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仮面ライダーエボル Phase: LEGEND 【完結編】

いよいよ最終回!
前回記事はこちら👇👇👇

当初は、DXエボルドライバーに音声が収録されているエグゼイドまでしか描かないつもりだった。

しかし、エグゼイドフォームを完成させた後になって「せっかくここまで揃えたなら、もう2体作って平成を終わらせよう」と思い立ち、以下2つのフォームを追加で制作した。


仮面ライダーエボル ジーニアスフォーム

仮面ライダーエボル ジーニアスフォーム
・エボルトがジーニアスフルボトルで変身した姿
・成分:ビルド ジーニアスフォーム
・複眼:一対のコブラ

🔻「ビルドの力で変身したエボル」としてはラビットフォームが既にあること、そしてシリーズ全体の統一感を考えると最強形態モチーフが望ましいこと、以上2点からジーニアスフォームをモチーフに選んだ。

・「ライダーシステムで擬似的に再現したファイナルステージ態」というイメージ。白色の方がジーニアスらしくなると考えたので、コブラフォームではなくブラックホールフォームを素体にした。


🔻「スーツ自体の造形は変えず、色変えによって元デザとは異なる雰囲気を出す」というのは公式のスーツ改造で頻出の手法。

・改造元のデザインには、その造形と配色によってある種の〈流れ〉が生まれている。

・思うに色変えの妙とは、既存のスーツを色で塗り潰して〈流れ〉を断ち切ったり、逆に色を塗り足して〈流れ〉を生み出したり、といった部分にあると思う。

🔻今回はその実例として、ブラックホールフォームの頭部を改造したクローズエボルを参考にした。

・まず、これは改造元のBHフォームの頭部である👇

出典:https://www.kamen-rider-official.com/zukan/forms/65(閲覧日:2024年3月27日)

・そして、これは改造後のクローズエボルの頭部である👇

出典:https://twitter.com/toei_riderBUILD/status/1046612500240715776/photo/1(閲覧日:2024年3月27日、トリミング済み)

・これらの2点を比べてみると、いくつかの色変えの経緯が推察できる。

▼ BHフォームでは、一本の白いラインが正中線を貫く〈流れ〉が生まれていた。一方クローズエボルでは、このラインを造形としては残しながらも、下半分をターコイズブルーに塗り変えることで、その〈流れ〉を断ち切っている

▼ BHフォームでは、額の円から前頭部に広がる円形の〈流れ〉が生まれていた。一方クローズエボルでは、これらを黒く塗りつぶしたのちに上からターコイズブルーの縦線を描き入れることで、額へと集まる線形の〈流れ〉を生み出している

・このような色変えによって、クローズエボルでは顔つきの雰囲気を元スーツのBHフォームからクローズへと寄せている。


🔻これを参考にした今回のエボル ジーニアスフォームでは、顔つきの雰囲気こそBHフォームを保ちつつも、ジーニアス特有の配色がなじむように少しだけ色を調整した。

・前頭部の同心円を残しつつ、ビルド ジーニアスと同じ金のラインを額に加えたり、口元や角にゴールドをちょい足ししたりした。また、エボルの笑ったような目つきを残したかったので、複眼も形状を変えずに元デザの分割線に沿って5色に塗り分けている。

・一方で、額はジーニアスに寄せてビルドドライバーの歯車を持ってきた。 エボルドライバーの同じ部分を持ってこようかとも思ったが、全体的にエボル要素の方が多かったのでここではビルド要素を強調した。



仮面ライダーエボル ジオウフォーム

仮面ライダーエボル ジオウフォーム
・エボルトがジオウの力で変身した姿
・成分:オーマジオウ
・複眼:「ジオウ」

🔻あのオーマジオウの力が大人しくボトルに収まっているとは思えなかったので、「溢れ出したオーマ成分によってエボルの素体が塗り替えられている」という方向性でデザインした。

・したがってこのフォームだけは他の19体と異なり、素体のデザインが配色のみならず造形のレベルから変わっている。

・ジオウ最終回の描写(オーマがエボルフェーズ1をワンパン撃破、オーマの力はアナディケでも吸収できない) から、オーマジオウの力をそうそう制御できるわけがないと考え、 ジオウとエボルの力が激突して臨界寸前になっている雰囲気に。複眼から溢れるオーラはオーマジオウの変身エフェクトを参考イメージしている。

🔻複眼は元デザの「ライダー」を「ジオウ」に置き換えつつ、オーマジオウのアンテナも再現している。ラ⇄ジ と ダ⇄ウ が似ていたので、かなり作りやすかった。

・このシリーズのルールは「元ライダーの要素で複眼を構成する」だが、ジオウの場合はカタカナも要素の1つなので、具体的なアイテム(ライドウォッチなど)ではなく、元ライダー同様にカタカナを複眼にしている。
※複眼でオーマジオウのアンテナも再現しているので、見ようによっては「時計の針」が要素として入っているとも言えるし。

🔻オーマジオウの顔をよく見ると「王」の字が敷き詰められているのが好きなので、エボルジオウでは代わりにこうアレンジした👇

エとボが王と似ていたのは奇跡


🔻反省点、というか何というか

・このフォームの制作時に思ったことがある。

・ジオウの個性として「複眼がカタカナ」という要素はあまりにも強過ぎて、これを拾うともう「ジオウの派生形態」にしか見えない のだ。

・先輩方19人と並んでもかき消されないだけの個性を模索した結果として弾き出された、カタカナ複眼という前代未聞のデザイン。その視覚的な〈強さ〉はあまりにも激甚で、怖いくらいに強烈だ。

「複眼がカタカナである限り、ジオウの印象を覆せない」という事実は、設定上・演出上のオーマジオウの強さよりも、はるかに私を戦慄させる。

・同じく「ジオウの力を使ったレジェンド形態」であるリバイスのブラキオゲノムがカタカナ要素を拾っていなかったのも、この辺りのバランスを探った結果なのかもしれない。

・これに加えて、また別の面からも問題が浮上していた。

没バージョン

・もともとは、他のフォームと同じくフェーズ1を素体として進めていた👆のだが、 以下のような問題が浮上した。

▼ オーマジオウのシルエットはシンプルなので、それを複眼のみで再現しようとすると要素が顔の内側に大人しく収まってしまい、あまり強そうに見えない。20フォームのトリを飾るにはケレンが足りないと感じた。
▼ そもそも変更部位がこれだけだと、モチーフが「ジオウの基本フォーム」なのか「オーマジオウ」なのかもよく分からない。「エボルのレジェンド形態は最強形態モチーフ」というマイルールも破綻してしまう。
▼ 全体的に、エボルとジオウの要素がどちらも中途半端に残されているせいで、デザインとしてまとまりに欠けている。

・したがって私は、ジオウの個性としてのカタカナ複眼の〈強さ〉を逆手に取って、「溢れ出したオーマ成分によってエボルの素体が塗り替えられている」という前述の言い訳じみたコンセプトを設けた。

・この方向に振り切ったことで、「これなら素体もオーマジオウに寄せてしまえ」という暴投じみたアレンジに舵を切ることができた。

あまりに〈強〉すぎる公式デザインの妙と格闘する営みは、刺激的ながらも脅威的で、もどかしくともやめられない。先人たちへのリスペクトを改めて身に刻み、自らの襟を正す思いだ。



仮面ライダーエボル Phase: LEGEND

エボルトが平成ライダー20人の力で変身した姿。
エボルドライバーに歴代最強フォーム音声が収録されていることから着想しました。元ライダーの要素が入った複眼がポイントです。

・エボルのレジェンド形態は
・歴代ライダーのモチーフそのものを模した複眼によって
・マスク全体としては歴代最強フォームの姿を再現している
というコンセプトのもと、全20体のマスクデザインを完成させた。

企画編にて、私はこのシリーズの目的を

自らの琴線を刺激したデザインに最大限のリスペクトを込めて、その可能性を広げてみたい。

とした。この20体を通じて、少しでも多くの人に仮面ライダーエボルのデザインの豊かさとその可能性が伝われば、幸いである。


ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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