を指す言葉。なので女子の試合で勝ったらDub in dub(たまにしか見ないけど)。

Tough Cookie(たふ・くっきー)

身体的・精神的にタフで簡単にはへこたれない、倒れない人間のことを指すフレーズ。「She's a tough cookie」などと使う。Aリーグ周りだと特に女子の選手に対してよく使われる。何よりCasey Dumontが筆頭。2021/22シーズンのグランドファイナルは(元々体調が万全じゃなかった中で)満身創痍になりながらヴィクトリーのゴールを身体を張って守り続けた時が彼女のTough cookieさを物語っていて、実際の試合後記者会見でもこのフレーズが使われています。

DubZone(だぶぞーん)

Aリーグ女子(女子のみ)の2022/23シーズンから試験的に始まった、同時開催の試合をまとめて追うプレミアリーグの「ゴールラッシュ」と似たフォーマットの番組。(個別の試合の配信も通常通りあります)メルボルン時間で土曜日の15時から配信、注目の試合をメインに各試合のゴールシーンを追ったり他の試合に切り替えたり多画面で表示したりしながら試合の展開や背景、そしてAリーグ女子ほかオーストラリアのサッカーや女子サッカーのトピックスについて話したり現地の様子や関係者インタビューも交えたり総合的なフレーバーがあります。あまりここで書くと独立した記事書く時に書くことがなくなるので詳しくはそちらへ。

Double Header(だぶるへっだー)

Aリーグでは(統一名称になる前からも)同じクラブの女子の試合と男子の試合を同じロケーションで続けて開催するダブルヘッダーがたびたびあります。女子・男子の試合とも同じカードで組むこともあれば(例:2023年1月26日のヴィクトリーとシドニー)異なる相手のこともあります(去年行ったアデレード女子vsヴィクトリー女子→アデレード男子vsセントラルコーストみたいに)。だいたい女子の試合が先に開催されますが逆も今期はいくつかあるそう。ちなみにダブルヘッダーの際チケットは両試合共通(料金も1試合分)になっていてお得です。
ダブルヘッダーはメリットもデメリットも色々あってクラブ・選手・サポーターの間でもダブルヘッダーにするか単独の試合にするかで利害が一致しないこともたびたびありますが、参考としてヴィクトリー女子の選手達にとってはAAMI Parkが使える・男子のサポーターたちが後半にやってきて応援してくれる・後で男子の試合見ながらご飯食べたりできるなどの理由で好ましく思っているそう。私自身にとっても週末2回試合に行くより2試合続けて座ってる方が楽だったり。

Tower of Terror(たわー・おぶ・てらー)

Aリーグ男子でよく使うような大きいスタジアムでなく住宅地にあるグラウンドなどで試合をする際、実況解説席やテレビカメラの設置場所が工事現場で見る足場のような作りの物見櫓みたいな場所にあるのをオーストラリア・カップのTwitterスペースでこう称している人がいました。
そのつくりはグラウンド毎に違いますがピッチを見渡せるようある程度高さがあること、そして風雨(そして強い日差し)に多少曝される場所であることは概ね共通。システムの関係上ほとんどの試合がそういったグラウンドで開催されるカップ戦だけでなく今期はAリーグ女子もグラウンド開催が多くちょっとニッチな注目ポイントかもしれません(とはいえテレビカメラに映ることはありませんが)。

Chief Vibes Officer(ちーふ・ばいぶす・おふぃさー)

2022年カタールW杯で当初Socceroosに招集されるも合流前からの怪我から回復するどころかシーズンアウトの負傷が判明したMartin Boyleがメンバー外になった後、手術を終えて代表キャンプに残ることになった際に新しく与えられた役職。単純に言えば「ムードメーカー」。宿泊場所やリカバリ場所、練習場からロッカールームやピッチサイドまであらゆる場面でチームと共に居て盛り上げる係。Socceroosには色んな人が揃ってても彼ほど明るい面白い人間はいないし彼がいないとどんな場でも声量が大幅ダウンするのでとても大事な存在。チームメイトたちも日々彼の世話を焼くのが楽しいようです。
ちなみに試合後の円陣でも松葉杖で加わり皆の真ん中が定位置になっています。

地名(ちめい)

オーストラリアにおいてサッカーの試合の実況・解説で地名(特に選手の出身地の地名)に言及があるのはオーストラリアの主要都市以外の場所、オージーでもあまり聞いたことがない地名であることが多いです。
比較的有名な例だとセントラルコーストに所属していたMatt Simonの愛称「The Wizard of Woy Woy」だったり、2020年グランドファイナルの延長戦でシドニーのRhyan Grantが乳首で優勝ゴールを決めた時の「the kid from Canowindra!」だったり、ヴィクトリーのキャプテンJosh Brillanteを「the boy from Bundy(Bundaberg)」と言ったり。
オーストラリアは面積が巨大な国で人が住んでない部分もかなりありますがそれでも大小様々な町や村、集落が無数にあってそういう場所の選手を拾い上げるのも大変だし若いうちから故郷を遠く離れてプレーする選手たちも大変だし、そういう背景を踏まえて突発的な機会でもそういった地名に言及してくれる実況解説の人達もすごい。

また、最近はニュージーランドでもオーストラリアでも先住民の言葉の地名を併記したり使用するケースも増えてサッカー周りでも使用率が増えてきています。そこもちょこっと注目してほしいポイント。

手袋(てぶくろ)

言わずもがなゴールキーパーの仕事道具、ですが他にもフィールドプレイヤーで手袋を愛用している人も。良く見るのはMary FowlerやAlex Chidiacかな。Maryは試合中でも手で何かを触っていなくちゃ落ち着かないらしく、指輪などの着用が競技規則で許されないため手袋を着けているそう。ワールドカップの時期には「Maryの真似して自分も手袋を」と言ってた男子もいたそうな。

Toilet Seat(といれっと・しーと)

(1) トイレの便座のこと。
(2) Aリーグ男子のチャンピオンに授与されるトロフィーを指す言葉。厚みのある輪っかのような形状からそう呼ばれる。AリーグのタイトルにはPremiership(リーグ首位フィニッシュ)とChampionship(上位チーム同士のファイナルトーナメントの優勝者)があるが、後者の方が大きいタイトルとされているためAリーグの趣旨は毎シーズンこのToilet Seatを目指して戦うこと。ちなみにPremiershipで授与されるのはだいたい同サイズの皿状のトロフィー(Premier's Plate)。
チャンピオンを決めるグランドファイナルの試合には本物の便座(多分未使用)を持参するサポーターもいる。

Draught Excluder(どらふと・えくすくるーだー)

ドアの下の隙間から入ってくるすきま風を防ぐために置くor設置する長い棒状(柔らかい)の物を指す言葉。私はdoor snakeと一般的に呼んでます。些細なものですがあると便利。特に古い家に住んでいる人におすすめです。
・・・というのは置いといて転じて「フリーキックの壁の後ろに寝転がる選手」を指してこのフレーズが使われていました。どれだけ一般的に使われる言い回しかわかりませんが(最近1回使われたのに気づいたくらい)そのまんまの形状・役割で面白かったので項目として追加しました。
Aリーグではそもそも後ろに寝転がるのを見るのが少ない気がしますがヴィクトリーではD'Agostinoがいた頃draught excluderやってました。今後見たら追記します。

National Allegiance(なしょなる・ありーじゃんす)

国際的なサッカーの場においてどの国の代表に忠誠がある=所属しているか、ということ。オーストラリアは多文化の国なこともあり、血筋や生まれや育ちで複数の国の代表選手になる資格がある選手が多数います。しかも2カ国とかじゃなく4,5カ国くらい代表になれる国がある選手もいたり。
もちろん今のレギュレーションだと一つの国の公式戦に出場することで他の国の代表にはその後変えられないため色んな国と選手を巡って綱引きになることも(スコットランド、ニュージーランドあたりが一番多いかな)。
ただ裏を返せばユースレベルや親善試合だとまだA代表で固定されないのでユースの試合で他の国を代表したりすることも頻繁にあります(親善試合でいうと最近Rahmat Akbari君がちゃんと確認してアフガニスタン代表の親善試合に出場した経緯もあります)。その場合「Allegiance」はまだ決まってない、ということになりますね。
ファンからも色んな声が出ますが最終的には選手本人の選択で、その選択が正解だと思う人も後悔する人も色々。普段見てる選手が他の国の代表になってもそれもまたオーストラリアの多様な物語の別の形です。

National Second Tier(NST)(なしょなる・せかんど・てぃあー)

現在Aリーグはオーストラリア全国規模の唯一のリーグでその「下部」となると直接繋がっていない各州のリーグになりますが、2024年秋(南半球)から!やっと!全国規模の2部リーグが始動することになりました。公募の結果この項目の加筆修正時でNT州以外のすべての州から計32クラブから申請がありました。まずは10~16チームの独立したリーグとして各州のリーグとのコネクションを保ち、上手く行けばいずれは(すぐじゃないですが)Aリーグとも昇格・降格でリンクすることになるそう。上手く行かなければ別のモデルを考案してあるそう。
NSTにはオーストラリアのサッカーシーンを長くにわたり支えてきた移民ルーツの伝統的なクラブが主に手を上げていますがそれ以外もちょこちょこ。ちなみにNSTに参入すると元の州リーグからは抜ける形になります。選考基準としてはお金・施設・サッカーのレベルなどが問われるそうなので誰もがというわけにはいきませんがとりあえず州がちゃんとばらけるといいな。
この記事の他の項目いくつかで書いたようにオーストラリアで全国規模のリーグというと州外移動が色んな意味で負担増、しかもカップ戦で年に数回ではなく継続的なので決して容易な事ではないと思われますが是非実現してほしいです。続報はそのうち独立した記事で。

Namesake(ねーむせーく)

名前が同じ人のことを指す。いわゆる「じゃない方」のことを参照するときに「(no, not that one)」と注釈を足すのがお決まり(身近な例だとVIC州のNPLに「ケイスケ・ホンダ」という選手がいるのでそこでたまに聞きます)。最近だとAリーグオールスターとバルセロナの試合で2人のアダマ・トラオレが出会い、マッチアップし、そして得点したことで盛り上がりました。2023年4月の女子の代表期間ではMatildasとスコットランド女子代表が対戦することでSam Kerr対決が実現する予定。きっと探せばまだまだいるはず。

No Sherrin Rule(のー・しぇりん・るーる)

オーストラリアでサッカーを宣伝したり盛り上げるにあたって、例えば海外のクラブを国内に呼んで試合をするとなったときに何かと他のスポーツ(主にオージーフットボールことAFL)が便乗してくる現象というか伝統というか、そういうことがたびたびあって。それで国内のサッカーに注目を向けるのではなく海外のサッカー選手に楕円形の方のフットボールを持たせたり蹴らせたりして撮影したりとかそういうのは良くないぞ、ということでSokkah twitter周りで言われ始めたのが「No Sherrin Rule」。Sherrin=オージーフットボールで使うボールのことです。Sherrinを持たない、持たせない、持ち込ませない、みたいな(さすがに作りはしない)。
根本としてはそこそこ真面目な問題なのですが、Sokkah twitterでは早々にネタ化してそこここでAFLの例えを出したりAFLに言及したり、関係者含め色んなところでルール破りまくり。なのでオーストラリアのサッカーを追ってるうちにルールが破られる例を見つけるのもまたささやかな楽しみに。

Notebook(のーとぶっく)

Aリーグ監督がよく試合中に使うアイテム。みんなが使ってるわけじゃないけどちょこちょこ目にする。私は文具好きなので監督の皆さんがどんなメーカーのどんなサイズのノートにどんなペンで書き込んでいるか知りたいし、さらにうざいことに手書き好きなのでどんな字で書いているかも知りたい。でも中継映像じゃその中の一つも見えない。
ただメルボルン・ヴィクトリー女子のJeff Hopkins監督はヴィクトリー女子の試合では広く安く売ってるSpiraxのリングノート(A5くらいのちょっと大きいやつ)を使っているように見えて、アフガンガールズの試合ではVictoria Universityのノートを使ってるのを見たことがあります。がっつり消耗品感があってそれはそれで良い。

Bye(ばい)

リーグのチーム数が奇数の時、各節に試合がないチームが生じることをByeと表記したり言ったりします。規則正しく週1以上試合があるなら支障はさほどないながら世の中色々イレギュラーが発生すると途端にByeに不便さが伴うもので、できるなら避けたいけどAリーグなり2部リーグなり拡大する過程でもしかしたら不可避になる時期もあるかもしれないな、と思って改めてこの辞書に追加しました。なにより選手達が規則正しい試合スケジュールを好むのももちろんですが、ファンとしても試合がない週末はなんか寂しいというか普段と同じテンションで楽しめないというか、英語でいうところのFOMO(fear of missing out)みたいな感情が起こるのでByeはなるべくないようにして欲しいです。あとファンタジーフットボールでもたまにややこしくなる。

Pint-sized(ぱいんと・さいずど)

身長・体格が小さい人間(選手)のことを指してたまに使われる言葉。LittleやSmallが必ずしも全て失礼にあたるわけではないにしてもこちらの方が好まれる、というニュアンスはあります。
ただ不思議なのはPintというとオーストラリアではビールの一般的なグラスの大きいサイズ(570mL)に使われる言葉だということ(小さいのはSchooner(すくーなー)で425mL)。まあ数人で飲む用のジョッキ(Jug=じゃぐ)と比べると確かに小さいけど。

オージーはでかい、というイメージが一般的ですがサッカーでは背が低めの選手も意外と居て、特にAリーグでやってるような小柄な選手はチームで上手い方なケースも結構あります。実際に「pint-sized」と言われたのを耳にしたことがあるのはMarco Tilio(メルボルン・シティ、170cm)ですが彼がpint-sizedなら同じくらいの背丈のJake Brimmer、Leigh Broxham(両方ヴィクトリー)あたりもそうですし、アデレードのBernardoやシドニーのAdrian Segecicだってそう変わらないし改めて探したらもっとたくさんいたので割愛しますがAリーグ男子で最小はセントラルコーストのJosh Nisbet(158cm)です。Schoonerクラスといったら怒られるかな。ちなみに私は小さい選手が好きでみんなあたたかく見守っています。

Bust-up(ばすと・あっぷ)

特に試合中に選手達が揉めて胸を突き合わせるような形で衝突する事を言う。白熱したダービーで起こるイメージがあるけど必ずしもそういう場でなく色んな要素が組み合わさって火が付く様子。(大きな物がかかりすぎていても逆に起こらない、みたいなことはあるかも)
最近ではどうも選手達が疲れてるのが関係してそうなぶつかり合いがちらほら。この時は選手側から「寝不足の幼児みたいな」との証言もあったり(注:ウェリントンから来てるので時差・気候など理由あり)。
大部分のbust-upは男子の試合で起こりますが女子の方でもレッドカードが出る激しさのぶつかり合いも稀に発生します。

80分(はちじゅっぷん)

(1) ウェリントンのホーム試合で、この時点でウェリントンがリードしている場合観客が脱ぐ時間。 寒かろうが天気が悪かろうが脱ぐ人は脱ぐ(↓のツイートは5月末なのでほぼ冬)。たまにアウェーでもやってる。脱いだあと追いつかれるといそいそと服を着るという話も。

(2) アデレードが本気を出す時間。2021/22シーズンではアデレードは80分以降のゴール、特に勝ち点に関わる得点が特に多く監督の名を取って「Veart Time(べあーと・たいむ)」とAリーグファンの間では呼ばれた。
その効果は凄まじくこの記事の時点では各試合がもし80分で終了だった場合勝ち点が12減、順位が6下がるという驚きの有意差。

Backflip(ばっくふりっぷ)

バク転・バク宙を指す言葉。割と大雑把に使ってて前に回ってるのにbackflipと呼ばれてることもしばしば。というのも発生するのがゴールセレブレーションとしてなので前なのか後ろなのかなんて誰も気にしてない。バク宙はオーストラリアのサッカー選手の定番ゴールセレブレーション、というと大げさかもしれませんが結構多く見られます。
一番有名なのはもちろんSam Kerr。

でも彼女も30歳になるしそろそろ・・・なんて言ってるそうなのでもう見納めかも。(私は目の前で見ましたよ、旧称WリーグのセミファイナルでSamがヴィクトリー相手にハットトリック決めた時(白目))
あとはアフリカ系の選手はバク宙する人多い(若い選手が多いのも一因)。その他だとBrandon BorrelloJosh Risdon、Gianluca Iannucci、Christian Theoharous、他に誰がいただろう(見たら&思い出したら可能な限り動画リンク付きで追記します)。
あと想像はつくと思いますが選手がバク宙する度にどこかでヒヤヒヤする身内の方々(あるいは監督)ももちろんいます。

Bali(バリ)

インドネシアの島でリゾート地として伝統的にオーストラリア人に人気で馴染みの深い観光地。もちろんサッカー選手も例外ではなくオフシーズンにチームメイトで集って行く姿もよく見られ、最近何回か実況で「チーム全体にかなり借りを作った」みたいな意味合いで「チーム全員分バリ行きの旅行を奢らないと」みたいな言い回しを聞きました。誰か実際そうやって奢ったことあるのかな。
また、バリはインドネシアのリーガ1の強豪クラブ、バリ・ユナイテッドの本拠地で2023/24年のAFCカップでセントラルコースト・マリナーズが対戦した他今後もアジアのクラブ大会でちょこちょこお世話になる可能性があるアウェー遠征先でもあります。気候は熱帯で選手達には大変ですがサポーター的には間違いなく「当たり」の対戦相手。応援にかこつけてバリ旅行にいったAリーグサポーターもいるとかいないとか。逆に以前バリ・ユナイテッドがACLのプレーオフでメルボルン・ヴィクトリーと豪内で試合したときはなかなか熱量の高いアウェーサポーター集団が応援に来ていました。向こうからしても比較的近い遠征先ですしね。

Hunter(はんたー)

NSW州のニューカッスル(先住民の言葉ではMulubinba)がある一帯を指す言葉。Hunter region、Hunter valleyなどとも。実況で選手が「from the Hunter」といわれていたらニューカッスル出身。(Novocastlianも同様)。セントラルコーストとは高速一本(M1、旧称F3=ダービー名の由来)で繋がっている隣町。こちらも海がきれいでワインが名産。というかワインでいえばHunter valleyはオーストラリアの中でもかなりメジャーな産地。ちなみにセントラルコーストにはない空港がニューカッスルにはあるけどAリーグでも一般的にもどういう利用状況かはちょっと気になるところ。(たしかヴィクトリーが2017/18シーズンのグランドファイナルでニューカッスルに行った時はちょうどいいタイミングでのフライトがなかったのでチャーター便かなにかで行ったはず。でも試合の次の日のクールダウンをシドニーの海でしてたケースも見た覚えがあるのでシドニー経由で陸路で行ってる場合もあるのかもしれない)
あと念のため調べたけどシドニー女子のSarah Hunterがこのあたりの出身という話はなかったです。

PFA(ぴーえふえー)

Professional Footballers Australiaの略。「プロフェッショナル」とはありますがセミプロも含め選手たちのための労働組合=選手会で、選手の健康や契約、労働環境や引退後の生活など様々な面で選手を支え、選手の味方となる組織。鎌倉殿でいうところの御家人を守る(はずの)北条義時(Beau Busch)と北条政子(Kate Gill)みたいな存在でいいかな。カタールW杯の前にSocceroosの選手たちが出した声明もPFAの名前で発表されています。基本的に選手に関わる事柄でPFAが強く反応すれば注目すべき事件で、逆に反応がなければ心配することはないだろう、くらいに信頼があります(最近どっちのパターンもあった)。
その活動は結構多岐にわたっているけど何か起こったり説明会とかやったりしたときとかに都度報告があるくらいで全体像を捉えることがちょっと難しい。でも契約トラブルの解決とか引退後に向けて資格を取ったりなんだりとか引退後も含め皮膚がんなどのチェックとか良いことをたくさんしているのは伝わってきます。あと選手などをゲストに迎えた公式ポッドキャストも選手たちの話が聞けるだけでなくPFAの役割や働きについても語られたり毎回興味深いです。

Peak A-League(ぴーく・えーりーぐ)

最高にAリーグらしい、という意味で使われるフレーズ。どこから出てきたかわからないようなスーパープレーもプロサッカーリーグらしからぬといえるレベルの珍プレーも、何かと自分で自分の足を引っ張ったりすることも独特の文化や伝統も、良いこと悪いこと何でも「これだからAリーグは」と楽しんだり笑ったりがっかりしたり呆れたりすることすべてひっくるめて愛することまで詰まっている。かなり頻繁に使われる言葉なのは単にハードルが低いのかそれともAリーグが実際いつも色々あって面白いからか。たぶんどっちも。

Heat policy(ひーと・ぽりしー)

Aリーグは基本夏の間進行するシーズン構成なのでどれだけどういう風に暑い時に試合をどうするか、ということもしっかり規則に織り込まれています。単純に気温の数字だけでなくWBGT(wet bulb globe temperature)という暑さ指数を使用するようで、日差しの状態や湿度なども考慮されるそう。
まず基本として12~2月に午後5時より前のキックオフをスケジュールしないこと、気温が31度を超えてWBGTが26~28度の間の場合各ハーフに給水休憩を設け(少なくとも1回、暑い日は2回の時も)、気温が40度に近くWBGTが28度を超えると延期を検討すること、となっているようです。
さらに暑さが予想される場合17時キックオフの試合をさらに遅らせたり、局地的に暑さに差がある場合同じ街の違うグラウンドに移転させたり、なんてケースもありました。オーストラリアは主要都市が海沿いにある中ちょっと都市部を離れて内陸に入るとまた暑さが違ったりするのもまた絡んでくる要素ですね。ニュージーランドは知らない。

副業(ふくぎょう)

男子選手では引退した後のことを考えて選手時代から学業を進めたりサイドビジネスを始めたりする人が結構います(PFAがアドバイスやサポートを提供するエリアの一つ)。サイドビジネスだとサッカー関連以外でも色々あってAリーグのPlayer's Podのこの回でも言及がありますが、現ファジアーノ岡山所属、元アデレードのキャプテンのStefan Maukのアスリート用ジャーナルは個人的に結構気になってます(サッカー好き&ノート好きとして)。

一方女子選手にとってはサッカーだけではまだ生計を立てるのが難しいケースもあって選手のキャリアと平行して働いている人もかなり多いそうです。例えば職業療法士(Nat Tobin)、看護師(Casey Dumont)、女子刑務所(Tash Rigby)など多岐にわたり、他にも医学生(Beattie Goad)など二足の草鞋のレベルが半端ない選手も。イレギュラーに理解のある職場もかなりあるようです。
もちろんサッカー一本で生活できたらいいな、と思っている人が多いですが同時にサッカー外でのお仕事も好きで楽しんでいる人もいますし、そこのやりくりやバランスや気持ちも人それぞれ。女子のリーグのシーズンが長くなるとどんな変化がでてくるかな。

二つ名(ふたつな)

英語ではニックネームと言われることもあるけどどっちかというと「also known as」とか単純に「called」といった言い回しで参照されることが多いです。

NZ代表のMarco Rojasの「Kiwi Messi」のように世界的に有名な選手にちなんだ呼ばれ方はAリーグでは最近はそんなに使われなくなっているものの、ウェリントン女子のMackenzie Barryが「Kiwi Maldini」と一部のファンに呼ばれているのはなかなかインパクトがあるので時と人を選んでたまに発生して欲しいかも。

アデレードのRyan Tunicliffeが欧州にいたころ「ターミネーター」と呼ばれていたのがオーストラリアで紹介される、みたいなパターンもありますがAリーグに来て始めてつけられる呼称も。Zinedine Machachのパワーと優雅さを両立させるプレースタイルを「Velvet sledgehammer」と形容した(元ネタがあるフレーズのようですが)人はすごい。

Footballing Nation(ふっとぼーりんぐ・ねーしょん)

オーストラリアのサッカーファンが常に意識している、自問自答しているのが「オーストラリアはfootballing nationなのか」ということ。これは国内のリーグや代表チームの水準とか輩出する選手のレベルとかよりも「国民にフットボールを観て楽しむ文化がある程度広く浸透しているか」みたいなことを指すのが多いようです。
なので特に豪NZ共催の2023年女子ワールドカップはオーストラリアはFootballing Nationである、という見方を特に裏付けるものとなりました。もちろんそれだけで満足はできませんが、それが大々的に確認できただけでもこれからのラリアのサッカーの進む道になにかの基盤になるはず。

Vuvuzela(ぶぶぜら)

プラスチック製のラッパのような楽器で南アフリカでのW杯でそのうるささから一躍有名になりサッカーの応援と紐付けられるようになったアイテム。(ちなみにVから始まりますが日本での一般的な表記にしたがって「は行」に入れてます)
たまに動物などでも絶滅に瀕している種が奥地で繁殖しているのが発見、なんて話がありますがブブゼラも意外や意外、オーストラリアの南端のタスマニア州のカップ戦、Lakoseljac Cup(オーストラリアカップ予選を兼ねる)の決勝で生息が確認されました。試合配信の動画はこちら。選手入場のときとか延長戦始まりのときとかなかなかすごいです。他の試合の動画を見て調べてみたらKingborough Lionsの普段の試合で吹く人がちらほらいるもののこれだけの大量発生はこの時限定だったようです。ちなみにKingborough Lionsはこの試合で負けたのでオーストラリアカップの本戦でブブゼラが響くことはなさそう。

Flare(ふれあ)

発炎筒を指す言葉。オーストラリアでもサポーターが持ち込んだりして色々とトラブルの種になるアイテム。Aリーグのスタジアムでは持ち込みは固く禁じられていられる(罰金対象)けど荷物検査がない試合のグラウンドやFederation square(メルボルン中心部にある広場、試合のライブビューイングなどが開催される)では持ち込まれることも。というか後者はよく持ち込まれてるし風物詩的な扱い。混んでる時はあんまり付けないとかとにかく投げないとか危険な使い方をしなければ基本サッカーファンの間では評判が悪くはないのでくれぐれも気をつけて欲しいです。

プレシーズン

Aリーグは男子も女子もまだ試合数が多くないのでとにかく長いプレシーズン。(特にファイナルシリーズに入れなかったチームはその分長くなって余計にさみしい)
とはいえその間にオーストラリアカップ本戦もありますし海外のチームを迎えての試合もありますし、女子に関してはAリーグのオフの間にNPLや時期が噛み合う海外のリーグでプレーするケースもかなりあるので全くサッカーがないわけでもありません。
それでもシーズンに向けたコンディショニングやたくさん走るトレーニングとかを始めるころからシーズン開幕まではかなり長く、特にプレシーズンがきついとして知られるチーム(=Tony Popovic監督の率いるチーム)はかなり大変だそうです。

Presser(ぷれっさー)

Press conferenceの略、つまり記者会見のこと。Aリーグだとスケジュールは色々ありますが試合数日前には監督(時によって選手も)の記者会見があり、試合後には監督の記者会見があります(だいたいAリーグ公式デジタルプラットフォームにアップされます)。代表戦の場合試合前日・試合終了後に選手+監督が出る場合がほとんど。
Aリーグでも試合の結果などによっては記者会見場にもものすごく緊張が走ったり、中には完全なる冷戦になることもありますが試合前はわりとリラックスした雰囲気が多いです。
SocceroosのカタールW杯での記者会見では毎回オーストラリアから来た記者の人が何らかの場が和むような面白い質問をするのが恒例になっていて毎日楽しみでした。選手達の滞在場所の雰囲気と同様、またああいう雰囲気を体験したいな。

Friendly(ふれんどりー)

フレンドリーマッチ、つまり親善試合のこと。SocceroosでArnie監督が良く言いますが国の代表チーム同士の試合に「フレンドリー」なんてものはお互いなくてタックルに飛び込んで流血したりとかするし、AリーグのチームがプレシーズンにNPLのチームと試合する場合でもフリーキックで相手の守備の準備が整ってないタイミングで蹴って点入れたりとか大人げないプロサッカー選手たち。

Best league in the world(べすと・りーぐ・いん・ざ・わーるど)

世界最高のリーグ、の意味。もちろんAリーグの事。(太字にしてみた)このリーグを知らない人には過小評価されることが多く、スタジアムが満員には程遠いし複数のクラブが経済的危機に立たされたりもするし他のフットボール競技に圧倒的不利なポジションに立たされたり問題はいつだってあるけれど基本的にはフットボールの内容もなかなか面白いし結構良い選手たちだっているし色眼鏡を外して観れば毎週面白いこと楽しいことあるしオーストラリアのフットボールやもっと広くまでに良いことしているんだよ、という立ち位置のリーグなので何かAリーグが(内外で)褒められると冗談交じりに、でも胸を張って「世界最高のリーグだからね」と言うのがAリーグファンなのです。もちろん上記の通り本当に世界最高かといえると現実的ではないからこそ何かあったら真っ先に使いたいフレーズなのです。

Bogey Team(ぼぎー・ちーむ)

あるチームにいつも勝つ(なぜか勝つ、も含め)チームを指す言葉。Aリーグは歴史が短いながらも力関係は一定にならない環境なのでBogey Teamといえるチームはほぼ無いと言えるながら、ウェリントン・フィーニックスはウェスタン・ユナイテッドに勝つことが多いという傾向はある(ただその傾向も最近変わりつつある・・・?)
あと同じウェリントン・フィーニックスでも女子はそのものすごく短い歴史で3回だけ勝利したことがありそのうち2回がキャンベラ・ユナイテッド相手だったのは一種のBogey teamに近い現象と言えるかも。

Bolter(ぼるたー)

サッカーでbolterというと例えばワールドカップなど大きいトーナメントのための代表チームに関して「今現在主力じゃない状態から選出される」ような状況の選手のことを指します。2022年カタールW杯でのSocceroosだとその最たる例がGarang Kuol君でしたし、W杯に至る期間でもAリーグから誰がbolterとして選ばれるかでかなりラリアのサッカー界隈盛り上がりました。
そしてそれは2023年の豪NZ共同開催の女子W杯でも同様で、前述Socceroosよりも海外組の選手がより多く&強くW杯出場に(すでに)王手をかけていると思われる中まだAリーグ女子からも選出があるかも、という議論がファンの間ではかなり活発になっています。ちなみにCortnee VineはAリーグ所属ですがほぼ主力扱いなのでbolterには該当しませんが他にも既に何人か名前が挙がっているのでAリーグ女子での記事やメディアも合わせて注目です。
(2023年8月22日追記:ワールドカップが終わりましたがMatildasにおけるbolterはウェスタン・シドニー・ワンダラーズのClare Huntでしたね。ある意味最強のbolter。Aリーグは多くなくてもいいのでものすごく大事な選手を輩出し続けてほしいです)

マスコット

セントラルコーストのMarvin、ウェリントンのNixie、あとパースのゴリラのようにマスコットがいるクラブはいるし大々的に扱わないでも試合周りでよく姿を見ます。(Unite Roundでは集結するのも見れました
ただマスコットの女王とも呼ばれるAlex Chidiacを戦列に加えたメルボルン・ヴィクトリーにマスコットがいないのはいかがなものか(以前スポンサーマスコットはいたんですけどね)というプレッシャーをうちのクラブはそろそろ感じてほしいところ。Chidsご本人も切望していることですし彼女との長期契約を機にマスコット問題に取り組んでいただきたいところです。

Mathematically(ますまてぃかりー)

各リーグが終盤にさしかかると特定のチームがファイナルトーナメントに残れるか、の議論が始まります。純粋に勝ち点を元に「Mathematically=数字の上では」まだ不可能じゃない、というフレーズが使われるのもこの頃。昇格や降格がないリーグですが順位表の中盤から広く巻き込まれる争いなのである意味もっと大変。ただたとえ残りの対戦相手に対して圧倒的に不利でも、そしてファイナルに残るための条件の組み合わせが無理難題だとしても、とにかく数字的に不可能となってない限り「可能性はある」と主張し続けるのがお国柄です。

Macca(まっか)

名字が「Mac~」の人や、女性でファーストネームが「Mackenzie」である人を呼ぶのに使う愛称。
選手だとメルボルン・シティ男子のJamie Maclarenや、MatildasのMackenzie Arnold(英ウェストハム女子)がそう呼ばれてるのをよく聞くほかコメンテーターにも何人かその愛称で呼ばれる人がいます。Maccaだらけ。
ただ全員が全員Maccaというわけでもなく人によっては上記の条件に当てはまってもMaccaと呼ばれない場合も(例:Scott McDonaldはScottyがデフォルト)。多分分かれ目は本人の好み。

ちなみに同様のパターンでハンバーガーチェーンの「マクドナルド(McDonald's)」をオーストラリアでは「Macca's」と呼びます(愛称ですが公式で使っている店舗も)。

Missus(みせす)

(1) 奥さんを指す言葉。
(2) メルボルンにあるスタジアム、AAMI Parkのジェネリック名がMelbourne Rectangular Stadiumであり、イニシャルが「MRS」で「Mrs.」につながることからAAMI Parkのニックネームとして「Missus」と呼ぶのを広めよう、と言っている人がTwitterに散見されて面白いなと思ったのでどれくらい広く使われているかわからないけど項目として追加してみました。包容力がありそうで自分もなんか好き。実際使うかどうかはわからないけど。
ちなみにそれで派生して気になるのは英語では物に性別を指す言葉は使わないのですが性別をつける国の言葉(欧州各国の言語とか)だとスタジアムは男女どっち扱いが多いんだろう。

Middle Name(ミドルネーム)

個人名の構成としてsurname(名字)とfirst name(下の名前)に加えて下の名前の副次的な名前として(で合ってるよね)つけられる名前のこと。親類の名前からつける場合が多いようですがそうでない場合もあります。オーストラリアは何度も言ってますが多文化国家なので名前に関してもミドルネームがある人もない人もいますし、ミドルネーム以外に名字・下の名前以外で複数名前がある人もいます。
なかなか普通にラリアのサッカーを追ってて選手などのミドルネームを知ることは少ない中OneFootballなど一部のアプリ・サイトは場合によってはミドルネームなども含めたフルネームで表記することもあり、「あんたそんなミドルネームだったんかい!」と驚くことも。というかその筋で知ったミドルネームはかなり意外な名前だったケースが多い。

Mini(みに)

(1) Matildasで元ブリスベン所属MFのKatrina Gorryの愛称。そのニックネームからわかる通り小柄(154cm)だけど走行距離、タックルの果敢さ、リーダーシップなど見た目以外はどこもminiじゃない、所属するチームがどこでもでっかい存在感を中盤にもたらす選手。2023年のワールドカップでもタックル数をはじめいくつかのスタッツでトップクラスの数字をたたき出していたようです。ちなみにMiniにはそのminiこと娘のHarperちゃん(2021年生まれ)がいて代表やクラブでチームに帯同していることが多く、試合後にピッチ上でよちよちしていたりチームメイトに抱っこされている姿も見れます。

(2) ↑が有名ですが実はメルボルン・シティのRhianna Pollicinaも同じニックネームで通っている様子。

Mini Isuzu D-Max(みに・あいすず・でぃーまっくす)

(Isuzuは「あいすず」と英語で発音するようです)
いすゞ自動車が男子のAリーグのネーミングライツスポンサーとAリーグ女子のスポンサーなこともあってファイナルシリーズでは試合開始の時にボールをピックアップトラック(オーストラリアで言うところのUte)D-Maxのラジコンカーが運ぶのが恒例となっています。現地観戦するとピッチサイドで何台か走り回っているのも見れたり。普段の試合では使用しない、ファイナルシリーズの時期しか見られないちょっとした風物詩です。


Makeshift(めいくしふと)

いわゆる「埋め合わせの」という意味がある言葉。サッカーでは特に本来そのポジションでない選手を急遽使う、という場合に使われるけどAリーグ2023/24シーズンは諸事情とにかくこれが多く発生しています。その場しのぎみたいな場合もあれば数試合続投するケースもありますし、中にはヴィクトリー男子のConnor Chapmanのようにすっかり右サイドバックに定着、なんていうケースも。(ちなみにLeigh Broxhamに関してはもはやどのポジションをやってもMakeshiftではないかも)

Makeshiftが発生するのはもちろんゴールキーパーもそう。ベンチ待機から実際にピッチに立つケースまでこれもまた今期は多めに起こっています。フィールドプレーヤーがGK代理となるケースでは身長や練習でのGK経験の他にオーストラリア特有の要素として「AFL(オージーフットボール)経験者」というのも考慮されやすいそう。
私が見たことがあるAリーグ関連でのMakeshift GoalkeeperにはRhyan Grant(シドニー男子)、Maja Markovski(ヴィクトリー女子)、Ash Irwin(セントラルコースト女子)、Anthony Pantazopoulos(ワンダラーズ男子、ベンチのみ)、Tori Hansen(ヴィクトリー女子、ベンチのみ)がいます。

Mayor of Everywhere(めいやー・おぶ・えぶりうぇあ)

オーストラリア代表とメルボルン・ヴィクトリーのレジェンド、Archie Thompsonを指す呼称。現役時代で有名なのはアメリカ領サモア相手に一人で13得点あげたエピソードですが(試合結果は31-0でSocceroosの歴史に残る圧勝)引退後はAリーグに関わる中でもだいぶバラエティ寄りの仕事の比率が高く、試合中継のピッチサイドコメンテーター(AAMI Parkで高確率エンカウント)から他のスポーツ(競馬やF1など)のレポーター、さらにMasterchefに参戦して数週間勝ち残る、オーストラリア版SASUKE(Aリーグとは別局)に参戦など色んなところに顔を出していることがこのような呼ばれ方の由来・・・のはず。
ちなみに2007年にAリーグのグランドファイナルでアデレード相手に一人で5得点して以来アデレードは出禁だの足を踏み入れたら命が危ないだの話のネタにしていますがアデレード開催の試合では向こうのアクティブサポーターとしっかり記念撮影していたり。昔も今もそのお調子者なキャラクターも合わせヴィクトリーサポーター以外にも結構人気者です。

メダル

Aリーグ周りでチームとしての賞はトロフィーやタイトルと呼ばれますが「メダル」と名のつく賞はだいたい個人賞。Aリーグだけでなくオーストラリアのサッカーにおいて多大な貢献をした人名が付いていることが多いです。
例を挙げると(由来の人物についての説明は【】内に):

Johnny Warren Medal:Aリーグ男子(およびそれ以前にあったリーグであるNSL)のシーズン最優秀選手を讃える賞。【Socceroosの元キャプテンで引退してからもオーストラリアのサッカーを積極的に支持した】
Julie Dolan Medal:Aリーグ女子のシーズン最優秀選手を讃える賞。【Matildasの元キャプテンで事務側にも現在進行形で関わっている】
John Marston Medal:Aリーグ男子(およびそれ以前にあったリーグであるNSL)のグランドファイナルのベストプレーヤーに与えられる賞。【豪代表選手で1954年の英FAカップ決勝に出場した】
Alex Tobin Medal:放送・配信局であるChannel 10のコメンテーターによる毎試合投票累積形式のシーズン最優秀選手。【NSLおよびSocceroosでオーストラリアのサッカーに貢献した】
Harry Kewell Medal:Aリーグにおける、あるいは国外で活動する23歳未満のオーストラリア人選手に与えられる賞。【若くしてSocceroos及び国外のクラブで活躍した】
Mark Viduka Medal:オーストラリアカップ(旧称FFAカップ)の決勝でのベストプレーヤー。【Socceroosで活躍し、この賞の審査員の一人でもある】
Mike Cockerill Medal:オーストラリアカップ(旧称FFAカップ)のトーナメントを通じたAリーグ以外の選手での最優選手に与えられる賞。【オーストラリアのサッカーにおいて多大な貢献をしたジャーナリスト】

など。他にもPFAにより表彰されるものもありますし、あとクラブ単位でも同じようにクラブの偉人の名前を冠した個人賞があったりするようです。

Melby(めるびー)

アメリカ女子代表チームによるとメルボルンのことらしい。ただし当のメルボルン(およびオーストラリア)ではそういった呼び方は前代未聞だったためこの公式アカウントによる投稿は物議を醸すことに、というかネタにする人も合わせてプチ炎上の域に。(ちなみに地元民はMelbsと省略することが多いです)この後他の色んな公式アカウントでもMelby言ってましたし記者会見でも言及ありましたしネットのノリがワールドカップという環境に与える影響が色々見れて興味深かったです。
とはいえこれでメルボルンで開催される試合にアメリカが勝ってしまったら公式にMelbyがまかり通ってしまう可能性もあったのでスウェーデンがギリ(本当にギリ、数mmくらい)で勝ってなんとかメルボルンの平和が保たれてよかったです。ただまた思い出したようにMelbyと呼んでいじってくる人もいるだろうしある意味レガシーというか余計なことをしてくれたな感も。

Youngsters(やんぐすたーず)

いわゆる若者、若手の選手を指す言葉。ここ数年Aリーグの主役として躍り出ています。
自分が観測した印象でいうと基本的にkids(きっず)というと18歳以下を指すような感じがあり、youngstersだとまあU23の年齢くらい?普通にyoungというというともちょっと年上の選手まで含まれることも。(蛇足ですがJamie Youngはyoungではない)
でもこういう年齢的な基準は人によるというかチームの方針によるというか監督の価値観によるというか、とにかくバリエーションがある言葉。例えばTony Popovic監督にとっての「若者」は若くて海外に行って帰ってきたりU23抜けたくらいの選手をステップアップさせることが得意分野のようなところがあるので25歳くらいまで若者として見ている節があります。逆にシドニー女子のチームは20代前半とかの選手も多いですがAnte Juric監督はあまり彼の指揮下の選手の若さについては話さない傾向が(まあみんな年齢に比べてプレー含め大人びているからなあ)。男子と女子の間でも年齢の捉え方は結構違いますし、年齢毎に需要も様々なのでバラエティがあるのは良いことだし大事なことなのかなと思っています。

Unite Round(ゆないと・らうんど)

2022年末に下されたグランドファイナルを向こう3年シドニーで固定する、との取り決めが前代未聞の大不評だったため2023/24シーズンに取りやめすることになり、それの代替案として実現することになったイベント。
特定の週末にAリーグ男子・女子の試合をシドニーで集中開催するという趣旨です(第1回は2024年の1月12日~14日)。オーストラリアでは他のフットボールでGather roundやMagic roundという名称のこういう集中開催イベントがあってそれに倣った形ですね。でも男子と女子合同はサッカーが初。あとこの時期は学校類は夏休みなのでまた良い時期ですし、男子アジア杯(=リーグは中断しない)の時期なので13日の試合後にはSocceroosのライブビューイングもやるそう。一石二鳥どころか三鳥四鳥も落とせる。
ちなみに男子はこのUnite Roundにより試合が1節分増えることになります(26試合から27試合、女子は追加なし)
そして名前はこれですがメルボルン・ヴィクトリー公式が明文化したように下の「U-NITE Round」とは別物です。

U-NITE Round(ゆないと・らうんど)

ハイフンのある方のU-NITE Roundは毎年1月26日(祝日)のAリーグの試合(だいたいシドニー相手のダブルヘッダー)に合わせて多文化のメルボルンとオーストラリアを祝うイベントをメルボルン・ヴィクトリーが主催しています。同日に様々な国の移民チームのコミュニティカップの決勝が行われる他、試合前に様々な文化の踊りや音楽が披露されたり、選手入場の際の和太鼓の演奏と市民権を獲得した人達による花道などが恒例行事になっています。

Unit(ゆにっと)

でかい選手を形容する言葉で「He's a unit」のように使用されます。(女子ではまだ聞いたことがない)主にディフェンダーに使われますがストライカーでもunitな選手もたまに。
背が高いだけではunitではないのがミソで(例えば「Towering(たわりんぐ)」だと比較的純粋に身長がとても高いことを指す)、体格に加えて存在感の圧倒的な大きさ、いわば「ゴゴゴゴゴ」的なオーラを放つフィジカルが激強なでかい選手に使う言葉・・・だと思います。背が高いDFでも足元が起用だったりタックルがスマートだったりする選手はあんまりunitぽくない(ヴィクトリーのRoderick Mirandaはunitぽくない選手の一例ですかね)。

ここでも何回か言ってる通りオーストラリアのサッカー選手はでかいというイメージがあるようですがもちろんみんながみんなUnitなわけではありません。一番分かりやすいunitな選手の例がSocceroosのセンターバックHarry Souttar(198cm)。あと比較的最近Aリーグで実際に形容されているのを聞いた例だとLewis Miller(現ハイバーニアン、元セントラルコーストのサイドバック、187cm)がそうでした。彼の場合はDFではありますが守備してる時より攻撃に出たときにそのオーラを感じやすい印象。もっといろんなunitな選手を見つけたい。

Larrikin(らりきん)

オーストラリアのスラングで特に若い男性でふざけたり悪ノリしたりも含めた一種のやんちゃと陽気なキャラを備えて愛される人間の事を言う言葉。日本語で説明するのが難しいのですがJason CummingsLachlan Wales(リンクはどちらもそれぞれの選手が主役で素顔を見せてくれるA-Leagues All Access)がLarrikinと言われているのを見るとなんとなく肌感覚でわかる気がします。他にもDaniel Arzaniも本当は根はLarrikinなんだという話も聞いてます。サッカーにおいてはドレッシングルームに笑いと明るさをもたらす役割にそういう言葉で表現される選手が結構いるのかも。ちなみにオージースラングですが今回例に挙げた3人のうち2人は国外生まれのLarrikinなのもちょっと面白い。

Lanyard(らんやーど)

試合の日などスタジアムに入場する際のパスを首にかけるために使うネックストラップのこと。ヴィクトリーの場合毎年メンバーシップを購入するとついてくるけど正直新しいカードを古いストラップに付け替えてもいいのでオプションにしてくれても全然良い派。サッカー以外でも色んな場でもらうのをいくつか持ってて(the Ghanのは持ってて嬉しい)使ってないまま溜まるばかり。

わざわざこの辞書に項目を立てたのはどうも自分の観測範囲だとオーストラリアのサッカー関係者はこの首ひもを首に真っ直ぐかけるのではなく片脇を通す様にかける人が多い印象があるため。他の国(日本とか)でも見たことがありますがオージーはなんか多い。気のせいかなー。

一旦気づくとどんどん気になーる。

Lookalike(るっからいく)

「そっくりさん」を指す言葉。今のところあまり頻繁に話題になるわけじゃないけど例えばアデレード&SocceroosのゴールキーパーのJoe Gauci君がセルティックのJoe Hartに似てる?という話がいきなり飛び出てきたり(確か試合前のインタビューとかだったはず)、あとはこんなちょっと難易度高い(少なくともお手入れがかなり必要な)そっくりさんの例も。何かでてきたらまた追記したいです。あ、ウェスタン・ユナイテッドのTaranto姉妹は血縁というか双子だから似てて当たり前なやつですね。

Roommate(るーむめいと)

2024年(2023年)のアジアカップみたいに一人一部屋の場合もありますが通常はサッカーチームが宿泊するときは2人で相部屋のケースが多い模様。毎回顔ぶれが変わることがある代表チームは別としてクラブでは一年を通して同じルームメイトと相部屋の場合が多いように見受けられます。だいたいリアルタイムで誰とルームメイトか分かることは少なく(カタールW杯では例外的に大部分が映像かインタビューから分かっていました)、後から「○○とルームメイトだったことがあって」とエピソードトークで語られることが多いです。

ロケット

(1) 少し距離がある位置から放たれる勢いのあるシュート。私は2021/22シーズンのヴィクトリー対アデレードのD'Agostinoの逆足ロケットが好きなので例に挙げておきます。

(2) パース・グローリー所属のゴールキーパーLiam Reddyのニックネーム。41歳でAリーグ男子の選手としては最年長。PKストップが得意で数字も飛び抜けているそう。逆にリーグのメモリアルゴールには弱いという驚きの実績も。

Rocket Reddyさんは6000ゴール目まで元気に現役でやっててくれるかな?
(2023/04/42追記)・・・と思っていましたが2023年3月下旬にパースからの退団が発表されました。引退とは言っていませんでしたが家族とともにWA州に住み続けるといったので(パースは1クラブしか今のところない)事実上の引退。あるいはNSTが立ち上がった時にWA州のクラブで復活する可能性はゼロではありませんが、今のところはお別れとなるようです。

Wildlife(わいるどらいふ)

オーストラリアといえば固有種を始め野生動物が有名な土地ですがAリーグに野生生物が絡んでくることはAAMI Parkなどメルボルンのスタジアムの常連であるカモメたちを除いてほぼないです。私が見てる数年にあったのはブリスベンかどっかのグラウンドで女子の試合中に実況席に大きいカエルが乱入したくらい。うちの州のNPL(=グラウンドが都市部から結構離れてるところもある)を見てても今まで野生の生物が現れたりとかはなかったのでものすごーく珍しいことなんだろうな。
(2023/04/02追記:と思ってたらオーストラリアカップの予選のキャンベラで行われた試合でこんな光景が。絵に描いたようなオーストラリアのイメージ。)
でもSocceroosのワールドカップ予選アウェー試合で国外に出ると野生動物が練習の場に現れることは結構多かったり。次のサイクルもそこは期待したいです。